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【収録記】選ばれる命『反響編』~誰もわるくない

2014年06月20日(金)

ハートネットTV、WEBライターです。
今回の収録は、今月シリーズでお伝えしてきた『選ばれる命』の『反響編』でした。

3回のシリーズ放送を観て、「これは思っていた以上に重い…。」と感じたこのテーマ…。
スタジオゲストのブルボンヌさんが、「こんなに答えが出ない問題ってあるの?」とおっしゃっていましたが、私もまさに同じ思いです。
寄せられた体験談は痛みや葛藤でいっぱいで、聞いている方も胸がえぐられるようです。
出生前検査で赤ちゃんに障害があるとわかり中絶を決断された方の話もありました。「(結果を受け、悩んだ末に)お腹でつながっている赤ちゃんと、自分の意思でサヨナラするのは本当につらい…」と、中絶を選択した母親たちを慮る久保純子さんの“母”の涙…私も、子供が二人いるので、ひとごととは思えません。


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収録の風景。難しいテーマでしたが打ち合わせ時から議論が尽きることはありませんでした。
 


今回の収録で、海外の事例も含め、様々な当事者の思いに触れましたが、私は「出生前検査」というテーマに向き合う時、感覚的には「神様がこの医療技術を人間から奪い取ってくれないかな…」とさえ思ってしまうのです。

自分の子に障害があるかどうか知ることができる手段が目の前にあったら、知りたくなってしまうのが人間なのだとすると、だからこそ、“罪作り”なのではないか。なまじそんな手段があるから、傷つき苦悩する…。それでも、様々な体験談を聞いて検査を受けた夫婦が、ご自分たちで考えて出した結論は正しかったのだと思います。そして、そう信じて生きていただきたいと心から思います。

「私たちはみんな未熟で弱い人間だから、みんなで受け入れ合いたい」………………でも、ちょっと待って。それは“親側”の乗り越え方。では“子ども側”、選ばれる子ども側はどうすれば良いの?

誰もわるくないのだと思います。
検査を受けて、どんな決断をする夫婦も、もちろん、子どもも。
誰もわるくないから、どうしていいか分からない。


この問題が重く複雑なのは、どんな意見も“誰か”を傷つけてしまうからなのだと思います。どんな立場や考え方も、ちがう立場や考え方の人を傷つけてしまう。私も、この場で自分の感想を書くことが恐くて仕方ないです。誰かを傷つけながら発言することは恐いですよね。


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ゲストはブルボンヌさん。“選ばれてしまう命”について、性的“少数者”としての自分の経験と重ね合わせて語ってくださいました。


シリーズの第二回に出てきた、ドイツでの取り組み―障害がある子を妊娠しているとわかった場合、妊婦とその家族が専門の相談員のカウンセリングを無料で何度でも受ける事ができるという「妊娠葛藤相談所」の事例は素晴らしく、当事者に寄り添う環境を一つ一つ作っていくことはとても大事だと思い共感しますが、同時に、“命を選ぶ”とは人間の手に負えない、踏み込んではいけない領域なのではないか、と個人的には思ってしまいます。


収録の中で荻上チキさんが、「議論のポイントは“倫理”と“環境”」と話していましたが、“倫理”として、こんな意見も持っても良いでしょうか?


みなさんも、体験者の思いを聞きながら、番組とともに考えを深めてみませんか?


◆シリーズ 選ばれる命 第4回 反響編
本放送6月25日(水)、再放送7月2日(水)
本放送:夜8時00分~8時29分
再放送:午後1時5分~1時34分

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