新型コロナが感染症法上の5類に移行してから半年がすぎ、国内有数の観光地、神奈川県箱根町は賑わいを取り戻しています。
一方、人手不足が課題になっていて、満室まで予約をとれない旅館もあります。
解決に向けた模索を取材しました。
国内外からの連日多くの観光客で賑わう箱根町。
入湯税の対象となる宿泊者数は、ことし8月に36万9733人になりました。
コロナ禍前の2019年8月(39万5383人)と同水準にまで回復してきています。
観光客
とてもリラックスできたよ。
賑わいを取り戻している一方で、課題となっているのが人手不足です。
こちらの旅館では、客室係が足りずに、満室まで予約を受けることができない日が多いといいます。
例えばこの日は20室のうち3室の予約を受けることができませんでした。
満室にするには客室係が2人から3人足りません。
もともとは満室になるまで予約を受けていましたが、従業員の健康などを考えて人手が足りない日は制限するようになったといいます。
旅館では海外からのインターンを受け入れるなどして、人材の確保や育成に努めていて、いずれは毎日満室まで受け入れられるような体制にしたいとしています。
松坂さん
ちょっとブレーキをかけて営業している状況で、心苦しくもあります。箱根は以前から人手不足でしたが、コロナになってからのいまのほうが人手不足を強く感じています。
こうした中、ハローワークと箱根の宿泊業者の組合などは、11月6日から5日間にわたり、初めて川崎市で企業説明会を開きました。
これまで箱根に近い地域で働き手を募っていましたが、遠く離れた大都市の川崎市で行うことにしたのです。
人事担当者が仕事の内容や福利厚生などを時間をかけて説明しました。
人事担当者
従業員食堂がございまして、お昼と夜は2食、無料で食べて頂けます。調理のスタッフが作ってるので、味もおいしいと言われています。
説明会には、5日間で予想を超える260人余りが訪れました。
求職者
大変かなっていうイメージはありますが、やってみたいなっていう気持ちもあります。箱根町が遠いのは、寮があると伺ったので大丈夫です。
川口さん
地元だけでは人を集めることができていないので、こういった新しいところにきて、対応していかなければいけない と思っています。
人がやっていた業務の自動化を取り入れた施設もあります。
ことし7月にオープンしたホテルでは、チェックインやチェックアウトを自動で行う機械3台を導入。
客が自分で行うことができます。
さらに手荷物を自動で預けられる機械も導入しました。画面を操作すると壁の一部が開き、荷物の出し入れができます。
人手を削減する工夫は客室でもみられます。
テレビモニターを操作すると、レストランや風呂の混雑状況を確認したり、貸し切り風呂の予約をしたりできます。宿泊代の精算も部屋で行うことが可能になりました。
ホテル内にある自動販売機やランドリーをすべてキャッシュレスでの運用にして、現金の管理にかかる人手を削減しています。
こうした取り組みで従業員の業務を大幅に減らすことができたといいます。
箱根ホテル小涌園 道本岳人 営業担当課長
今後日本の人口が減っていく中で、やはり労働力という問題も出てきます。持続可能なホテルとして生き残っていくために、よりお客様に近いところでサービス等に力を注げるように、機械化を進めています。
箱根町では旅館やホテルの数も増えているということで、
人手の確保は厳しさを増しています。
ハローワークなどでは今回の川崎市のほかに横浜市でも就職説明会の開催を検討しているということです。