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SNS型投資詐欺 弁護士による“二次被害”の訴えも 資産を守る3つのポイントは“だまされやすさチェックシート”も活用を

  • 2024年4月19日

「すごくショックですし、人間不信になりますね」

投資に関する偽のSNS広告を入り口とした詐欺被害が急増しています。
中には、投資詐欺で1200万円あまりを失い、被害金を取り戻したいと弁護士に依頼したところ“二次被害”に遭ったと訴える人も。
だまされないための3つのポイントや、あなたのだまされやすさをはかるチェックシートを紹介します。(全2回の後編/前編を読む
(首都圏情報ネタドリ!取材班)

「首都圏情報ネタドリ!」で放送した内容は、NHKプラスで配信しています。
(配信期間4月19日(金)19:30~4月26日(金)19:57)↓

まさか弁護士が… “二次被害”の訴え増加

有名人を悪用したSNS型投資詐欺の巧妙な手口と、被害に多く見られる特徴について前編の記事でお伝えしました。

被害に遭ってしまったあと、お金を取り戻そうとする先で、“二次被害”ともいえるケースが起きていることも見えてきました。

去年、大阪弁護士会は会見を開き、ある懲戒請求を発表しました。懲戒請求を受けたのは、広告で詐欺被害の救済をうたっていた弁護士。

広告業者に違法な名義貸しを行ったこと。さらに、実際には難しい被害の回復を実現できる可能性が高いようにうたったことなどが、懲戒請求の理由です。

この弁護士の広告をきっかけに、“二次被害”に遭ったと訴える30代の山田さん(仮名)です。

山田さん(仮名)
「とにかくお金を取り戻したいという気持ちで必死でした。知識が豊富な弁護士だったら絶対取り戻してくれるだろうと思っていました」

投資詐欺で1200万円あまりを失ったという山田さん。被害金を取り戻したいと、弁護士を探しているときに広告を目にしました。

着手金として要求された65万円を支払いましたが、状況は半年以上、進展しませんでした。

送られてきた中間報告書も、インターネットで誰でも調べられる内容のものでした。

山田さん(仮名)
「弁護士さんに依頼すれば解決してくれるものだって思い込んでいたので、すごくショックですし、人間不信になりますね」

東京都の消費生活総合センターに寄せられた、弁護士による“二次被害”の相談件数は、昨年度51件。3年前の3倍に増えています。

なぜこうした事例が増えているのか。その背景を、法律事務所で勤務経験があり、弁護士の不正に詳しい男性が語りました。

弁護士の不正に詳しい男性
「1番の理由は弁護士が多くなったことでしょう。弁護士になったからといって食える社会じゃなくなった」

男性が語ったのが、弁護士の増加で競争が激化している、業界の裏事情です。

十分に収入が得られない弁護士に、悪質な業者が接近。

弁護士の名前を使って誇大広告を出すなどして、投資詐欺などにあった被害者から着手金を集め、弁護士と分け合います。

収入をなんとかして確保したい一部の弁護士が、本来違法とされているこうした行為に手を出しているのだといいます。

弁護士の不正に詳しい男性
「結局、利害が一致するわけですね。弁護士はとりあえず銭が欲しいと。そうなったら、黒い金でもつかんでしまおうか。悪徳業者はこいつが潰れたら別の弁護士探してくればいいわと、それだけの話ですわな」

大阪弁護士会によると、懲戒請求を受けた弁護士の事務所は、1800人から着手金として総額9億円を集めていたとみられています。

私たちは先月(3月)、この弁護士に見解を求めましたが、本人からの回答は得られませんでした。

弁護士による“二次被害”の訴えが相次いでいる状況について、東京弁護士会の小早川真行弁護士は次のように話していました。

小早川真行弁護士
「一部の弁護士の話ではあるものの、極めて異常な事態です。SNS型投資詐欺被害での回収は基本的に難しい。そうした広告に安易に飛びつかないでほしいと思います」

だまされないための3か条

どうしたらSNS型投資詐欺から資産を守れるのでしょうか。ネットトラブルに詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんに、だまされないための3つのポイントを聞きました。

(1)“今だけ” “絶対” “確実”は要注意
不当に安さやお得さをアピールしていたり、確実な利益をうたったりする表記がある場合は危険です。

(2)著名人の公式サイトを確認    
著名人は公式アカウントなどで、なりすましについて注意喚起していることが多いので、必ず確認してください。

(3)だまされる前に「188(いやや)」に相談   
少しでもおかしいなと思ったら、お金を払う前に「消費者ホットライン」188(いやや)に相談してみてください。

だまされやすさチェックシート あなたは何点?

消費者庁が公開している、自分のだまされやすさを知るチェックシートもあります。

「拝まれるようにお願いされると弱い」や「おだてに乗りやすい」など15の質問に答えると、自分のだまされやすさが判定できます。

合計点が高い人ほど注意が必要です。ただ、危険度が低いとされた人でも油断は禁物です。

ITジャーナリスト 高橋暁子さん
「自分のことを客観的に見るのは難しいので、チェックリストで自分の傾向を把握するのは効果的です。また、こうしたチェックリストを身近な人と一緒にやってみるのもいいですね。お金のことは人には話しづらいので、リストを使うことで、話すきっかけになると思います」

 

<前編>
森永卓郎氏など有名人かたり…SNS型投資詐欺急増 30代‐40代も注意 “怪しい”と思ったが1900万円失った人も

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