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茂木健一郎さん × 湯浅 誠さん ③若者の自立をどう支援するか

2012年06月29日(金)

ハートネットTV・シリーズ貧困拡大社会では4月と5月に、
生活保護について考えました。
放送には出なかった、脳科学者の茂木健一郎さんと
反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠さんとの
スタジオ収録でのやりとりを再構成、ブログで紹介します。


第3回は、若者の自立をどう支援していいのか、
対策について話し合います。

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  < 茂木健一郎さん(左)・湯浅誠さん(右)>
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湯浅: 大事なのは、「雇われる価値がある」というところから始まって、
    だんだん自信をつけていくプロセスだとすると、
    精神面、生活面、就労面、そうした支援のネットワークが
    一体的に組まれる必要がある。
    そうした仕組みができて、
    かつ職場でも受け止め手がいるというような状態ができていくことが
    必要だと思います。
    これは、昔は何気なく自然と行われてきたことなんだと思うんです。
    例えば、地方の商店街のおじさん、おばさんが家族経営で
    高校卒業した人を受け止めて、家族代わりみたいな感じで育てて、
    10年経ったら、のれん分けして、その間に地域の商工会と出会う、
    あるいは場合によってはお見合いのセッティングもする。
    人によってはちょっとうるさいなと思った人もいるかもしれませんけど
    そうやって育てていく場というのが社会の中にいろいろあった。
    でも今、だんだんそういう場所がなくなってきて、
    先ほど言ったように即戦力しかいらないという風になってくると、
    そうしたかつてあったプロセスが失われていっているという状態なんで
    それをもう一回作り直していかなければいけない段階が
    今なんだと思います。


山田: その人にとって認められる場であったり、安心できる場であったり、
    そういう居場所をいかに提供していくかということでしょうか?


茂木: 社会のどこにも居場所がないって、
    そういうことがあっていいのかと思いますよね。
    人間ってちょっと調子が悪いときとか、
    疲れたときとかあるじゃないですか。
    即戦力って言われると、もう余裕がなくなるんですよね。
    だからちょっと調子が悪いときでも自分で努力して生活ができるような、
    本当にそういう心の余裕というかな、社会の余裕というかな、
    これがあるかないかというのが
    まさに貧困の問題で問われてるような気がしています。
    これは本当に我々の人生の質みたいなものと
    関わってくような気がするんです。
    イタリアなんかだと経済状況悪くても、
    もうちょっとみんな気楽に生きているような感じですよね。
    日本はもうちょっと余裕があってもいいはずなんですけどね。


(敬称略)