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【出演者インタビュー】藤井克徳さん「障害者政策はその国の水準を測るバロメーター」

2014年12月26日(金)

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1月5日放送
シリーズ 戦後70年
第1回 障害者たちの戦後 権利獲得への道
にご出演された藤井克徳さんにメッセージをいただきました。

 

《藤井克徳さんプロフィール》
日本障害フォーラム幹事会議長

 

 

 

 

――第1回は、戦時中「ごくつぶし」「非国民」と言われた障害者たちが、教育や働く場などの権利をどのように獲得してきたのかを振り返り、今ぶつかる課題をどう乗り越えたらいいのか、考えていきました。収録を通してどのようなことを感じましたか。

70年間を短時間で振り返ってみましたが、非常に貴重な映像が残っていましたし、あれもあったな、これもあったなと、節々のことをもう一度想起させられて、私自身も勉強になりました。

 

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――障害者福祉の現場に長く携わってきた藤井さんですが、障害者問題に対する社会の無関心や障害者を見る目というのはどのように変わってきていると感じますか。

少なくとも表面上は、俗に言う“スマート”な感じで、ずいぶん発展したなという感覚はあります。しかし、ひとつ皮を剥いで実像に迫ったときに、たとえば精神障害の方の精神病院への社会的入院だったり、あるいは地域生活とは名ばかりで家族が丸抱えしていたりすることもあるわけですね。ですから、非常にスマートな部分と、根っこが深く変化していない部分というふたつが相まっている感じがします。

 

――根っこの深い部分がなかなか変わらないのはどのような要因があるのでしょうか。

やはり、本質的に行政府や立法府に障害者問題を正面から取り上げていこう、政治の表舞台でとりあげようという方が少ないと思うんです。そして、障害者運動の力もまだまだ十分ではない。ですから、障害者運動の力をつけることと、それから障害者権利条約に日本も批准したわけですから、行政府、立法府はもう少し踏み込んで新しい点を探っていってほしいですね。

また一方で、障害者の問題は自分とは無関係だという根強い国民や社会の意識もまだあだあります。でも、今や障害者は6人に1人の割合でいると言われていますから、やっぱりみんなが我が身の問題として考えることを私は訴えたいと思います。

 

――日本も障害者権利条約に批准しましたが、どのようなことを芯に据えてこれからの福祉を考えていく必要があると思いますか。

日本はいま高齢化社会に遭遇していますが、私は高齢化問題の多くは障害者の対応の仕方にたくさんヒントがあると思うんですよね。ですから、“障害者問題”ということよりは、もっと高齢化社会とつなげる捉え方を、政策上も、私たち運動側も考えなければいけないと思います。国連は「障害者を締め出す社会は弱く脆い」と言っていますけども、日本を本当に強靭で足腰の強い国にしていくためにも障害者問題はひとつのバロメーターになると私は思っています。

 

――福祉の状況を見れば、その国が見えてくる。

そうですね。障害者の置かれている状況や彼らに対する政策の水準を見れば、その国の人権に対する意識、あるいは文化的な水準全体のバロメーターになると思いますね。

 

シリーズ 戦後70年
 本放送:夜8時00分~8時29分
 再放送:翌週午後1時5分~1時34分

2015年1月5日(月) 第1回  障害者はどう生きてきたか
2015年1月6日(火) 第2回 高齢者をどう支えてきたか

コメント

NHKならではの貴重な映像、さすが~、と思いました。足を引きずりながら銃を抱えての軍事訓練、傷痍軍人の映像。小さい時、初詣でごった返す神社の片隅で見た傷痍軍人の訴える姿をふっと、思い出しました。戦争が障害者をたくさん産みだし、そこから戦後日本の障害者運動が始まったのですね。「仕事に障害者を合わせるのでなく、障害者が主人公の働く場をつくる!」人間らしい労働とは・・・この理念は今の社会にとっても輝きを増しています。あたりまえに学び、働き、暮らしていくには、まだまだたくさんの障壁があると思いますが、先人たちが果敢に社会に訴え、動かしてきた70年を改めて感じました。また、この続編を切望します。

投稿:narako 2015年01月16日(金曜日) 18時35分

今回、この番組を人から勧められ、観ることができました。

文字情報でなく、映像で観られると、やはり胸に届く情報量が違いますね。
戦争の傷痍軍人による政府への訴えかけから、身体障害のある方ご本人、ご家族が本当に苦労しながら運動を続けてこられて、この今の世につながっていることが感じられました。
自分自身の身近にない話だと、つい無関心になってしまいがちですが、
このように私たちにもわかりやすく取り上げてくださり、ありがたく思います。
素晴らしい番組でした。

今回は、障害者権利条約批准まで、身体障害者の歴史が主になっていたと思いますが、精神障害のある方についても、是非特集していただけたらなと思いました。
戦後で認識が変わっていったこと、今になっても変わらないこと、色々あるのだろうと思います。
今後の企画に期待しています!

投稿:ecolife 2015年01月14日(水曜日) 18時13分

70年を30分で?!と半信半疑で拝見しました。しかしキーになる事項や言葉が精選・整理されていたために大変わかりやすい内容でした。敗戦から出発するのでなく、「非国民」「穀潰し」という人権さえなかった戦前を描いたからこそ、人間として生きる権利、平等を実現するという道のりがくっきりと見えたのだな、と思いました。ゆたか共同作業所の親御さんの場面では思わず涙しました。これからもこうした骨のある番組を制作してください。

投稿:尚子 2015年01月10日(土曜日) 00時36分

僕たちが今学校に行ったり、負担を少なく過したり出来ているのは、
過去により良い社会を目指し、社会に訴え、戦い変えてきた人たちがいたおかげなんだと分かりました。
今まで何も知らなかったです。昔はどうしていたのか思ったことが有りますが、資料や映像など少なく、知り様がありませんでした。でも、この様な企画をして頂いて嬉しい限りです。番組を通して、多くの方に福祉の実態を知って貰いたい。

投稿:レインボーイ 2015年01月09日(金曜日) 14時30分

戦後70年の企画をとても興味深く拝見しました。障害者施設に勤めており、若い職員にその時々の歴史を伝える機会が必要だと感じていましたが、とてもタイムリーな企画でした。日本の障害者福祉の向上が、戦後も、そして現在も障害当事者の「人間らしく生きたい」という粘り強い運動があっての今の現状があることを再認識しました。
 藤井さんが「障害者権利条約を私たちの運動の北極星にしていこう」と語られたことに、当事者の願いを真ん中において取り組もうと決意を改めてしました。

投稿:ケンケン 2015年01月08日(木曜日) 18時32分

 障がい者が、必死になってその時代を生きていたことがテレビ画面を通じて伝わってきます。「面白さや可笑しさ、楽しさ、気楽さ」を全面に出した障がい者情報番組がもてはやされる中で、貴重な番組企画ではないでしょうか。これからもこのような真摯な番組企画を期待しています。

投稿:旭太郎 2015年01月07日(水曜日) 20時23分

私は知的障害のある人が働く共同作業所で勤務しています。
NHKではこれまでも戦前の疎開をめぐる光明養護学校の特集など、記録に残す価値のある素晴らしい内容の番組を沢山取り上げて頂きました。
そして今回の戦後の障害者の歴史を観て感銘をうけました。障害者運動の変遷が詳しく一目でわかるようになっていました。欲を言うなら、3つの転換期の内容をもう少し詳細に掘り下げて頂けるとありがたいです。
今後も素晴らしい番組作成に期待しています!

投稿:komkom 2015年01月06日(火曜日) 22時44分

障害福祉について、勉強をしていますが、ずっと文面だけでした。
資料のようなものはなく、今回、写真、映像で詳しく説明される番組を見て、とても参考になりました。

投稿:range8253 2015年01月05日(月曜日) 20時37分

障害者を取り巻く戦後の歴史を、今回初めてTVで観ます。
とても楽しみにしています。
私は、精神障害者の自立支援に関わる仕事をしていますが、藤井克徳さんの障害者人権尊重への熱い思いと献身的な活動には、心から敬服しておりました。
このような方を、NHKが取り上げて下さった事にも大変感動しますし、また、時代の変化も感じました。

投稿:ニシクミ 2015年01月05日(月曜日) 16時42分