北九州

福岡県
2016年9月30日 放送

北九州の人は言う。「この街の鉄が、日本の発展を支えてきた。」―
洞海湾に面した小さな漁村で官営八幡製鐵(てつ)所が操業を開始したのは1901年。日露戦争、第一次世界大戦を経て鉄鋼需要が伸び、街は製鉄所を中心とした重化学工業地帯として発展。太平洋戦争末期に空襲で甚大な被害を受けたものの戦後復活し高度成長をけん引した。
製鉄所の高炉は休みなく鉄を作り続ける。そのため街には二十四時間、三交代制勤務の労働者があふれ、さまざまな風俗・文化が生まれた。男たちが昼から英気を養ったのは店先で飲める酒屋「角打ち」。彼らのための24時間の食堂やスーパーも誕生。戦後できた日本初の競輪に人々は熱狂し、労働者たちのアマチュア劇団も数多く生まれた。
そうした発展の陰で人々は公害に苦しみ、オイルショック後の鉄冷えと呼ばれる深刻な不況も経験、80年代からは人口も減り始めた。しかし人々は逆境に立ち向かい、誇りを持って生きてきた。今も鉄づくりの最前線で誇りを持って働く男たちと、街の文化を消すまいとあらがう人々の姿を通して、鉄の街・北九州の100年を描く。

旅のとっておき

「北九州」の回を担当した、ディレクターの島津理人です。北九州には23歳から26歳まで3年間住みました。町の人の感想ですが、男が思うカッコイイ男です。仕事熱心で、小さいことは気にしない、そして周りに優しい。そこまで描けているかわかりませんが、「北九州」はなかなか男っぽい、渋い、少し汗くさい番組だったかなと思います。続きを読む

ポスター
北九州
[写真] 北九州市 時と風の博物館
[資料提供] 劇団青春座「無法松の一生」
[協力] 北九州市/新日鉄住金化学株式会社
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