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【制作後記】罪を犯した人たちの社会復帰を支えるということとは。

2013年07月12日(金)

「もう一度やりなおそう」で
刑務所出所者の社会復帰を取材した、
ディレクターMです。

今、刑務所を出所する人の4人に1人が、
帰る場所がないと言われています。

この現状を目の当たりにしたのは、
今年4月、北海道の刑務所で半年間の服役を終え、
出所してきた男性を取材した時の事です。


刑務所から出てきた時、
男性の持ち物は、身につけているジャージ上下とサンダル、
刑務所内での刑務作業で得た現金3千円だけでした。
4月といえば、北海道では雪も残り、
まだ厚手の上着が手放せない季節。
ジャージと裸足にサンダルでは、寒かっただろうと思います。
しかも肉親・親戚とは、すでに縁を切っていると言います。


「え?この状態から社会復帰なんて無理では?」
というのが、その時の正直な感想でした。
今の時代、3千円では一週間も暮らせないでしょう。


罪を犯した以上、全てを失ってしまう人がいるのは、
仕方のない事なのかもしれません。
しかし、こうした人達が食べる物、住む場所に困り、
再び犯罪に手を染める・・・。
中には、刑務所に戻りたい一心で罪を犯し、
自ら警察に出頭する人もいると聞きました。


事件で最も辛い思いをしている被害者の方のことを思えば、
加害者にペナルティが課せられるのは当然の事です。
でも、服役を終えた後、もう一度やり直すためのチャンスさえも
見つけられずにいる人達がたくさんいるという現実に、
何かがおかしい、と感じずにはいられませんでした。


罪を犯した人たちの社会復帰をどうやって支えていくのか?
そもそも、社会がなぜ支えなければならないのか?
答えは、一つではないと思います。

今回の番組が、そうした事を考える、
話し合うきっかけになればと思っています。


◎もう一度 やりなおそう ―「自立準備ホーム」の日々―
本放送:2013年7月16日(火曜) 夜8時
再放送:2013年7月23日(火曜) 午後1時5分

コメント

番組が放送されて、初めてこのサイトに来ました。放送以来いろいろな方から「励まし」と「なかなかできないことをよくやる」と言う意味の「お褒め」の言葉をいただき、面はゆい限りです。また、多くの方から思いがけないご支援をいただきましたが、一番のご支援は「就労の場」を提供していただいたことです。おかげで、4名の方を送り出しました。内、2名の生活保護受給者は、辞退の決意をして決意を表しました。それでも、数日を経ずして、常習的職場放棄者のA君を連れ戻さなければならない事態になりました。彼は「発達障害」が認められると言う所見を、委託された機関からの情報としてもらっていますが、私は、障害はないと信じています。今日と明日、私が一緒に仕事をして観察することにしました。
昨日は、自分で就労先を見つけてホームから出た青年が、そこを飛び出してまた、3度目の犯罪を犯して留置されている警察署に面会に行き差し入れをしてきました。被害者には弁護士を通じて損害を金銭的に弁償したのですが、出所後5年以内の累犯のため起訴されて有罪は免れない見込みです。来月は、札幌と月形に出向き面会の予定です。行き場のない出所者は仮釈放も取れません。私が目指すことは、一人一人の人格の尊厳を自覚させ、未来に希望を見出させることです。「希望は失望に終わることはない」と言うことと、それぞれが使命を与えられて生かされている大事な人格であることを信じています。

投稿:坪内達雄 2013年07月26日(金曜日) 04時14分

更生保護の再犯には、何らかの障がいがある方が多いような気がしました。
番組に出ていた療育手帳を取得した方だけではなく、精神、知的など程度の差はあれ適切な援助があれば、自立できると思います。
生活保護だけではなく、精神科医、社会福祉士、精神保健福祉士などとの連携がなくては、再犯の可能性が高くなると思います。縦割りの行政ではなく、人権の視点から包括的な支援ができればとおもいながら、拝見しました。
もう一度、深く追求すべきテーマですね。

投稿:うにぞう 2013年07月17日(水曜日) 08時36分

2.坪内さんと共に生活している方々はとても幸せですね。どんな人でも一人では生きていけないのですから。わたくし自身坪内さんに背中を押された思いです。そして坪内さんの背中には忍耐の文字が見えたような気がしました。今後は健康に留意なさりさらに多くの方々を支えてくださる事を願います。

投稿:YUKIE 2013年07月16日(火曜日) 21時31分

1.番組終了15分後にこのコメントを書いています。坪内さんの姿がとても眩しく思えました。仕事へ向かう青年にさりげなく「怪我するなよ」と伝えた言葉に彼の心はほぐれたに違いありません。わたくしも現在身元引受人として一日も早い出所を待っているところです。彼は現在25歳。個人塾をしているわたくしの元生徒です。番組内で「家庭に恵まれない子は罪を犯す」とおっしゃってましたが彼も両親の離婚、父親代わりの人との確執、居場所のない家庭・・・・。番組も函館でしたが現在函館少年刑務所にいます。今の状況は手紙のやりとりは勿論、年に4~5回神奈川から面会に訪れています。わたくしは一人の引き受けですが坪内さんは皆のお父さんのようでした。(2へ続く

投稿:YUKIE 2013年07月16日(火曜日) 21時25分