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発達障害の子どもが学ぶ「通級」学校現場のリアルな声は

  • 2023年4月26日

特別支援教育の1つ、「通級」。学校での学びに困難を抱える発達障害の子どもたちの学ぶ場についてお伝えする記事を掲載したところ、皆さんから意見や体験談などが、数多く寄せられています。その中には「新卒でいきなり通級の担当になり、うまくいかずに休職した」とか「管理職から『楽な仕事だ』と侮辱するような発言をされた」といった、現場のリアルな声もありました。

(首都圏局 都庁クラブ/記者 生田隆之介)

学校現場からリアルな声

こちらの記事では、通級の担当教員は、子どもたち1人1人の特性に応じた授業やカリキュラムを個別につくる必要があるなど、高い専門性が求められる一方、必ずしも、専門的な知識や経験のある教員が担当をしているわけではないという現場の教員の話をお伝えしました。

これに対し、通級担当をはじめとする学校の教員から、数多くの現場のリアルな声が寄せられました。

上司・管理職に理解なく…

小学校の通級で勤務しているという教員からの投稿です。

 

通級で勤務という教員
「上司からのハラスメントが酷く、精神疾患になり、休職を二年経て、復帰訓練中です。私も特別支援に関する知識は全くない状態で新卒で配属となりました。
知識もないので出来ることも少なく、上司はパワハラをしてくるので仕事のキャリアも上がらずという感じでした。
大学卒業して間もない未熟な人が、まともに授業できるはずもなくという形です。
私は教師は望みましたが、最初から通級をやりたいと望んだことは1度もありません。教員不足の現状で新卒を通級に置いて結局休職させてしまう現状は多いと思います」

 

別の学校の通級関係者
「管理職の中には特別支援についての理解がなく、『あいつらは何をしているんだ』、『担任の先生は大変なんだ。数人の子どもを複数で見られるなんて楽な仕事だな』など侮辱するような発言を平気でしてきます。
教員不足の中、管理職も成り手がなく、管理職としての資質がない方が管理職になり、結果、業務に支障を生じさせています」

これらの投稿からは、学校の管理職や上司など、周囲の理解がなく、専門的な知識や経験のない新任の教員が突然、通級の担当になったり、叱責されたりしたことなどで、業務に支障をきたしたりしている状況がうかがえます。
いずれのご意見でも、背景には「教員不足」があるのではないかと指摘しています。

教員の欠員に対応できず…

こちらは、都内の特別支援学級の担当教員から寄せられた意見です。

 

特別支援学級の担当教員
「今年度は『教員の未配置』(欠員)の問題が加わっています。『支援学級』や「『支援教室』の教員は複数での配置になるため、学校で『教員の未配置』が生じた時、『支援学級』や『支援教室』の教員が通常学級に回される、『支援学級』や『支援教室』の教員配置が“後になる”といった状況が生まれているように思います」

学校では、年度途中で、病気による休職や出産・育児による休職、転職などで、教員の配置に「欠員」が出ることがあります。

こうした欠員について、東京都教育委員会に取材したところ、今年度が始まった時点で、都内の小学校の教員は、およそ80人の欠員が出ているということです。
これについて都教育委員会は、昨年度途中で休職や退職をした教員の数が、都教委の想定を上回り、その想定をもとに採用した新任教員の数を超えてしまったことが原因だと分析しています。この欠員のうち、2割は「病気による休職」だということです。

特別支援教育を考えるにあたっては、特別支援にかかわる教員だけでなく、教員全体の働き方や働く環境についても考えていく必要があるのではないかと感じました。

今後、こうした現場の取材も続けて行きたいと考えています。皆さんからのご意見や体験談などは引き続き募集しています。ぜひ投稿フォームよりお寄せください。

  • 生田隆之介

    首都圏局 記者

    生田隆之介

    2014年入局。長野局、札幌局を経て首都圏局。都庁担当として教育や環境分野を主に担当。2歳の娘がいる1児の父

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