発掘ニュース

No.061

2015.06.19

ドラマ

田村亮さん“お宝映像”発掘!

番組発掘プロジェクトでは今、NHKのドラマに出演した俳優の皆さんに集中的にビデオの提供を呼び掛けています。今回はこの方!

俳優の田村亮さんです!
「元々、僕はNHKのデビュードラマが高校生の時だったんですが、『破れ太鼓』<1965年放送>という作品で、父の阪東妻三郎を追悼する意味で作られたドラマだったんです。その作品に兄弟4人で出演しました。それに無理やり駆り出されたんです。」

そう!田村亮さんといえば兄弟の高廣さん(長男)、正和さん(三男)も俳優。しかも次男の俊麿さんも含めて四兄弟!その全員が出演したドラマがあったのですね!

アーカイブスでの保存はというと…残念ながら動画はありませんが、写真が残っていました!

いかがですか?!超レアな一枚です!もうひとつ、4人そろっている写真がありました。

こちらは打合せ?それとも取材を受けているところでしょうか?

Q デビュードラマ『破れ太鼓』の想い出は?
「女優さんていうのは何て綺麗なんだろうと思いましたね。十朱幸代さん、木暮実千代さんが出演されていました。この作品でもっと役者の勉強をしなくてはという自覚が芽生えて本格的な役者の道へ進むきっかけになりました。」

その田村亮さんが、今回提供して下さったのがこちらのビデオテープです!

「歌行燈(うたあんどん)」と書かれた4本のテープ。家具の引き出しの中から見つかったそうです。

データベースを調べてみると1981年に総合テレビで放送された「夜の指定席 歌行燈」である可能性が!『歌行燈』は1910年に泉鏡花が発表した小説です。それを舞台で演じた作品で、出演者のリストには田村亮さんはじめ、山本陽子さん、池波志乃さん、乙羽信子さんなどの名前があります。

「東京宝塚劇場でお芝居した作品だったんですが、 僕はこの舞台で始めて謡曲を歌ったんですよ。その為に観世栄夫(かんぜ ひでお)先生の指導をみっちり受けましてね。

本番まで声をやられてしまって、本当に苦労した想い出があります。共演は山本陽子ちゃんで、2人で一緒に観世先生の猛特訓を受けてヘトヘトになったのを覚えてますね。」

ところがテープの映像を見てみると…

たしかに同じ舞台の映像ではあるのですが、放送された番組ではなく、現場で撮影したビデオテープのようです。

ちょっと残念ですが、田村亮さんと山本陽子さんの猛特訓の成果を拝見することは出来ました!

Q 田村家には家族を撮影した“お宝映像”もあるそうですね?
「親父が当時の16ミリカメラで家族の様子を撮影するのが好きでした。去年の10月に、我が家に置きっぱなしだった丸い缶に入ったフィルムや、親父が生前に撮った田村家の或る日の様子、親父の葬儀が記録された映像などを、劣化する前にと、京橋にあるフィルムセンターに依頼して修復して頂きました。 その映像を見ようと田村家の親戚、十数名が全員集まって鑑賞会を行いました。そこには昭和20年代の頃の私や正和兄の可愛い姿などが映っていて、その後の食事会で大いに話に花が咲きました。僕も可愛いかったんですよ(笑)」

Q 「番組発掘プロジェクト」で是非発掘してほしい番組はありますか?
「僕がこれまでで最も強く印象に残っている出演作品が『四回戦ボーイ』という作品なんです。ボクサーの役で、実際ジムでスパーリングの指導を受けて臨んだ作品だったんですが、ボクシングのファイトシーンが丸々カットされてしまって…。苦労の甲斐がない作品という事で想い出に残っています(笑)是非発掘して欲しいですね。」

1968(昭和43)年放送の『四回戦ボーイ』。この映像、調べてみたらNHKに残っていました!

主人公の手塚保(田村亮さん)は工場で働きながらトレーニングを続ける“四回戦ボーイ”のプロボクサー。

戦争で右腕を失ってから人が変わってしまった父親を残し、家を飛び出した保。
試合の当日、その父親が亡くなったという電報を受け取り、心が揺れ動きます。

物語のところどころに“戦争”がテーマとして顔をのぞかせます。
終戦からまだ20年余り。ボクシングをテーマにしながらも、戦争が今よりもぐっと近い過去であることを感じさせるドラマです。

東京・新宿でのロケがほとんどで、都電が走っていたり、公衆電話や自動車、ファッションなど画面に映る様々なものが懐かしさを感じさせます。昭和40年代にタイムスリップです!

そして出演者の皆さんがとにかく若い!

試合に出るか出ないか悩みぬいた末、保(田村亮さん)はリングに上ることを決意します。その対戦相手が地井武男さん!ラストシーンは試合開始のゴング。

田村亮さんのファイトシーンは確かにありませんでしたが、ボクシングを通して当時の若者たちの人生観を描き、戦争に対するメッセージを込めた力作だと感じました!

『歌行燈』にむけての謡曲の猛特訓、そして『四回戦ボーイ』でのボクシング練習。仕事に常に全力で向かい合う田村亮さんの役者としての“魂”を見た気がいたします!

50年近い時がたっても、爽やかでカッコイイ田村亮さん、アーカイブスの中に眠っていた名作ドラマを再発見することも出来ました!ご協力、本当にありがとうございました!

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