「ダルマ自転車」と呼ばれる巨大な前輪が特徴の自転車で、長崎からおよそ1500キロを走破して横浜に到着したアメリカ人の男性2人。いったいどんな旅だったのでしょうか。
「ダルマ自転車」での旅に挑んだのは、いずれも55歳のアメリカ人のエリック・ナイトさんとマーク・ケネディさん。
2人は大学の同級生でサイクリング仲間です。
130年余り前にアメリカの冒険家トーマス・スティーブンスがダルマ自転車で世界一周した際、日本では長崎から横浜まで走破したのを再現しようと、9月24日、長崎市を出発しました。
ダルマ自転車の特徴は、その巨大な前輪です。
直径40センチほどの後輪に対し、前輪はおよそ1メートル40センチもあります。
現代の自転車と比べると小回りが利かず、速度も上がりにくいものの、高さがあって見晴らしがよく、運転していて気持ちがいいということです。
当時の記録をたよりに、スティーブンスが実際に走った道のりをできる限り再現したという2人。
道中、ダルマ自転車にはナイトさんが乗り、日本語が堪能なケネディさんは電動自転車に乗って通訳兼助手として同行しました。
目的地である横浜市に到着したのは、長崎市を出発してからおよそ1か月後の10月25日。
走破した距離はおよそ1500キロにも及びました。
ダルマ自転車は構造だけでなく、乗り方も独特です。
走り出すときには片足で助走をつけて飛び乗り、止まるときには確実に停止するように素早く両足をおろしてブレーキをかけます。
この動作を1日に何百回と繰り返すため、ナイトさんの足腰には大きな負担がかかったといいます。
ひざやアキレスけんを痛めてしまい、温泉に入って休んだ日もありました。
長い旅の間は自転車のトラブルもありました。
ダルマ自転車のシートが壊れた時は、地元の自転車店が修理をしてくれたといいます。
また、ケネディさんが乗る電動自転車がパンクしたときには…
中学生たちが来て、空気入れを持ってきてくれたり、大人を呼んできてくれたりしました。すごく助かったので、印象に残っています。
休憩中には、飲み物などの差し入れをしてもらうことも度々あったという2人。
口をそろえて「日本の人たちの支えで走りきれた」と話していました。
リモートでふだんの仕事をこなしながら、今回の旅に挑戦した2人。
一番伝えたかったことは何なのか、最後に尋ねてみました。
私は物事を創造的に考えれば、いろんなことが可能になると思っています。そのことを伝えるという意味でも、今回、私たちのチャレンジを実現できたことは良かったと思います。たくさんの人から笑顔で応援してもらえて、すばらしい旅でした。
55歳のおじさんたちでも、こういうことができるんだと知ってほしいです(笑)
いつもの生活に戻りますが、またいつかどこかで、エリック(ナイトさん)と何かチャレンジできたら楽しいでしょうね。