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保護者もまじえ、学校改築を考える新たな試み~都立光明特別支援学校

2014年12月08日(月)

ハートネットTVです。

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11月19日、「学校の校舎の改築プランを保護者とともにアイデアを出しながら考えていく」という、全国でも珍しい試みが行われる現場へ行ってきました。場所は東京世田谷区にある都立光明特別支援学校。話し合いは、全員参加型のワークショップ形式。今回は学校長の田添敦孝さんの強い希望で実現しました。

 
20141208_002.JPG現在、都立光明特別支援学校に通っているのは、小学部、中学部、高等部に所属する肢体不自由の子どもたち165人。その9割近くは複数の障害があり、4割を超える子どもが医療的なケアを必要としています。保護者にとっては、教育面だけではなく、安全面や医療的ケアについても重大な関心があります。
「保健室のベッドが足りない」「高学年の教室のスペースが狭い」「プールが室内プールであってほしい」「トイレの床が硬くてあぶない」「冬の廊下が寒すぎる」。細かい要望が挙げられ、次々にホワイトボードに書き出されていきました。


「教員だけで考えていたのでは、どうしても漏れが出てきてしまいます。多様な障害のあるお子さんのことを一番よくわかっているのは保護者の方たちなので、いただいた意見はとても貴重です」と田添校長。

さらに保護者からは、「保護者同士が交流するコミュニティースペースがほしい」「緊急の呼び出しがあったときに止められる駐車スペースを増やせないのか」「保護者用のトイレが足りない」など、保護者にとって必要だと思われる要望も出されました。
学校は教員だけで作られるものではなく、保護者や地域住民とともにつくっていくものという考えをもつ田添校長。「障害のあるお子さんをお持ちの保護者の方は、どうしても遠慮がちになります。自分たちにとって使い勝手のいい学校にしていこうという積極的な参加意識をもっていただけるのは、大変ありがたい」と話します。

今回のワークショップをコーディネートしたのは、NPO法人「子どもの成長と環境を考える会」の福島毅さん。「ただ、話し合いの場を設けただけでは、発言力のある保護者の方が意見を言って、終わりになってしまう。でも、ワークショップという形式で、一人一人が付箋に意見を書き出していくと、みんなの意見が形になる。言いっぱなしで終わるのではなく、形にして残していくことに価値があるのです」

20141208_003.JPG都立光明特別支援学校では、今後は保護者のワークショップを繰り返すとともに、さらに教員や地域住民も交えたワークショップも行い、学校の改築をきっかけとして学校を地域に開いていきたいと考えています。そのことが障害のある子どもたちを支える大きな力になると言います。

ワークショップを終えた保護者の方たちは、「学年を超えて保護者同士で話し合う機会はあまりなく、みんなで話ができただけで、ともかく楽しい。また参加したい」と満足げでした。


障害者が暮らしやすい社会をつくっていくために求められるのは、合理的な配慮をしていくことです。その際に大切なのは当事者や家族の視点です。当事者や家族が要望を出し、支援する側がそれを受け止める。そして当事者や家族は支援する側の事情についても認識していく、そのような相互理解が社会を変えていく具体的な力となっていくと思います。
 

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