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生成AI使ったフェイクニュース・画像・動画など見抜くには

  • 2023年11月24日

最近、SNSなどで、これって本当かな?と感じるような情報を見たことはありませんか。
いまでは、生成AIを使うと、意図すれば誰でも簡単に画像や動画、音声も本物のように見える偽の情報、フェイク情報を作り出すことができるようになり、中には実際に詐欺行為に使われたケースも出てきています。

いつ誰がフェイクに触れ、信じ込んでしまってもおかしくない中で、どんなことに注意したらいいのか、今からでもできる注意点をまとめました。

(フェイク・バスターズ取材班)

フェイク情報から身を守る3つのヒント

フェイク情報から身を守る(1) タイムラインはみんな違う

フェイク情報に関する取材をする中で、専門家や実際に信じ込んでしまった当事者に聞くと、出てくる話があります。それは、“誰がフェイクを信じてもおかしくない”ということです。

周りにいる人が使っているスマホで、その人がふだん使っているSNSを見たことがありますか?

旧ツイッターのXでも、インスタグラムでも、出てくるタイムラインは実は人それぞれ全く違います。

スマホで活用しているニュースサイトやSNS、さらにはフォローしている相手も違います。特にSNSでは、その人の好みに合わせた情報が選択的に表示されるので、スマホで見ているものは人それぞれで大きく異なるのです。

しかし、情報を手に入れる手段が“スマホのみ“ということが続いていると、家族や友人、大切な人がふだん全く違う情報に触れていることを忘れがちで、トラブルのもとになることも珍しくありません。

自分がスマホで触れる考え方、見ている世界が全てのように感じ、周りの人が見ていることが信じられなくなる。

これまで信じてきた相手なのに、「意見が違う」、「信じている情報が違う」などということになり、話が通じなくなることもあるかもしれません。

さらに、いまでは、そこにフェイク情報も入り込みます。

フェイク情報でも自分の好みのタイムラインの中で出てくると信じてしまいやすくなります。

では、どうすればいいのでしょうか。

自分もフェイクに気づいていない可能性がある、ということを頭の片隅においてください。

意見が違う相手に対しても、すぐに否定するのではなく、まずは「どうしてそう思ったの?」「何に書いてあったの?」というような形で、どんな情報に触れてきたのかをお互いにまず確認し合うことから始めてもいいかもしれません。

「趣味や関心、日々の過ごし方によって、スマホに流れてくる情報は違う」ということを意識することで、自分の好みの情報や、紛れ込むフェイク情報を収集し続ける日常から一歩違う視点を取り入れるきっかけになります。

意見が違う相手にかける「ひと言目」が変わるきっかけになることもありますので、意識してみてはいかがでしょうか。

 

フェイク情報から身を守る(2) コスパ重視・即拡散に要注意

実は、自分のもとに流れてくる情報は“正しいに違いない”という意識は誰もが持ちうる感覚だと言われています。

しかし、気づかないうちに誤った情報を“正しいに違いない”と思い込んでしまっているおそれが。

特にいま、多くの人が行っている日常生活での習慣が「フェイク情報と相性がいい」とされています。
それは、「コスパ重視のスマホ利用」。

たとえば動画の倍速視聴や、SNSのタイムラインを高速でスクロールすることです。

日々の生活が忙しい中で、スマホに流れてくる情報が大量にあると、いかに効率的に情報を収集するかということに目がいきがちですが、その生活を続けていると「疑うことなく信じる」ということが起きやすくなります。

さらに、その中でSNSに表示された情報を見て、怒りや不安の感情が高まると、だれかに「伝えた方がいい」と瞬間的に感じ、拡散することにつながります。

しかし、ここで一回落ち着きましょう。

SNS上で拡散したり、メッセージアプリなどで誰かにリンクを送る前に一度、「その情報は誰がいつ出したのか」確認してみてください。

情報を広めているアカウントがこれまでに投稿している内容をチェックすると、そのアカウントの性質が分かります。

また、ほとんど投稿がないアカウントだと、誰かが何らかの目的で情報を広めるために、急にアカウントを作ったのかもしれないと疑うこともできます。

誰かに伝えた後に、もしかしたら間違っていたかもしれない、と気づいても、「間違っていた」とは言いづらくなることもありますし、拡散することで誰かを傷つける“加害者”の援護につながることもあります。

拡散する前に一呼吸置くことを意識することが大切です。

情報に効率的に触れるだけではなく、あえて情報にゆっくり触れるということも意識してみることも試していただけたらと思います。

 

フェイク情報から身を守る(3) 自分で調べてみるクセをつける

SNSなどで流れてくる情報をなぜ信じてしまうのでしょうか。

信頼できる誰かが言っていたから?
お世話になっている人が送ってくれたから?

信頼できる情報源を持つことはとても大切ですが、SNSなどでフェイク情報が氾濫するいま、いつ誰の情報にも不正確なものが混じる可能性があります。

情報を受け取る側も自分で調べてみることが、不正確な情報にだまされないことにつながります。

SNSで流れてきた情報をメディアはどう伝えているのか、見てみるのも大事です。

SNSでは「マスコミが報じない○○○」という表現がよく出てきますが、偏った内容であることも多く、注意が必要です。

多くのマスメディアでは、ニュースや情報を出すときに、それぞれが独立して情報の検証・確認作業を行っています。

1つだけでなく、複数のメディアの伝え方を調べるのも大切です。

NHKで放送していること、他の新聞社やテレビ局が伝えていることを比較してみると、事実自体は同じ内容でも、捉え方の違いが見えてきます。

もし、それでも分からないことがあると思ったときは、その情報を誰かに伝えるという判断を保留してみてください。

世の中で話題になっている情報でも不正確なものは多くあります。
メディアが検証するには時間もかかります。
時間がたてば、確認された情報が出てくることもありますので、少し落ち着いて考えてみてはいかがでしょうか。

フェイク情報がより身近で当たり前になる可能性も

生成AIが普及してきたこともあり、より簡単に、より精度の高いフェイク情報をつくることができるようになっています。

技術を悪意を持って使えば、誰かを意図的に信じ込ませるということもできるようになってきていて、実際に国内外で、フェイク情報が、詐欺に用いられたり、関心を集めるために使われたりしています。

いま精度が上がってきているフェイク情報、AIなどの技術を使って見抜く取り組みが世界中で進められています。しかし、すべてのフェイク情報を見抜ける魔法のようなアプリの開発は難しいとされています。

何が真実で、何がフェイク情報か、迷うことは今後も増えるかもしれませんが、誰かが言っていたからと、うのみにするのではなく、自分自身も大切な人も、「知らないうちにフェイク情報を信じてしまうことはありうる」ということを意識することが、いまの時代を生きる私たちにとって大事なことです。

SNSで流れてくる情報を疑ってみて、真偽がはっきり分からなければいったん「保留」し、情報に触れるスピードを少し落としてみることも意識してみましょう。

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