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【出演者インタビュー】渡辺 篤さん「金継ぎのように、人の傷も慈しむことができる」

2016年06月24日(金)

20160627_w.jpg6月27日放送(7月4日再放送)
ブレイクスルー
File.55 心の傷は、いつか光り輝く
―現代美術家・渡辺 篤―
にご出演された渡辺 篤さんにメッセージをいただきました。



《渡辺 篤さん プロフィール》
現代美術家


――ブレイクスルーにご出演されて、いかがでしたか。

僕の活動する現代アートの界隈では、ドキュメンタリーの映像作品をつくることもあるので、ディレクターやカメラマン、音声の方が毎日のようにうちに来て取材されている姿を見て、ものづくりについていろいろと考えさせられました。今回、僕自身の「傷」とか「鬱」、「ひきこもり」の経験を話させてもらいましたが、実はそれは僕の制作態度の“半分”であって、もう半分ではそれらをなるべく冷静に分析して、作品の素材としてどうコントロールして社会に提案するかということを常に考えているんです。そういう意味でも今回は渡辺篤のストーリーをどう映像化していくかということで、番組側によるクリエーションをすごく見ていました。そんな経験でしたね。


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20160627_w2.jpg――インターネットで他者の心の傷を募り、それを描いて、壊し、金で修復するというプロジェクトを行っていますが、この表現はどのようにして生まれたのですか。

日本美術の「陶芸」の世界には独自の哲学や空気、態度があって、そこでは割れたものはそこでは割れたものを単に捨ててしまうのではなく、金継ぎをして傷を“慈しむ”とか“趣き深く感じ取る”という価値観が存在しているんです。その修復技法を知ったとき、これは人の心の傷とも合致させられるんじゃないかと思って、初めて金継ぎされた器を見た時から今回のような作品のアイデアになる予感はあったんですよ。


――作品を公開すると心の傷を投稿してくれた本人から反響などもあるんですか。

このプロジェクトはあえてすごく冷たい方法を選んでいて、悩みの受け口を「匿名」で「140文字」として、Twitterの仕様に合わせているんです。だから、作者ですら投稿者からそれ以外の情報を受け取れないようにしているんですね。Twitterは匿名で柔らかく人とつながれる現代のコミュニケーション方法の最前線のものだと思います。そこからの引用で、“柔らかいつながりで匿名だからこそ話せること”というのを意識してつくっています。


――作品をつくるときに共通しているテーマはありますか。

アートとデザインの違いとして、デザインというのは何かを解決したり、効果を期待したりするための機能ですが、アートはそれができなくてもいいものだと思うんです。作品がすぐに社会に受け入れられなくてもいいし、100年後にその価値が生まれるかもしれない。でも、僕は変に素直なので、いつも根っこでは「社会的価値が生まれたらいいな」というのをずうずうしくも思ってしまうんです。ですから、ある意味アートの世界の中では比較的、目的の強い作品なのかもしれないですね。

コメント

今日の放送の中で、「特効薬はないと思うんです」という言葉に凄く重みと共感を感じました。耳に聞こえのいい言葉で「〜することです」と言われるよりも感じるものがありました。なんというか、通り一遍等の言葉でなく、芸術家として、表現は言葉ではせず作品でするものを感じられたというか‥すみません、うまく言葉にしてお伝えする事ができないです。
どうかこれからも作品表現活動を続けていってほしいです。応援しております。

投稿:生きるヒントを探してます 2016年06月27日(月曜日) 21時38分