発掘ニュース

No.062

2015.06.26

情報番組

若き日の“あの人たち”が本音で語る一冊!

まずはこちらをご覧ください!

日本を代表する作家や劇作家、ジャズピアニスト…皆さんの若き日の姿!
今回は“あの人たち”が語る一冊、超お宝映像の発掘です!

毎月1回、番組発掘プロジェクトの活動をご紹介する「ひるまえほっと」(関東地域のみの放送)の『発掘!お宝番組』。6月のゲストはこの方!

女優の斉藤とも子さん、お着物での登場です!
その斉藤さんから提供いただいた“お宝”番組は、教育テレビで放送していた「若い広場」のコーナー『マイブック』。

作家をはじめ各方面の第一線で活躍するゲストが、お気に入りの本を紹介するコーナー。その聞き手をつとめたのが斉藤とも子さんです。

斉藤さんがこのコーナーを担当し始めたのは17歳の時、カワイイ!そして初々しいです!このころはまだ本名と同じく漢字で『友子』。高校生だった1978(昭和53)年から3年間にわたってインタビュアーをつとめました。

(松尾リポ)「この『マイブック』というコーナーなんですが、“あの人が!”と思うほど
ビックリ
するビッグなゲストが続々登場しているんです!」

毎回7分ほどのコーナー。一人のゲストが4回連続で各回一冊ずつ、自分が影響を受けた本や大好きな一冊について語ります。

“あの人”の背景には“この本”の存在があったのか!といった驚きや、普段はあまり表舞台で語ることが少ない作家の皆さんが、自分の言葉で話す姿を見られることで人気のコーナーとなりました。

この映像が残されていたのは…

こちらのビデオテープ!斉藤とも子さんに提供いただいたUマチックと呼ばれるビデオテープです。1971年に発売されたもので当時の値段で1本1万円したといいます。

録画してくれていたのは“パパ”、つまり斉藤とも子さんのお父さまです。最初は女優になることを反対していたというお父さまは、とも子さんの出演番組の中でも『マイブック』を特に喜んでいたそうです。

「今、私は見ることが出来ないんですよ、機械が壊れてしまって。ホントに処分しようと思っていたんです。でも、たまたまアーカイブスでこういうのを募集しているのをうかがって…また蘇らせてくれたんです!」

山本アナ、プロの“聞き手”として、高校生だった斉藤とも子さんのインタビューに興味津々です!

(山本アナ)「あの時は高校生ですよね?私は還暦近いんですが、ああいう方々にインタビューする時“ははーっ”と思っちゃうんですが、心の内はどうだったんですか?

「すごく緊張するんですが、なによりその作家さんの偉さが良く分かっていないくらい、ものを知らない(笑)…必死でただ聞くだけでした。」
(山本アナ)「知らないことが勲章だったんですね!」

ではインタビューの中から、まずこの方!

瀬戸内寂聴さん(当時・晴美さん)は中学生の頃に夢中になって読んだ与謝野晶子の「新釈 源氏物語」を紹介。

(斉藤さん)「子供の頃に『源氏物語』の内容は全然知らなかったんですけど、ただカッコイイ素敵な男の子のことを“光源氏”って言ったり。」

(瀬戸内さん)「光源氏っていうのはスーパーマンみたいに何でも出来て素晴らしくって、光り輝くように美しい。そして女の人がみんな好きになっちゃうのね。でも、あんな人が現代にいたら気持ちが悪いと思うんだけどね(笑)」

続いて小説家の五木寛之さん、当時45歳。アウシュビッツの収容所について書かれた本を選び語ります。

(斉藤さん)「わたし一番初めアウシュビッツって知らなかったんですね、よく。ただナチスの事っていうのは何となく知ってたんです。」
(五木さん)「あなたいくつですか?」
(斉藤さん)「今ですか?高校3年生、17歳です。」

(五木さん)「アウシュビッツっていう言葉自体を聞くと、なんとなく“肌があわだつ”ような感じがする、というのが僕たちの世代なんですよ。」

そして当時44歳の小説家・大江健三郎さん。お勧めは子供のころから大好きなマーク・トウェインの「ハックルベリー・フィンの冒険」。

(大江さん)「子供たちがよく自分の好きな毛布を持って旅行したりしますよね。」

(斉藤さん)「はい、お人形とかぬいぐるみとか。」
(大江さん)「僕にとっての“毛布”のようなものが『ハックルベリー・フィンの冒険』っていう本だったんです。…本というものは、人から教わって選ぶというよりも結局は自分で選ぶものなんですね、人生を選ぶと同じように。そして本当の本に出会うと、それがその人にとって魂の一部のようなものになるんだと思います。」

ゲストの皆さんは高校生の斉藤とも子さんのインタビューに対し、分かりやすく自分自身をさらけ出して語ってくれます。

自分自身も聞き手になることが多い山本アナ、高校生の斉藤さんのインタビューに感激!そして脱帽!なぜ本音の言葉を引き出せたのか、その秘密に迫ろうとします。

(山本アナ)「準備はどうしてたんですか?」

「その方が人生の中で出会った4冊、そしてその方の代表作を2冊、だいたい6冊を収録の一週間前に渡されるんです。…読むのに精いっぱいで、ほとんど意味がよく理解できず、そのまま収録に突入してしまうので、スミマセンでした、分かりませんでした…ってお手上げ状態で入っていきました。」

(山本アナ)「分かりませんでしたって、そのままいくところが素晴らしい。大体インタビューする時、知ったかぶりしちゃうんですよね。」

「それはね、ある程度かしこい方なんです!知ったかぶりしたら通さなくっちゃいけないじゃないですか。最初に知ってるって言っちゃったらレベルが高くなりすぎて…。」

『マイブック』というコーナーが、編集をせずに7分間一本勝負で収録していたことも良かったといいます。

「最初に分かりませんでしたっていうと、作家さんが7分間で何とか“この分からない子”に分からせようとして、もの凄く分かりやすい言葉で話してくれるんです。

テレビの前の皆さんは、私よりは分かっていらっしゃるので、バカなこと聞いてるなとか思いながら…。とっても分かりやすい言葉で作家の方がお話してくれるのが良かったのかなと。」

今から35年以上前、女子高校生のインタビュアーが巨匠たちの本音を聞き出していた…
“あの人”が語るお宝映像は次回に続きます!

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