ホストクラブを利用した女性が、ホストから「売掛金」として多額の料金を請求され、返済のために風俗店で働かされるなどの問題が相次いでいることを受けて、神奈川県警は県内のホストクラブに一斉に立ち入り、営業が適切になされているか確認しました。
▼売掛金・・・悪質なホストクラブでは、高額な料金を店やホストが立て替える
▼問題点・・・売掛金の返済のために客の女性が風俗店で働かされたり、売春を迫られたりする
こうしたホストが立て替えた料金の返済のために売春させられるなどの問題が相次いでいることを受けて、ことし11月には警察庁が全国の警察本部に対し通達を出しました。
通達のポイント
・売掛金が原因の違法行為を見過ごさず、関連する法律を適用して、確実に取り締まること
・客引き行為をしたり、法律や条例で定められた時間を超えて営業したりする悪質な店舗もあることから立ち入りをするなどして適正化を図る
こうしたことを受けて、神奈川県警は12月8日の深夜から翌日の未明にかけて、横浜市と川崎市で営業が確認されている25店舗を対象に一斉の立ち入りを実施。
このうち、横浜市中区にある伊勢佐木警察署はJR関内駅近くの歓楽街を管轄。
県警の担当者が立ち入りを前に集まった警察官に指示しました。
神奈川県警生活安全総務課 小島博犯罪抑止対策室長
「誰もが安全で安心して楽しむことができる歓楽街を実現するために、しっかり取り組んでほしい」
このあと捜査員たちが警察署を出発し、立ち入り先のホストクラブへ向かいました。
今回の立ち入りでは、あわせて20の店舗で、36件の違反が確認されたということです。
違反内容 |
件数 |
---|---|
接客従業者(ホスト)の生年月日などの確認義務違反 |
11 |
従業者名簿の備え付けや記載に関する義務違反 |
8 |
店内の構造や設備を承認なく変更 |
6 |
営業許可証などの掲示義務違反 |
3 |
照明の明るさに関する変更の届け出義務違反 |
3 |
料金表示の義務違反 |
3 |
18歳未満の立ち入り禁止表示義務違反 |
2 |
警察が確認の際に重視したのは、「料金表示の義務違反」。
本来は料金を客がわかるよう具体的に表示することが求められていますが、それが徹底されていないと「売掛金」の問題のようなトラブルにつながる可能性があるためです。
今回違反が指摘された店舗では、そもそもメニュー表がなかったり、メニュー表があっても「時価」などと表示されたりしていたということです。
警察は今後、書面で改善を求める「指示処分」を出す方針です。