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箱根の観光客数は新型コロナ前の8割に回復

  • 2023年06月12日

全国でも有数の観光地、神奈川県箱根町。
2022年に訪れた観光客は1700万人で、新型コロナ感染拡大前の8割程度に回復しました。
個人客に向けて設備を改装しているホテルや、リピーターを増やそうと奮闘するガイドを取材しました。

1700万人 コロナ前の8割に回復

箱根町によりますと、2022年に日帰りや宿泊で町を訪れた観光客は1736万人でした。
おととしより386万人、率にして28点6%増えました。
感染が拡大する前の平成30年は2126万人で、8割まで回復しました。

ただ、おととしと3年前、それにオイルショックで観光客が激減した昭和50年前後に次いで、過去7番目に 少なくなりました。

去年10月以降は例年の水準に

一方、水際対策の緩和や政府の「全国旅行支援」などの効果もあって、10月以降は例年の水準まで回復したということです。

外国からの宿泊客を国や地域別にみると、一番多かったのがアメリカで、香港、韓国、シンガポールの順でした。

箱根町企画観光部 石川憲一部長
暗い2年間をこえて、ようやく明るい兆しが見えてきた。インバウンドを増やすため、海外プロモーションを行うとともに、観光客の消費額増加につなげるため国や事業者などと連携していきたい。

個人客向けに改装のホテルも

ホテルおかだ

箱根町湯本茶屋にある「ホテルおかだ」は、122の客室がある創業70年の老舗ホテルです。
以前は宿泊客の4割を団体客が占めていましたが、感染拡大にともなって激減しました。
一方で「プライベートな空間でゆっくり過ごしたい」という個人や家族単位の宿泊客が増えたということです。

露天風呂付きの客室

ホテルは去年観光庁の補助金を活用し、1億円以上の費用をかけて改装工事を行いました。
▼6つの客室を和室から和洋折衷に改装して部屋付きの露天風呂を設ける。
▼一部の宴会場を、仕切りのある個室形式に変える。
どちらも個人客の取り込みが狙いです。

個人客はコロナ前上回る

ことし4月の宿泊客のうち、団体客の数は感染拡大前のおよそ6割でしたが、個人客はコロナ前を上回り、1人あたりの売り上げも増加したということです。

オランダから訪れた50代男性
東京がせわしないのに比べて箱根は静かなのがいい。これから初めて入る温泉が楽しみです。

原 洋平 常務取締役

コロナ禍になってから個人のお客様が多くなり、プライベート感のある部屋の利用が増えました。今の時期は新緑がきれいなので、お風呂を楽しみがらゆっくりお過ごしいただけたらうれしいです。

ガイドの養成に力を

箱根町では観光客に町の自然や文化、歴史を紹介するガイドの養成にも力を入れています。

箱根町観光協会「箱根DMO」は、おととしから、町の自然や文化、歴史を詳しく紹介するガイドの養成講座や認定試験を始めました。
観光客に町の魅力を深く知ってもらい、滞在時間を増やしたり、リピーターになってもらったりすることが狙いで、これまでに200人以上が受講したということです。

このうち、浅井美香さんはおととし講習を受けて資格を取得し、外国人観光客や県外から訪れた人向けのガイドを始めました。

今月は東京・八王子市から訪れた70代の女性を案内して旧東海道を歩き、
▼歌川広重が描いた箱根の山を紹介したり、
▼石畳が排水しやすいように並べられていることを解説したりしていました。

案内を受けた女性
いつもは車で通り過ぎてしまいますが、ガイドしてもらうと目に入る景色がふだんと全然違うものに感じられます。

浅井美香さん
箱根は温泉もすばらしいですが、それだけでなく長い歴史や文化があり、自然も豊かです。2泊3泊していただき、箱根の魅力を存分にお楽しみいただきたいです。

箱根町では今後も観光客を増やすため、取り組みを続けていきたいとしています。

  • 北村基

    横浜放送局 小田原支局記者

    北村基

    2017年入局。宇都宮局を経て、2022年8月から横浜局小田原支局。南関東の空気に馴染むべく、目下、歴史を勉強中です。

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