――加藤さんとお話されて、どのような印象でしたか。

本当にやわらかい雰囲気で、“相手にこう伝えたい”という思いが言葉から感じられる温かさがありました。それはやっぱりブラインドサッカーの日本代表選手というのも関係あるんだろうなと思います。この競技はその力を武器にして戦うスポーツですからね。今日はブラインドサッカーを取り上げて見ていきましたけど、コミュニケーションもテーマのひとつなので、「相手に伝えたい」と思う気持ちの大切さを改めて実感できる内容なんじゃないかな。「伝えたい」という気持ちがあっての“伝わる”。そして、相手も「受け取りたい」という思いがあっての“受け取り”なんだなって。五感を使ってコミュニケーションをとることが大切だなんて話は改めてここで言うことじゃないと思う人もいるかもしれないけど、みんなそれができていないんだって、本当に（笑）。だから、難しさを感じるのは普段から視覚に頼りすぎていることもあるんだなと思いますね。

――加藤さんはブラインドサッカーを始めて精神的にも変化があったように見えましたが、いかがですか。

そうですね。よく人はひとりでは生きていけないと言われますけど、加藤さんはそれを実感したんじゃないかと思うんですよね。ブラインドサッカーに出会って人と接した時、サッカーができるという喜びを感じたと同時に、それは仲間がいるからこそできることでもあるじゃないですか。そこでコミュニケーションの楽しさや人の温かさを改めて実感して変わっていったんじゃないかと思います。あの笑顔は人とのつながりを認識して出てきた笑顔なんだなと思いました。