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【収録記】障害者福祉施設の虐待 ~みんなで悩んで扉を開く~(10/20放送)

2015年10月08日(木)

ハートネットTV、WEBライターIです。


2013年11月、千葉県の福祉施設で、利用者の男性が職員の暴行を受け、その後亡くなるという事件が起きました。
その施設は田園に囲まれた敷地で、一部の窓には目張り、利用者の家族が入れる場所も限られているという「閉鎖的」な環境でした。
複数の職員による虐待が繰り返されていましたが、その内容は、重い知的障害などで「言葉の出ない利用者」を狙い撃ちにし、虐待をしない職員の目を避けて、「継続的」に虐待する、という極めて陰湿なものでした。



利用者が亡くなるということは決してあってはならない事件でしたが、事件後、この施設は、虐待に関わった職員を解雇し、管理者を一新し、目張りを取って、外部からのチェックを強化しています。
それだけではなく、職員と利用者の家族が集まり、施設運営に関わる事案を話し合う会議を定期的に開催。
家族や外部の人と一緒に、利用者の支援に取り組んでいるそうです。


こうして真剣に改善に取り組んでいるということは、最初からここが、「“悪魔”のような職員が支配する酷い施設」だったのではなく、様々な問題から、そのように追い詰められていったのでは、と思うのです。
 


スタジオでは、障害者の権利擁護に詳しい専門家の佐藤さんが、背景にある問題について詳しい解説をして下さいますが、私がとても共感したのは、佐藤さんの

「個人の問題にしない」「虐待は、職員も困っているということ」
という言葉です。


充分な知識や経験がないまま、対応の難しい利用者の支援に行き詰まる。
相談できる環境もない。
となると、誰しも追い詰められていくでしょう。


ほんのひととき関わる人だからこそ、笑顔で接することができる場合があるかもしれない…地域に開かれ、利用者に優しく笑顔で接する第三者がいれば、そして少しでも、支援する職員に第三者からの労いの言葉があれば、“虐待に近づいてしまいそうな心”を引き戻せるのでは、と思います。

そう思うのは、自分が経験した育児にも似た部分があると思うからです。
我が子は目に入れても痛くないほど可愛いですが、当然ながら、生身の子どもと向き合う日々は、“可愛い”“楽しい”だけでないのが現実です。でも外で、知らない人に掛けられる、「可愛いわねー。」「いい子ねー。」「お母さん頑張っているのねー。」という言葉に救われ、追い詰められそうな心は我に返ります。


未熟だったとしても、決して「悪者」が職員になっているわけではないと思います。
利用者を支援しようと働いているスタッフを、孤立した閉鎖的な場所での厳しい現実が、そこまで追い詰めている。つまり、追い詰めているのは“無関心な私たち”かも…?


障害者虐待防止法で、虐待を発見した人の通報が義務づけられていると聞いて、最初は「通報だけで解決できるのかな?」と思いました。
しかし、虐待の芽を摘むためには、“チェック体制”とか“支援者の質向上”などの、
「“他の誰か”がやってくれるもの」と任せきりにするのではなく、
「“自分が”関わろう」という意識で助け合うことが必要だと思いました。
“通報”は、その一歩として意味のあることなのでしょう。


「障害者虐待防止法」が施行されて3年。“閉ざされた世界”の実態が明らかになってきました。
今、求められていることは何か?制度見直しの時期がきています。



◆障害者虐待を食い止めるために ―閉ざされた世界を開く―
本放送:2015年10月20日(火)夜8時
再放送:2015年10月27日(火)午後1時5分

コメント

 
弱者虐待は、ネット上にも溢れています。
世間からも隔絶され、やっと見つけた居場所でも虐待される…人から優しさが薄れてきたのかと、悲しくなります。
 そして、虐待は、施設、家庭、学校等に限らず国立病院機構のある特定難病(障害でもある)の病棟でも行われています。
「国立病院の先生(特にリハビリ)が、そんな事するはずがない」と、取り合ってもらえない悲しさもあります。
 
ケガをさせられ、医師に「虚偽報告」をされ、診察も検査もしてもらえず、1年以上経って、やっと撮ってくれたCT。
そこには、ボロボロにされた内臓と、病変ではない筋肉減少、腰椎は潰されてしまっている、股関節はおそらく脱臼

「国立病院機構」だからとか、偏見にとらわれる事なく「障害者(難病含む)」の声にも耳を傾けていただき、苦しむ者がない社会になる事を願ってやみません。

投稿:yuika 2016年04月01日(金曜日) 18時19分