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選手村マンション“晴海フラッグ”いよいよ販売開始!全部屋 抽選か?

不動産のリアル(17)
  • 2023年7月10日

東京オリンピックの選手村跡地で開発が進む晴海フラッグ。そのシンボルとなる2棟のタワーマンションの販売が7月8日から始まりました。
転売目的を避けるため、2度にわたって販売方法が見直されましたが、果たしてその効果は?

※私たちは「不動産のリアル」と題して、空前の高騰が続く東京の不動産を取材しています。皆さんの体験や意見をこちらまでお寄せください。(首都圏局/不動産のリアル取材班 記者 牧野慎太朗)

タワマン販売 ついに始まる

「晴海フラッグ」のシンボルとなる2棟のタワーマンションの販売が、中央区晴海地区のパビリオンで始まりました。8日に現地を取材すると、子育て世帯や高齢の夫婦、さらに外国人など、多くの人たちが申し込みに訪れていました。
早速来場者に話を聞いてみました。

 

千葉県に住む60代男性
やっぱりレインボーブリッジが見える眺望が魅力的ですよね。

 

都内に住む60代と50代の夫婦
新しく開発された街の最初の住民になれるというのは非常にわくわく感があります。

 

都内に住む50代男性
銀座とか都心に近いし、周辺に比べても割安ですよね。

 

なかには、すでに「晴海フラッグ」の板状マンションを所有していて、追加でタワーマンションの部屋も買いたいと訪れた人もいました。

 

都内に住む30代女性
板状の方に運良く当選していてそちらに住む予定なので、タワーマンションは投資用で申し込みに来ました。どう運用するかは決めていませんが、また当たるといいなと期待しています。

なぜ?「晴海フラッグ」にこだわる理由は

今回、晴海フラッグのタワマンに申し込む人の中には、高倍率が続いた板状マンションで落選を続け、「今度こそは」という気持ちで挑んでいる人も少なくありません。
都内に住む60代の女性もその1人でした。この女性は、これまで板状マンションに3回申し込みましたが、いずれも落選。今回のタワマンも申し込む予定だということです。
「なぜそこまで晴海フラッグにこだわるのですか?」と理由を尋ねると、次のように話してくれました。

60代女性
「『晴海フラッグ』は人生最後の住まいとして、とても魅力的だからです。年齢的にも施設に入る前の最後の一般住宅に住める機会だと捉えていて、どこに住まいを定めて、時間を過ごすかは重要です。もともと子どもの頃は海の近くに住んでいたこともあり、“最期は海辺”と考えていたので、住み慣れた東京にいながら、あれだけ海を近くに感じられる環境は理想的でした。年齢的にローンは組めないので、いま住んでいるマンションを売ったお金でどうにか購入したいと考えています。チャンスがあるのであればチャレンジしたい気持ちは強いです。ほかの物件は値上がりを続けているので予算的に購入するのは厳しくなってますし。タワマンも落選したら、田舎に引っ込むことも含めて、またゆっくり考えたいと思います」

タワマンもほぼ全部屋抽選か

「晴海フラッグ」のタワマンは、再開発のシンボルとして2棟建てられる計画です。地上50階建て、総戸数は1455戸で、2025年秋の完成を見込んでいます。ことし4月発表された販売予定価格を見てみると、最上階に位置する広さ161平方メートルの3LDKの部屋が3億4900万円台と最も高く、最低価格は1LDKの部屋で4800万円台でした。

今回は販売第1期として、7月8日から16日まで申し込みを受け付けたあと、7月17日に抽選で部屋の購入者が決まることになっています。「晴海フラッグ」の板状マンションは、最終販売期には平均倍率が71.1倍、最高倍率266倍という異例の人気を集めましたが、このタワマンも、モデルルーム見学の予約枠がすぐに埋まるほどの人気ぶりで、すべての部屋がほぼ抽選になることが確実視されています。

「優遇倍率」「戸数制限」導入 販売方法見直しの背景は

こうした中、注目されているのはその販売方法です。
これまでの板状マンションでは、投資家など転売目的で資金力のある購入者が多くの部屋に申し込み、一般世帯が不利となったことを踏まえ、タワマンの販売では、新たに「優遇倍率」と「戸数制限」が導入されることになりました。販売事業者によると、いずれも通常1部屋しか申し込まない一般世帯に配慮した仕組みだといいます。

「優遇倍率」(ことし4月に導入決定)
申し込んだ部屋のうち1部屋に限り、抽選時の当選確率を2倍にして当たりやすくする方法。これにより2部屋目以降は当選確率が半分になるため、いくつも当選して複数の部屋を手にするのが難しくなった。

「戸数制限」(ことし5月に導入決定)
申し込みできる部屋の数を“1名義2部屋まで”に制限。資金力の有無にかかわらず、最大で2部屋までしか申し込めなくなった。

新たな抽選はどうなる?

今回、販売方法が見直されたことで、抽選の仕組みにも変化があったようです。
事業者側によると、抽選は写真のようなガラガラと音が鳴る抽せん器を使って行われるそうです。ずいぶん原始的な方法のように思いますが、事業者側が不正をしているのではないか?特定の客を優遇しているのではないか?などと疑いをかけられないようにするためには、この方法がベストだということです。

具体的なやり方ですが、「晴海フラッグ」の各部屋に申し込んだ客には事前に番号が割り振られ、抽選時に各番号が記された玉を入れて抽せん器を回し、当選者を決めます。
それが「優遇倍率」が導入された今回では、客には第1希望の部屋に限り2つの番号が割り振られます(1部屋のみの申し込みの場合はその部屋が第1希望)。そして抽選時には同じ番号が記された玉を抽せん器に入れることで、第1希望の部屋は当選確率が2倍になるという仕組みになっています。

例)「101号室」に10人が申し込んだ場合
【従来の方式】
「101号室」が第1希望の部屋かに関わらず、抽せん器に入る玉は10個。
それぞれの当選確率は10%のままです。

【新たなやり方】
10人のうち7人が「101号室」を第1希望として提示したとします。すると、抽せん器には7人×2玉の14個と3人×1玉の3個で合計17個の玉が入ります。
これにより第1希望の7人の当選確率は17分の2で、1人11.8%となるのに対して、第2希望とした3人の当選確率は17分の1で、1人5.9%と前者の半分に留まる計算です。

現在の転売状況は?

こうしたタワマンの販売方法の見直しと並び、もう一つ気になるのは、すでに販売済みのマンションの転売の行方です。
ことし4月に初めて不動産仲介サイトに掲載されて以降、私たちが調べた限りでは、サイト上では現在までに19部屋が売りに出され、販売時の価格より5000万円近く高い値段に設定されている物件もありました。板状マンション全2690戸からするとわずかな部屋数ですが、不動産関係者からは、来年1月以降の引き渡しに向けて、さらに売り出し物件が出てくるという声も聞かれます。
東京都は「すでに販売済みの物件には対応ができない」としたうえで「まちづくりの責任者として分譲された物件がどうなっていくか、街がどのように形成されていくかは、責任を持って推移を見ていく」としています。
私たちも、板状マンションの転売の実態や今回見直された販売方法の実効性について、引き続き取材を続けていきたいと思います。

私たちは、東京の不動産事情をみなさんから意見や情報を募集しています。
住宅の高騰による困りごとなどの意見も、ぜひこちらよりお寄せください。

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