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Road to Rio vol.24 「その"1000分の1秒"を削りだせ ~パラサイクリング~」

2015年04月30日(木)

ハートネットTVキャスターの山田賢治です。
 

4月30日放送“チエノバ”の「Road to Rio」で紹介した「パラサイクリング」。
番組の中では紹介しきれなかった大会の様子をリポートしますので、こちらもぜひお読みください!


自転車競技は、初めて見ました。とにかく速い!それだけに、“1000分の1秒”単位で勝負が決まるのです。1000分の1秒まで計測するのは、夏のパラリンピック競技では、パラサイクリングのみ。ちなみに、オリンピックでも「自転車」のみ。冬は、「リュージュ」と「ショートトラックスピードスケート」です。


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大会が開かれたのは、伊豆ベロドローム。4年前にオープンした、新しくきれいな会場でした。

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バンクは木製で、シベリア松を使っています。1周250mで、傾きは最大45度。スピードが出ていないと走れない急斜面です。選手は、“1000分の1秒”のために、バンクの摩擦や空気抵抗などを考慮して、ギアの選択など自転車を調整します。

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番組で特集した藤田征樹選手と。先月の世界選手権で銀メダルを獲得!パラリンピックでも最高銀メダル。あとは金メダルのみ!決して自分に満足しないアスリートです。「自分でできる限りのことは精一杯やりたい。突き詰め、どんどん自分を追い込んでいきたい」。

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一般の自転車競技の日本選手権との共催。藤田選手「お互い敬意を持って、高め合っていきたい」。
 


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普段の義足が左。自転車競技用は右。空気抵抗を少しでも減らそうと、先が細くなっています。「自転車の義足は、パフォーマンスそのものを上げるものではありません。自転車と身体をつなぐ“機械”でしかないのです。」人間は自転車を漕ぐとき、足首が微妙な動きをすることで、力を効率的にペダルに伝えていることが、義足になって初めてわかったそうです。

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藤田選手の自転車には、ペダルを踏む力と回転速度を計測できる装置が付いています。レース全体の中で、平均値ではなく、瞬間瞬間の力の出し入れがわかるそうです。

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左:スポーツエンジニアの柿木克之さん 右:東京大学大学院教授の八田秀雄さん。
レース後、力が最後まで維持されていたかなどデータ分析をしながら、代謝能力を上げるトレーニング方法など、藤田選手とともに強化の道筋を考えます。


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藤井美穂選手(右足大腿切断)。“自分でも驚くくらい”、レース毎にタイムを上げている期待の若手選手です。「スピードが出て楽しくて、ニコニコしながら走っているみたいです。無意識です(笑)。」

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若手からベテランまで、切磋琢磨しながら競技力向上をめざす選手たち。笑顔の中にも厳しさがあり、とてもいい雰囲気でした。


実は、すでに日本は、パラサイクリングでリオパラリンピックの出場枠を男女1つずつ獲得しています(去年末現在の国別ランキング)。さらに上積みするためには、来年に向けて国際大会で上位に入り、ポイントを獲得していくことが必要です。

すべては、“1000分の1秒のために”。
過酷でありながら、とことん究極を追い求めることのできる自転車競技に、大いなる魅力を感じました。


リオ・ピョンチャン・そして東京へ。
すべてのパラリンピックを盛り上げるために、ハートネットTVは取材を続けていきます!

コメント

取材お疲れ様です。パラサイクリング迫力に圧倒されました。ひやひやの連続で怪我をしないかと心配しながら拝見していました。選手のみなさんのご活躍をお祈りしております。大会がテレビで中継されないのが本気に残念です。

投稿:清満 2015年05月03日(日曜日) 11時44分