高速道路の料金所のETC出口で前を走る車にぴったりと近づき、料金の支払いを不正に逃れる「カルガモ走行」。
その不正を繰り返していたとして、愛知県の陸送会社の2人が警察に検挙されました。
3年間におよそ850回の不正を繰り返していました。
高速道路の料金所に設置されたETCの出口で、車間距離をあけず、前を走る車にぴったりと近づいて、料金の支払いを逃れるいわゆる「カルガモ走行」。
被害があとを絶たない中、神奈川県警高速隊は「不正な通行を繰り返すトラックがいる」という高速道路会社からの通報を受けて捜査を進めていました。
その結果、愛知県内にある陸送会社の2人が2022年、中古トラックをみずから運転して輸送している際に、神奈川県内の東名高速道路の料金所で「カルガモ走行」をして支払いを逃れたとして、6月19日までに道路整備特別措置法違反などの疑いで検挙されました。
警察の調べによりますと、検挙された陸送会社による「カルガモ走行」の手口は次のようなものだったということです。
主に愛知県や兵庫県のオークション会場で落札された中古車を千葉県内の自動車販売会社に運ぶため、東名高速道路や首都高速道路を通行していた。
このうち東名高速道路では、ETCが設置されていない一般入り口で通行証を受けとり、出口の少し手前で「カルガモの親」になりそうなトラックを探していたということです。
親となるトラックを見つけると、密着を開始。
ETCが設置されている料金所でそのまま前のトラックとの車間距離をあけずに通過し、料金の支払いを逃れる行為を繰り返していたということです。
首都高速道路では主に料金所が入り口に設置されていることから、入り口で「カルガモ走行」を繰り返していたということです。
検挙された2人のうち1人は、警察のこれまでの調べに対し、次のように話しているということです。
「みずから運転し数百回は料金所を突破した。陸送の費用をうかせるためにやった」
これまでの調べによりますと、この陸送会社は1台の輸送につき4万円前後を受け取っていて、およそ1万円かかるはずの高速料金を逃れていたとみられています。
警察は、この陸送会社がことし春ごろまでの3年間に東名高速道路と首都高速道路でおよそ850回の不正を繰り返し、およそ750万円の支払いを逃れた疑いがあるとみて詳しく調べています。
「カルガモ走行」があとを絶たないことから、首都高速道路と中日本高速道路では対策を強化しています。
首都高速道路
料金所のすべてのレーンに防犯カメラを設置して、不正通行を監視しているほか、警察に対し、不正通行の情報を提供するなどしているということです。
中日本高速道路
各地のサービスエリアやパーキングエリアに「『カルガモ走行』をはじめとした不正通行は刑事罰の対象となる」という内容のポスターを掲示して、不正通行をしないよう、ドライバーに呼びかけているということです。
また、料金所に防犯カメラを設置し、不正に通行した車を特定したうえで警察に通報しているということです。
首都高速道路と中日本高速道路は今回「カルガモ走行」で2人が検挙されたことを受けて、ホームページで次のようなコメントを公表しました。
本件の不正通行に対しては通行料金の確認をおこない、不法に免れた通行料金に加えて割増金(免れた通行料金の2倍に相当する額)を請求します。高速道路はお客さまの通行料金によって運営されています。不正な通行は許しません。今後も不正通行に対し、毅然とした態度で臨みます。