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【放送を終えて】シリーズ 戦後70年/第1回 障害者はどう生きてきたか

2015年01月15日(木)

シリーズ 戦後70年/第1回 障害者はどう生きてきたか、の放送を終え、制作したディレクターに今の気持ちを聞きました。


・放送が終わって、思うことは?
そもそも、29分という短い時間で70年を描ききれるのかというのが心配でした。
でも今回のシリーズは、「戦後70年の歴史をきちんと通して見ることで、未来へのヒントが見えてくるのではないか」、ということにこだわりたいと思っていました。なので、29分の番組としてはちょっと要素が多すぎるかなと心配はしながらも、あえて70年間の歴史を概観することにしました。
放送が終わって、やっぱりテンポが速すぎたかなという反省もあります。だけど一方で、その後もらった反響の中には、「コンパクトに70年の歴史がわかってよかった」「テキストにしてみんなに共有したい」という声もあったので、多くの人が関心を持つきっかけになったのであればよかったと思います。70年を振り返るために90分の番組を見るのは大変ですけど、29分の番組を見たり、その分の番組の書き起こしを読むのであれば、そんなにハードルが高くないと思うので、「ちょっと関心はあるけどあまり知らなかった」人たちのきっかけになったのであればうれしいです。
 


・制作期間中で印象に残ったことは?
まずひとつは、昔のことを語る歴史の番組ではあったけれど、やはり今を生きる人たちの取材が印象に残りました。今回ロケをしたのは作業所の人たちなのですが、その人たちの働いている表情もそうだし、昔のことをいきいきと語ってくれた元所長さんの様子とかを通して、今を生きる人たちの日々の積み重ねが「歴史」なんだなと改めて感じました。

もうひとつは、福祉番組の歴史が長いということを伝える映像を撮影するために、埼玉県の川口市にあるNHKアーカイブスに行ったのですが、アーカイブスの副部長さんがものすごい今回のロケに乗り気になってくれて(笑)。夜遅くまでロケにつきあってくれたり、専門の技術者を手配して昔のフィルムを再生してくれたり、協力してくれました。きちんと温度管理された部屋で大量のフィルムやテープを見ると、これまでに放送された映像の歴史の迫力というか、積み重ねの大きさというのを感じました。今年は「70年の節目」なので、これまでの積み重ねを振り返ってアーカイブスを最大限に活用していかないと、と思いました。
歴史を振り返るというのは、地味といえば地味なのですが、改めて振り返るのは節目しかできないと思うので、節目しかできないことを今年、2015年はちゃんとやっていきたいです。


・制作しながら一番伝えたかったことは?
障害のある人たちをとりまく環境や、支える制度を少しずつ切り拓いてきたのは、障害のある本人たちだ、ということです。70年の中の色々なテーマを取り上げましたが、どの時代、どの断面で切り取っても、「当事者」が大きな役割を果たしてるということです。
戦争直後の傷痍軍人たちもそうですし、「障害者権利条約」というあの大きな条約を日本が批准したのも、障害のある当事者の人たちが、当事者の立場で、こういう条約が必要だと、強く思ったことがきっかけだったし。当事者たちが何を感じて、何を求めているのかということから出発することの大切さが、将来に向けてのヒントになるんじゃないかと思います。
いろんな盛りだくさんの要素を紹介したと思うのですが、どこを切っても「本人たちが作り上げてきた」ということが大事、ということですかね。


・今後、年間企画「戦後70年」でやってみたいことは
今回は、シリーズの立ち上げだったこともあり、「戦後70年」をダイジェスト的に、全体を見渡すということを目指していたのですが、この先続けていくうえでは、もう少し個別の歴史を掘り下げたいです。人間一人だって歴史があるし、もう少し、分野やテーマを絞った70年を取り上げるシリーズや番組とかがあってもいいかなと思います。障害者だけとっても、いろんな障害の人によって立場や考え方が違う部分もあるし、障害者以外でも、ハートネットで取り上げているような色んなテーマに、それぞれの戦後70年があると思うので、もう少し個別の歴史を深めてやっていきたいです。

コメント

私も4月28日の再放送を見ました。すごく良かったです。
「障害者権利条約」にたどり着くまでに70年、この条約締結までにご尽力いただいた皆様に障害を持つ当事者として感謝しております。
私は先天性四肢欠損等、いわゆる奇形と呼ばれる障害を持つ者です。
「先天性絞扼輪症候群」という生まれつきの障害のため、現在、更生・形成手術を繰り返した現在でも、右手4本指(それも人よりも手の大きさが小さく、そして、親指以外に第二関節は存在していません。)、左手5本指(とりあえず、形成手術の成果もあり、第二関節に固定具等を組み込んでいますが、やはり、5本の指の内、2本は第二関節がない状態です。)で、両手あわせて使える指は4本のみです。
私はこの「障害者権利条約」にたどり着くまでご尽力いただいた皆様、そして、障害当事者の皆様、そして障害を抱える家族を持つ皆様のこれまでの努力、そしてご苦労に較べたら、大したことのないことですが、自身の障害をオープンにして生活をして、自身の生い立ちを踏まえ、障害者福祉に関しての無償のボランティア活動を続けてきました。
私は今までの経験で自身に「障害者」という肩書があるだけで
”障害者のくせに”
”障害者は誰のおかげで生活できているの!”
・・・そして、つい最近も”障害者はつい最近まで見世物小屋にいたんだよ。相手にされるだけありがたいと感謝しなさい!”など、私に対して人権など無視した発言を繰り返す人も中にはおりました。
障害のない人には、当たり前の権利として与えられ、普段、気にも留めないようなことでさえ、障害者には「獲得」するための努力が必要であった障害者の歴史が無駄なものとならないよう、やっと獲得した「権利」が紙だけのものにならないよう、”障害者のくせに”と言われても、先輩の皆様方が勝ち取った「権利」を護れるよう、障害を抱える当事者達等とも連携し、がんばって行こうと思わせる番組でした。私も「障害者権利条約」締結までの70年を無駄にしないよう、私なりにですが、次の世代の人達のためにがんばっていこうと思っております。

投稿:みなみ 2015年05月09日(土曜日) 18時41分

4月28日の再放送を見ました。すごく良かったです。
『障害者権利条約』にたどり着くまで、70年かかったわけで、
先輩方の尽力と功績に頭が下がるばかりです。
(うちの息子に関わる様々な支援に繋がる70年だったとも言えるので)
同時に、障害の無い人には、あたりまえの権利として与えられ、
普段気にも留めないようなことでさえ、障害者には『獲得』の努力が必要であることに違和感がありました。
そんな中、現在も活動の最前線に立っておられる藤井克則さんが、明るい展望について意欲的に語っていらっしゃるのを見て、一人の障害者の親として力が沸いてきました。出来ることを一生懸命やろうと決意を新たにさせて頂きました。見ることが出来てよかったと思える番組でした。

投稿:ニャッキマンマ 2015年04月28日(火曜日) 21時31分

すごく良かったです!
今度は「ETVスペシャル」として、
もっと長い時間で放送していただきたいなあ、と。

投稿:うつ母 2015年01月25日(日曜日) 09時41分