“梅雨明け直後の1週間は暑さに体が慣れていないため熱中症で救急搬送される人が多くなる傾向がある。”
川崎市の研究所が独自の調査で導き出した結果です。
市はこまめな水分の補給や冷房の適切な使用など熱中症対策の徹底を呼びかけています。
調査を行ったのは、川崎市立の環境総合研究所です。
気候変動や熱中症への対策、大気汚染の観測などにふだんから取り組んでいます。
今回、平成25年から去年までの10年間に市内で熱中症によって救急搬送されたおよそ4000人について分析。
梅雨明けの日を起点に、5月1日から9月30日までの期間を1週間ごとに分けて人数を合計し、どんな傾向があるのかを調べました。
その結果、梅雨明け直後の1週目の搬送者が624人と、すべての週のなかで最も多く、前の週と比べると4倍以上になり、急増していたことがわかりました。
また、梅雨明け直後の1週目は、5週目と比べると、猛暑日の日数は同じでも、搬送者はおよそ1.7倍になっていました。
これについて市の研究所は、
「梅雨明け直後は熱中症の救急搬送が多くなる傾向が浮き彫りになり、暑さに体が慣れていないことが要因として考えられる」としています。
市の研究所はいま、新たにわかった梅雨明け直後の熱中症リスクを周知するとともに、高齢者への注意の呼びかけを強化しています。
研究所によりますと、平成30年から令和4年までの5年間のうち、5月から9月にかけて市内で熱中症で救急搬送された2180人について発生場所を調べて合計すると、
▼住居が37点5パーセントと最も多く、
▼次いで道路が22点2パーセントになったということです。
そして、住居と道路、いずれのケースも60%以上が高齢者だったのです。
川崎市環境総合研究所は
「暑さを自覚しにくいとされる高齢者は住居内でも熱中症になるケースが数多く発生していて注意が必要だ」としています。
こうした調査の結果を受けて、市の研究所が呼びかけているのは、熱中症に対する「3つの予防習慣」です。
熱中症 3つの予防習慣
①暑さを避けること
外出時には、日傘や帽子などを使用するほか、白色や、通気性のいい素材の服を着用することも効果的です。
また屋外の活動では、こまめに休憩をとることも大切です。
②こまめに水分補給すること
”のどが渇かなくても”定期的に水分補給することが大切です。
寝る前と起床後はコップ1杯の水を飲みましょう。
1日で飲む量は1.2リットル程度が目安です。
汗をかく場合、塩分も補うことも必要です。
③部屋の温度や湿度を確認すること
高齢者は暑さを自覚にしにくいとされているため、室温が28度を超える状況になっていないか注意します。
蒸し暑いと感じるときは特に注意が必要です。
川崎市環境総合研究所の鈴木英幸 担当課長は
「梅雨明け直後の時期は熱中症の危険性が高く特に注意が必要です。
3つの予防習慣を徹底して安全に過ごしてほしい」と話しています。