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相模原市長選挙 現職と新人が立候補表明 5人の主張は

  • 2023年3月9日
左上から時計回りに本村氏、野元氏、沼倉氏、武嶋氏、建部氏

4月に行われる相模原市長選挙に、現職と新人の5人が立候補の意向を表明しました。それぞれの主張をお伝えします。

立候補を表明したのは

相模原市長選挙に立候補を表明しているのは、
▼2期目を目指す無所属の現職の本村賢太郎氏(52)と、
▼無所属の新人で、東京都立大学教授の野元弘幸氏(61)、
▼無所属の新人で、元相模原市議会議員の沼倉孝太氏(75)、
▼諸派の新人で、看護師の武嶋俊子氏(50)、
▼無所属の新人で、共産党が推薦する市民団体代表の建部由美子氏(75)の5人です。

都市部も自然豊かな地域も

相模原市は平成19年の市町村合併を経て、平成22年に政令指定都市になりました。
市の面積は神奈川県内では横浜市に次いで広く、都市部と自然豊かな地域が共存しています。
JR東海が建設を進めるリニア中央新幹線で、県内唯一の駅が建設される予定です。

人口は増加傾向も進む高齢化

人口はおよそ72万人。
増加傾向が続く一方、高齢者が占める割合は2022年1月時点で26.6%と、県全体の25.8%を上回っています。
財源の余裕度を示す「財政力指数」は、2020年時点で0.88と県内33市町村の平均0.92を下回り、11番目に低くなっています。

5人の主張は

▼現職の市政運営への評価

本村氏

新型コロナや、台風といった甚大な災害があった中、自分としては全力で走ってきたが、前回の選挙で打ち出した政策のうち実現できたのは7割程度かと思っている。何となくやっていた事業を見直し、進めるべきものは進め、立ち止まって検討するものは立ち止まった。職員の優秀な知恵をいただき、行財政構造改革を進めてきた。後世に相模原をつなげていく責任のため、改革を進める。

野元氏

現在の市政はさまざまな問題や課題を解決できておらず、新しい力による市政改革が必要だと考えた。新型コロナウイルス感染症対策や、災害対策など、市民の生命と健康を守るうえで地方自治体の果たす役割が大変重要。リニアをはじめ、大規模事業にお金をつかう現市政には共感できない。現在の市長には今後の市政を任せることはできないと感じるようになった。

沼倉氏

行財政改革といって、響きはよく聞こえるが、もう絞れるところは絞り切れているのではないかと思う。銀河アリーナが本当になくなってもいいのかなど、点検をしていく必要がある。現市政でやったのは事業の仕分けであって、この4年間の成果は見えてこない。本村市政は市民の声を聞くと言うが、自分の思いを市民に伝えることが市長としての仕事だと思う。

武嶋氏

人口は減少に転じているし、今後も減少が続く中で、相模原市が子育て支援をしっかりやっているのかと聞かれると不十分。子育て世帯への給付も少ないし、支援の継続性もないと感じる。このまま続けていけば、ほかの自治体へ人が流れてしまう。兵庫県明石市をお手本にして、子ども中心の施策にシフトすべきだ。

建部氏

去年初めて本村市長に会った。市民の前に顔を出して直接要望を聞く姿勢はいいと思うが、予算が伴うことについては「お金がないので」という答えが返ってくることが多く残念だ。現市政は国に協力することが多く、市民の方を向いていない。津久井など交通弱者への対策や、学校の教員不足といった課題になぜ予算を投入しないのか。税金を市民生活に向けず、期待外れだった。

▼市長として取り組みたいこと

本村氏

これまでに子どもたちや親の声を聞いてきた。子育て支援に力を入れていきたい。令和8年中を目標に、すべての中学校の完全給食化を実現したい。また、公共施設の使用料の無料化や、子どもたちが遊べる室内広場の確保を進める。小児医療費無償化の所得制限撤廃も前向きに検討する。
麻溝台・新磯野地区整備推進事業については、やめた方がよいという声もあるが、相模原の新たな産業や居住の拠点にもなりえる。この4年間に、これまでの膿を出すという辛い仕事をやってきた。現地に入って職員とともに汗を流し、この事業を動かさなくては後がないという思いでやっていきたい。
相模原はあらゆる差別がない共生社会の実現を目指し、来年度のどこかで人権条例の提案をしていきたい。

野元氏

第一に子ども・若者支援を最重要課題と考える。少子化の原因は安心して子供を産み育てられる環境が整っていないこと。背景には若者の貧困問題や、子育て・教育の貧困問題もある。地方自治体ができることは最大限行い、子ども・若者を救うことを最優先に取り組みたい。
多様性を尊重し、国際化も推進する。障害の有無や国籍、性的指向などで差別されたり、排除されたりしない社会づくりを目指す。「外国人住民市政参加条例」のようなものを全国に先駆けて制定するなど、外国人住民と共生できる相模原にしたい。
東日本大震災直後から、岩手県大船渡市でボランティア活動を行いながら、調査研究を行ってきた。首都直下型地震などに備え、災害に強いまちづくりを進める。

沼倉氏

相模原市への流入人口を増やすためにも、小田急多摩線を延伸させて相模原駅までつなげることに力を尽くしたい。小田急電鉄と市の職員で人事交流やプロジェクトを作りたい。流入人口を増やし、税収確保につなげていく。
スタジアムを相模原駅北に誘致するのはありえない。スタジアムは夢があるが、それよりも安定した税収につながる開発を目指したい。
緑区の観光にも力を入れていきたい。山が多く広がる地域に桜や紅葉の木を植えて、人を呼び込んで観光業で成り立っていけるようなまちづくりをしていきたいと考えている。
スポーツ分野で子育てに関わってきた。学校に通う子どもたちの居場所がなくなってきていることに危機感を感じる。社会の担い手になってもらうように、行政として支援していきたい。

武嶋氏

人口減少が進むと、このままでは生活インフラを維持する人材も足りなくなってしまう。まずは子育て支援を充実させ、子どもを中心にみんなに優しいまち、市民のための政治を実現する。市民の声を聞いて、必要な支援を行っていきたい。そうすれば経済が活性化して税収も増え、市民サービスも向上させられる。
市外からの移住・定住を促進する。医療費無償化、保育料無償化、おむつ無償化、給食費無償化に加え、市の施設をすべて無料に。5つの無償化を進めるとともに、子育てサポーターの育成にも取り組む。
いま箱物を作っても、人口減少が進めば意味が無い。リニア中央新幹線の新駅や津久井農場計画といった大型事業を見直し、財源を捻出する。

建部氏

戦争前夜と言われる情勢の中、市内には在日米軍の司令部などがあり、市民はまさに戦争をする国づくりの最前線に置かれている。国のいいなりになるのではなく、憲法を正面にすえた地方自治本来の姿を取り戻し、豊かさを実感できる市民生活とは何かを問いかけていきたい。
女性の権利向上のため、地域の中で運動に参加してきた。女性は今までセクハラなどを受けても声を上げられなかった。ジェンダー平等の市政を実現する。
保育園や幼稚園、小中学校の教育にも力を入れていく。保育士や教員の待遇を改善したい。
市民が何を望んでいるのか、何に困っているのか聞いて改善していく。そういった市政を目指したい。

▼リニア中央新幹線について

本村氏

駅ができて終わりではなく、降りたい駅にしなくてはならない。市外からの来訪者が相模原で一泊し、自然を堪能できるように。リニアを生かした街づくりや観光振興を県や東京都と広域連携してやっていきたい。
さまざまな意見があることは承知しており、反対する声も聞いてきた。今後も市民の声を聞いていきたい。

野元氏

リニア中央新幹線建設は環境破壊や残土処理問題を引き起こし、SDGsの理念に違反することから、明確に反対。
リニア推進のための市の組織は廃止し、用地買収もすべてやめる。市民生活を最優先に考え、静岡県のようにデータをもとに慎重で徹底的な検証をやっていきたい。

沼倉氏

リニア事業は、市にとってありがたいことと捉えている。東京が災害で機能を果たせないとなった場合に、相模原が始発駅になるなど、活用できたらいいと思う。周辺にビオトープがある駅にして、蛍が飛び交うような自然あふれる場所にする。若者が集まり、また来てみたいと思える、ほかに類のないような駅前にしたいと考えている。

武嶋氏

今の人口減少を考えると、リニアの新駅を作ったとしても利用する人が少なくなってしまうと思う。せっかく作っても、使われなくなってしまっては意味がない。リニアを通すのはいいが、今ではない。白紙に戻せるなら、白紙に戻したい。

建部氏

リニアのような大型開発に税金を投入するのではなく、市民生活に向けるべきだ。リニアは工事が進んでいるが、沿線の住民の訴訟や運動に関わっている立場から、建設は無理だという認識だ。大勢の住民を立ち退かせる開発は1日も早く止めたい。

投票は4月9日

相模原市長選挙は、統一地方選挙の前半、4月9日に投票が行われる予定です。

選挙の情報は特設サイトでも

NHK横浜放送局では、統一地方選挙の情報を特設サイトでも発信しています。
神奈川県知事選挙や相模原市長選挙、県議選や横浜・川崎・相模原の市議会議員選挙など、随時アップしていきますので、ぜひご覧下さい。

  • 高橋哉至

    横浜放送局 厚木支局記者

    高橋哉至

    2018年(中途採用で)入局。 初任地の宇都宮放送局では 警察や司法、支局取材を担当。 2021年11月からは厚木支局で地域の課題やスポーツ関連の話題を取材。

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