ひとりでも多く選挙に参加を~「同時手話通訳付き開票速報」など

ひとりでも多く選挙に参加を~「同時手話通訳付き開票速報」など

誰もが投票しやすい環境について考えることは、誰もが暮らしやすい社会がどういうものかを考えることにもつながります。NHKでは、これまで障害があって投票に行けなかった人や行きづらかった人、障害のある人をサポートする人、そして、投票者を受け入れる自治体にとっても情報が共有できる場を目ざす「みんなの選挙」プロジェクトを去年の参議院選挙の際に立ち上げました。障害のある人たちに役に立つ情報や各地で選挙のバリアフリーを進める取り組みを番組やニュースのレポート、特集サイトでお届けしています。

●視聴者からは、さらなるユニバーサルサービスの充実を求める声が寄せられていました。

【視聴者から寄せられた声】

  • 総合テレビだけでなく、Eテレの手話ニュースでも選挙特番を放送してほしい。 (60代女性)
    ※同様の意見や問い合わせ2件

  • わたしは耳が不自由だが、立候補者の話しぶりそのままの表現や姿勢など、政党や立候補者のHPやパンフレットだけでは伝わらないことを知りたい。(50代男性)
  • 選挙に対し大変興味を持っているのに字幕も手話もないという放送については大変不満だ。(70歳以上女性)
  • 選挙関連の番組については、手話をつける、字幕をつけるなど、どんな障害がある人でもしっかりと選挙投票行動が取れる番組作りをしてほしい。 (50代男性)
    ※国政選挙における開票速報では、2014年12月14日衆院選開票速報から字幕放送を実施

●2023年の統一地方選での取り組み

このような声を受けて、2023年の統一地方選では取り組みをさらに進め、4月9日に総合テレビの開票速報の一部をEテレでも放送、そこに同時手話通訳をつけることを試みました。Eテレでは日ごろから手話放送を行っていてノウハウの蓄積はありましたが、開票速報に手話をつけて放送をするのはNHKとしては初めてのことです。
選挙に関するニュースでは通常の会話ではあまり使わない専門的な言葉が多く、生放送の開票速報の内容を、同時に手話で正確に伝えることが大きな課題でした。このため今回は、事前に手話通訳者を対象に、担当者が勉強会を開き、「当選」と「当確(当選確実)」の違いといった、ニュースでよく使われる表現や言葉などについて理解を深めてもらい、入念に準備を重ねました。今回の放送は、3人の手話通訳者で行いました。アナウンサーのコメントなど音声情報はまず、耳の聞こえる手話通訳者で「フィーダー」と呼ばれる人が手話にします。テレビに映る「ろうの手話通訳者」は、フィーダーの手話を見て、ろう者によりわかりやすい手話にして伝えます。開票速報は、生放送のため、開票状況に応じて刻々と新しい情報が入ってきます。手話通訳に間違いがないかを確認するため、さらにもう1人、別の通訳者が立ち会い、放送画面を見ながらチェック。手話を必要とする人に、より分かりやすく、より正確に伝わるように、手話通訳者と制作スタッフが連携して放送を届けました。

202304_03_002.jpg4/9放送 2023統一地方選挙 手話つき開票速報より

202304_03_003.pngスタジオの様子(左:フィーダー 右:ろうの手話通訳者)

【視聴者から寄せられた声】

  • Eテレ生放送の「統一地方選開票速報」について。初めての同時手話通訳をつけての放送だったが、とてもすばらしかったと思う。手話通訳のできもすばらしかった。(60代女性)
  • 障害のある人たちが今の選挙広報のみでは情報が得られないから困っていると聞いた。開票速報はもちろん必要だが、投票前の障害者向けの選挙関連番組も検討してほしい。(30代女性)

●投票所で使える コミュニケーションボード

また、「みんなの選挙」の特集サイトでは、障害のためにコミュニケーションが困難な人が、投票所の係の人に支援を求める意思を伝えるための「コミュニケーションボード」をダウンロードできるようにしました。例えば、筆談を頼みたい、付き添いをお願いしたいなど、困ったことを係の人に指し示して使うことができます。

202304_03_004.png

202304_03_005.pngコミュニケーションボード

すべての視聴者が見やすく、聞きやすく、分かりやすく、安心して視聴することができる、ユニバーサルサービスの強化につなげていきたいと考えています。

NHKみんなの選挙 障害者の選挙での投票に役立つ情報まとめ
https://www3.nhk.or.jp/news/special/minnanosenkyo/

NHK選挙WEB 選挙の速報や結果・最新ニュース
https://www.nhk.or.jp/senkyo/

NHK福祉情報サイト ハートネット
https://www.nhk.or.jp/heart-net/

※内容は、掲載当時のものです。