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発達障害の子どもたち 不登校など「二次障害」の声も相次ぐ 対応は?

  • 2023年3月30日

学校での学びに困難を抱える発達障害の子どもたちについて、3月22日に放送やWEB記事(「あなたの子どもは発達障害」 その時、私は、学校は)で、ご意見や体験談などを募ったところ、多くの声が寄せられました。

その中には、学校での学びの困難さや保護者の取り組みのほか、学校側の対応、それに進路への悩みなどがありました。

そして発達障害をきっかけとして起きる、いわゆる「二次障害」を訴える声も相次いで寄せられました。
(首都圏局 都庁クラブ/記者 尾垣和幸)

寄せられた意見や体験談

現在、小学3年生の息子は、地域の療育センターにて自閉症スペクトラムが判明しました。
IQは高いのですが、学校の授業は難しいとのことで、1年生は母子登校と五月雨登校、2年生はほぼ不登校、3年生は週に1回、別の小学校に通級のみ通学という状況です。
(神奈川県 母親)

息子は普通学級に通う小学2年生です。幼稚園の時、ASD(自閉症)と診断されました。就学相談では親の意向により普通級判定でした。
1年生の2学期に風邪で数日休んだのをきっかけに学校に行けなくなりました。
発達障害は「できるけどやり続けることができないことがある」こと、「できるけどとても疲れる」ということを、親の私たちも知らなかったし、担任の先生も息子の怠けや甘えと捉えているようでした。
私が感じたことは担任の先生の発達障害や不登校への知識の無さです。
(埼玉県 母親)

私の息子も重度の学習障害で、ひらがなを書けないレベルです。
小学3年生で勉強が難しくなったところで不登校になりました。
(埼玉県 母親)

二次障害とは

発達障害の子どもの二次障害
学校生活における度重なる失敗経験などから、自己評価の低下や自己嫌悪になり、対人関係や学習面などにおけるちょっとしたつまずきや困難をうまく解決できないことをきっかけに、不登校や引きこもりなどになること。
(文部科学省)

複数の声が寄せられた「二次障害」とは、発達障害による学びの困難さがきっかけとなり、子どもが自信をなくして、不登校や引きこもりなどになってしまうことを指します。
自らを傷つけたり、人をたたいてしまったりするといった行動に表れることもあります。

髪の毛を抜いてしまう女の子

さらに静岡県に住む女性からは、去年、学習障害やADHD=注意欠陥多動性障害などと診断された小学5年生の娘が、学校で嫌なことがあると、自分の毛を抜いてしまうという症状に悩んでいるという意見も寄せられました。

学年が上がっても文字を読み間違えたり、漢字を書くことが苦手だったりして嫌な思いをしたということです。
母親の思いは切実でした。

母親
「クラスの子がわざわざ授業中にノートをのぞいてきて、『何書いてあるか分かんない』と言われたり、ダイレクトに『字が汚い』と言われたりしたようです。
学習に問題があると、いじめられやすいとか、クラスで嫌な思いをすることが多いというのもあると聞きます。そういうのを娘は訴えてこなかった。

髪の毛を、ごっそり抜いてきて、本当に1日2日で、あっという間になくなるんです。そのときは、もう絶望しかないです。
『ああ、きょうも学校で何かあったのかな』とか『何か見過ごしちゃったかな』とか。『学校に行かせないほうがよかったな』とか、反省ばかりしています」

医師からは、学校でのつらい体験が髪の毛を抜いてしまう行動につながっていると言われたとのことで、現在は、学校を時折休むことなどで、症状が改善しているということです。

私の息子にも発達障害がありますが、字を書くのが苦手で勉強が遅れてしまい、友達にからかわれ、自信を失ったり、ストレスがたまったりしたせいか、夜ほとんど寝られなくなる睡眠障害になったことがあります。

二次障害への対応は

こうした二次障害はどうしたら防げるのか。発達障害に詳しい専門家に話を聞きました。

桜花学園大学 勝浦眞仁教授
「障害があるなしに関わらず、すべての子が得意なこともあれば、苦手なこともあるはずで、この苦手なところをお互いが助け合って、一緒に協力していけるクラス作りをしていければ、二次障害は防いでいけると考える。ただ、先生が少ない現状があるので、そこのやりくりで苦労している学校現場もたくさんあるかなとは思います」

勝浦教授によりますと、二次障害への対応の必要性は、発達障害への取り組みが始まった20年前ほど前から指摘されてきたということです。

ただ、依然こうした問題がなくならないのは、発達障害によって起きる問題について、その子の障害の特性だけに原因を求めて解決しようとしてしまい、かえって、精神的なプレッシャーを与えてしまうからではないかとも指摘しています。

「学校の対応には地域差」

寄せられた意見の中には「学校側の理解や対応には地域差がある」という声もありました。こうした声も踏まえ、引き続き、取材を続けたいと思います。

発達障害をめぐる学校での悩みや体験談、情報やご意見をこちらよりお寄せください。

  • 尾垣和幸

    首都圏局 都庁クラブ 記者

    尾垣和幸

    都庁担当 東京オリンピック・パラリンピック競技会場のレガシー活用などを取材。小学生の長男は学習障害とADHDと診断されている。

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