2021年3月25日(木)
出演者:食探料理人 出倉弘子さん/食探案内人 山口瑛己アナウンサー
今回の食材は「和がらし」。福井市足羽山付近では、県産のからし種を殻ごと粉にしたものが“地がらし”の名で親しまれています。風味豊かな香りとツンとした辛さが特徴です。足羽山の花見茶屋の名物「こんにゃくおでん」のみそや、郷土料理「麩のからし和え」に欠かせない福井の味です。
県内で唯一からし作りをしている加工所が、足羽山のふもとにあります。5代続くこの加工所を営む坂本千恵子(さかもと・ちえこ)さん。坂本さんは夫と息子家族と加工所を経営しています。
「地がらし」の特徴は“加工”にあるといいます。通常のからしは、殻を取って実を粉砕して粉にしますが、ここでは殻を丸ごと挽いています。こうすることで、殻と実の間にある油分が粉に入り、甘さとコクが出て、辛みも強くなるといいます。こちらでは、明治から変わらぬ製法を守っています。
この粉を家で味わうには、熱湯で溶いて、練り上げて辛さを引き出します。ポイントは“体重をかけて素早くかき混ぜる”こと。すり鉢とすりこぎ棒を使って二人がかりで、力をかけると苦みが辛みになります。1分以上続けるのがコツです。坂本さんは「加工には手間暇がかかるが、この味を次世代に残していきたい」とのこと。
今回は、この風味豊かな辛さも「地がらし」を使って、足羽山の名物「こんにゃくおでん」の魅力をそのままに“春らしい”レシピをご紹介します。
『地がらし味噌のこんにゃくカツ』