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Road to Rio vol.38 リオデジャネイロ パラリンピックまで、1年 (NHKニュースより)

2015年09月08日(火)

南米大陸初のパラリンピックとなる、来年のリオデジャネイロ大会まで、先日、9月7日でちょうど1年となりました。今大会からは新しく採用されるトライアスロンとカヌーを加えた、22の競技が行われます。大会まで1年となるリオデジャネイロでは、オリンピックと兼用の競技施設の建設が急ピッチで進められ、今月5日からは新種目となるカヌーのテスト大会が行われています。

大会の組織委員会は、ブラジルでは“なじみの薄い”パラリンピックを市民に知ってもらおうと、ちょうど1年前となる7日に記念式典を行うほか、子どもたちが障害者スポーツを体験できるイベントなどを行いました。また、この日から大会のチケットの受け付けが始まる予定で、大会まで1年となり、パラリンピックの認知度を高める取り組みが続きました。
 


知名度高める取り組みと選手強化

ブラジルではパラリンピックの知名度が低く、大会のことをいかに広く知ってもらうかも大きな課題です。
公立の学校では、体育の授業にオリンピックだけでなくパラリンピックの種目を取り入れることを決め、学校の先生を対象にした研修会などを開催しています。また、ブラジルパラリンピック委員会では、先月カナダで開かれたパンアメリカン・パラ大会など、国際大会に独自に取材班を送り、競技の映像や選手のインタビューを、インターネットの投稿サイトなどを通じて無料で配信する取り組みを続けています。

大会の成功には自国の選手の活躍は欠かせないと、国を挙げた選手強化策も進められています。政府は、オリンピックとパラリンピックを合わせて10億レアル(日本円でおよそ320億円)を強化費に充てるプロジェクトを進めていて、パンアメリカン・パラ大会では、出場国で最多となる合わせて257個のメダルを獲得するなど 、早くも一定の成果を挙げています。


バリアフリーの取り組みに遅れ
リオデジャネイロパラリンピックでは、世界各国から障害のある選手や観光客などを迎えるうえで、バリアフリーの取り組みをどこまで進められるかも課題です。

パラリンピックの競技会場の1つで、世界的な観光名所としても知られるコパカバーナ海岸は、波をかたどった模様の石造りの歩道で知られ、この歩道は4キロほど続きます。観光客には人気にある歩道も、車いすを利用する人や視覚障害者にとっては、段差があって安定せず危険だという指摘があります。また、視覚障害者用の信号機や歩道に点字ブロックが設置されている場所はほとんどありません。
市の観光局は大会までに、競技会場以外にコパカバーナ地区やバッハ地区など12か所で、車いす利用者のためのスロープの設置などを進める計画を掲げていますが、具体的な工事は始まっていません。地元の障害者団体は、大会までに障害のある人たちが利用しやすい歩道の整備など、バリアフリーの取り組みを推進するよう求めています。


日本は、“リオパラリンピック”で金10個を目標
日本は、前回ロンドン大会は金メダル5つで、国・地域別で24位にとどまり、金メダルの数、メダルの総数ともに、過去最多だった2004年のアテネ大会の3分の1以下となりました。世界との差が広がり、さらに韓国やイランなどアジアの国々もパラリンピックの強化を本格化させていて、日本は、予選を勝ち抜く段階から厳しい競争にさらされています。
こうしたなか、JPC(日本パラリンピック委員会)は、地元開催となる2020年の東京大会で金メダル数7位という目標を掲げ、そのための重要なステップとなる来年のリオデジャネイロ大会では、金メダル10個、順位は10位以内を目指します。
JPCは、オリンピック競技並みの強化態勢の整備を急ぐとともに、今年11月には、選手の体力測定や別の競技の体験などを行って、身体能力や適性を見極めたうえで、異なる競技への転向を促す選考会を初めて開催するなど、即戦力となる選手の発掘に力を入れて、5年後の東京大会も見据えた強化を急ぐ方針です。
日本障がい者スポーツ協会の大槻洋也強化委員長は「国からの強化費が増えるなど、日本もようやく世界に追いつくために動き始めたところだ。この流れを若手や即戦力となる選手の発掘、育成にどうつなげるかが課題で、道のりは決して平たんではない」と話しています。


車いすテニス・国枝慎吾選手「東京が決まりリオも注目」
車いすテニスの男子シングルスで、世界ランキング1位の国枝慎吾選手は、去年のアジアパラ大会で優勝し、すでにリオデジャネイロパラリンピックの出場権を獲得しています。
パラリンピック3連覇に向けて、国枝選手は「パラリンピックは、四大大会のグランドスラムよりも価値がある。2020年の東京パラリンピック開催が決まったことで、その前のリオデジャネイロ大会もすごく注目されてきていると思うので、何としても金メダルを取って、東京大会をいいイメージで迎えたい。自分が優勝候補の筆頭だという自覚はあるし、自信もある」と、第一人者としての意気込みを力強く話していました。


競泳・木村敬一選手「人間の可能性感じてほしい」
競泳の木村敬一選手は、視覚障害のクラスでパラリンピックに2大会連続で出場していて、前回のロンドンパラリンピックでは、100メートル平泳ぎで銀メダル、100メートルバタフライで銅メダルを獲得しました。ことし7月にイギリスで開かれた世界選手権でも、100メートルの平泳ぎとバタフライで金メダルを獲得していて、来年のリオデジャネイロパラリンピックの日本代表に内定し、メダル獲得が期待されています。

木村選手は「目標は一つ、金メダルを取ることです。世界のトップ選手と戦えるのは、すごく楽しみです。海外の選手も、もっと速くなってくると思うので、それに負けないために、この1年で今以上に実力をつけられるよう強化していきたい」と意気込みを話しました。そのうえで、「多くの人にぜひパラリンピックに注目してもらい、障害があるアスリートたちの戦いを見てもらって、人間の可能性を感じてもらいたい」と力強く話していました。


リオデジャネイロでカウントダウンの記念式典が。
セレモニーはパラリンピックを市民にアピールしようと休日を過ごす人たちでにぎわう公園で行われ、IPC(国際パラリンピック委員会)のクレイバン会長や大会組織委員会のヌズマン会長などが出席しました。
大型スクリーンに国際大会で活躍する選手の様子が映し出されたあと、IPCのクレイバン会長が「今大会は178の国と地域から4350人の選手が参加する史上最大の大会となる。大会での選手たちの活躍は、障害のある人の見方を変えるでしょう」と述べ、1年後の大会の成功に自信を見せました。

ブラジルでは大会に向け、パラリンピックの知名度をいかに高めることができるかが課題で、会場ではパラリンピックを身近に感じてもらおうと子どもたちが競技を体験できるコーナーが設けられ、コーチの指導を受けながら目隠しをするブラインドサッカーや車いすテニスなどを楽しんでいました。
 

リオデジャネイロパラリンピックは来年9月7日に開幕し、12日間の日程で前回のロンドン大会より2つ多い22の競技が行われます。
 

リオ・ピョンチャン・そして東京へ。

コメント

色々な障害者がいるとはおもうのですが、精神障害者のオリンピックがあっても変じゃないと思う。

投稿:インター 2015年09月10日(木曜日) 07時57分