本文へジャンプ

『怒りの矛先はどこへ』(2月26日放送「日本に暮らす無国籍者たち」)

2013年02月25日(月)

ふだん意識することがあまりない『国籍』という存在・・・
しかし、日本には数多くの『国籍』の無い人たちが・・・



こんにちは、キャスターの山田賢治です。お元気ですか。

昨年末の家の大掃除。あることに気づきました。
「あれ?ない!!」
自分のパスポートが、いつもの場所にないのです。
いくら探してもない。
「海外に行けない」と空港で足止めされてしまう自分の姿が頭に浮かび・・・。
すぐに行く予定はないにしても、再発行できると思っても、
見つかるまでの3週間、気がかりでなりませんでした。

mukokusekisha-01.jpg
■「日本に暮らす無国籍者たち」のスタジオで 
 (右:陳 天璽さん  国立民族学博物館准教授、元無国籍者)

申請すれば問題なく取得できるパスポート。
その前提は、自分に“日本”という国籍がある、ということ。
普段、そこを疑うきっかけすらない。
いわば、私にとって国籍とは、空気のような存在です。


でも。

そうした国籍を持たない人が存在しています。
それも、把握されていない人を含めると、日本で数万人いるとも言われています。

私はこれまで、知りませんでした。


なぜ国籍がないのか。一人一人に理由があります。
番組では、2人を紹介しました。


ミャンマーの内戦から逃れて日本にやってきた男女から、
日本で生まれた子ども。
彼は、生まれながらに国籍を持っていません。

さらには、両親が目の前で殺されるといった悲惨な内戦で
祖国ユーゴスラビアを離れ日本に来たのですが、
その間に国が崩壊し、人生半ばで国籍を失ってしまった人。
日本で働くことが許されず、時間の大半は、
祖国の風景に近い河川敷に腰を下ろし、
親の写真を握りしめながら水面を見つめています。

2人とも、日本のために、日本人のために何ができるかを考えて、行動している。
「こんなに日本を愛してくれているのに、何とかならないか」
という悲痛な思いになりました。


番組では、2人が国籍を持っていないことで、
日本で生活するのにどんな壁にぶつかっているのか、映し出しています。

怒りの矛先をどこに持っていったらいいのかわからないと思います。
自分を責めてほしくない。自分が同じ立場だったらと思うと、苦しいです。

確かに、国々の制度のズレから無国籍になってしまったことを考えると、国家間の問題とも言えます。
日本の法や制度は大事だけど、無国籍の人たちにも人権はある。
そうした人たちの心を包摂する「社会」は、日本にないのか。
問われているように感じます。

「社会」は、「私たち」です。


2月26日(火)夜8時 放送 (Eテレ)
『日本に暮らす無国籍者たち』
 (再放送)3月5日(火)午後1時05分から

コメント

無国籍であっても人としての権利は当然ありますよね。
無国籍状態が長期に亘って継続してはいけないと誰しもが分かっているはずです。
国籍が無いことを弁護士さんが証明するより、国の機関がするべきだと思います。
大切な人生に無関心であってはいけないです。
この問題は今後も続けて欲しいです。
大きな反響がありますようにと願います。

投稿:S。N 2013年02月27日(水曜日) 01時24分