【WEB特集】 なぜ除雪は進まないのか

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なぜ道路の除雪は進まないのか。
各地で例年を上回る積雪となっている今シーズン。気温が低いこともあり、福島市でも積もった雪が凍ったまま道路のところどころでわだちになりました。買い物に行くのも危険な状態だとして市民からは「もっと早く除雪してほしい」という声が上がりました。       NHK福島放送局 本田歩記者

 

除雪が遅いのでは…
ことし1月。NHKに投稿が寄せられました。

「昨年末から福島市では、積雪が続いていますが、市の除雪は遅い気がします。近所で雪かきをする人も少なくなっています」。

投稿をして頂いたのは竹内絵里子さん(45)。近所の道路の除雪がなかなか行われず、特に年末年始は、買い物に行くのも大変だったと言います。竹内さんは「近所は坂道も多く、除雪を早めにしてもらわないと車も歩行者も危険」と話します。この冬の福島市の降雪量は平年の2倍近く。気温の低い日が続いたこともあって、積もった雪がとけずにところどころに凍ったままになりました。

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予想以上の積雪
福島市の除雪はどのように行われているのか。担当者を訪ねました。福島市は、バス路線や主要な幹線道路など市内のおよそ940キロの除雪を行っています。積雪が10センチを超え、雪が降りつづくことが予想される時に、民間業者と協力して除雪を行っています。「除雪が遅い」という市民の訴えについて市道路保全課の大槻武文課長は「きめ細かな気象情報がなかなか得られなくて、細かな除雪車の配置についてできなかった。毎日のように除雪車は稼働していたが、我々が思っていた以上に積雪が多かった」と話します。福島市は、除雪が間に合わないとして、8年ぶりに県に支援を要請。また、除雪を委託する民間業者の数もこの冬は5社増やし、対応にあたっていると言います。今後は除雪車をより機動的に配置して除雪のスピードを上げたいとしています。市の今年度の除雪費用は当初2451万円。市は1月に予備費から1億5000万円を支出しましたが、今後も除雪費用が膨らむ恐れがあるとして、新たに3億5000万円の除雪費を補正予算案に計上しています。

 

除雪対象でない道路も
しかし、必ずしもすべての道路が市の除雪の対象となっているわけではありません。国や県が除雪をする道路もあります。また、団地や集落の中を通る最も身近な生活道路は市の除雪対象ではなく、住民が自ら除雪を行う必要があります。福島市が管理するおよそ3000キロの道路のうち2000キロが生活道路にあたります。投稿を寄せて頂いた竹内さんの家の周りの道路も生活道路でした。

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(福島市の除雪計画 色がついている道路などは除雪対象)

 

除雪を担う町内会もあるが・・・

特に大変なのは高齢者です。福島市の北西部にある大笹生地区。1人暮らしの油井キイさん(92)は、この冬、雪で外に出られなくなる日もあり、娘に買い物を頼んだこともあったと言います。

油井さんが住む地区では、町内会がお年寄りの家の周辺の雪かきを手伝っています。
町内会長の阿部時治会長は「ことしはほんとうに雪が多い。50センチくらい積もると1人で除雪は難しいと思います。若い人でも難しいのに、高齢者の場合は大変だと思います」と話していました。10年間にわたり、町内会の会長をしている阿部さんは74歳。町内会のメンバーも高齢化していて、なり手の確保さえ難しくなる中、高齢者の家の周辺の道路の除雪を支え続けるのは、簡単ではありません。

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誰が除雪を担うのか
福島市には小型除雪機を貸し出す制度がありますが、あくまでも町内会単位。原則として2つの町内会が合同で申請するのがルールとなっていて地域の実情にあっていないのではないかという声もあります。福島市は除雪対象となっていない生活道路についても市民から除雪の依頼が多くなっているとして、今後、支援策を検討するとしています。なぜ、除雪が進まないのかという問題は、誰が除雪を担うのかという重い課題も同時に突きつけているように思えました。
                                  



記者・カメラマン  

投稿時間:16:35