ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナの現状を伝えようと、現地のイラストレーターらが制作したポスターの展示会が、10月31日から横浜市で始まりました。
「49枚から繋がる」と題したこの展示会。
ウクライナの現状を多くの人に知ってもらおうと、横浜市の「かながわデザイン機構」が開いたものです。
会場は、みなとみらい駅の改札近くのギャラリー「サブウェイギャラリーM」。
現地のイラストレーターが制作したポスターなど、49点が展示されています。
このうちキーウに住むイラストレーター、オレフ・グリシェンコさん(38)の作品は、本が大きな壁になって人々を守っている様子を描いています。
ウクライナ文化への誇りとともに、文化が人々を守り、力を与えてくれるという願いを込めたということです。
自分にできることをしようと、イラストで現状を発信していますが、いつ攻撃を受けるかわからない緊張状態が続いているため、精神的に不安定になっているということです。
オレフ・グリシェンコさん
気持ちが高ぶっているときはイラストを通じた活動をできるが、気分が沈んで何もできないと感じるときもあり、まるでブランコのように2つの状態を行ったり来たりしている。
いまのウクライナ人の気持ちを伝えることができるので、展示会の開催に感謝している。日本の人たちにウクライナのことを忘れないでほしいし、引き続き支援が必要だと伝えたい。
同じくキーウ在住のマリヤ・キノヴィッチさん(31)の作品は、ウクライナを象徴する花として親しまれているひまわりに、焼け焦げた穴が空いていて、日常が一瞬で失われた悲しみを表しています。
マリヤ・キノヴィッチさん
侵攻によって、明るさと正義が奪われました。イラストのひまわりはウクライナであり私でもあります。美しい暮らしは繊細なもので、一瞬で廃墟になってしまうことを、イラストを通じて伝えたかった。日本のみなさんには、生きている瞬間を大切にしてほしいです。人生はとても壊れやすいものだからです。
会場ではウクライナから日本に避難している人がつくった手芸品やウクライナのワインなどを、販売しています。
利益については、現地に毛布やカイロを届けるために活用するということです。
会場を訪れた88歳の女性は「戦争に反対だというメッセージが伝わってきて胸が詰まる思いです。どうすれば戦争は終わるのか、みんなで考えないといけないと思います」と話していました。
75歳の男性は、「ほかの戦争もあるが、ウクライナの大変な状態がまた頭に浮かんで、何もできないことをつらく感じました。何か踏み込んだ支援ができたらいいのにと思いました」と話していました。
かながわデザイン機構 岩本凉子さん
現地の人たちの気持ちがダイレクトに伝わってくるポスターだ。メッセージを受け取って、自分に何ができるのか考えてほしい。
この展示化は、11月5日までサブウェイギャラリーMで開かれています。