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「翔んで埼玉」から発案 そこらへんの草グルメが話題 加藤諒さんと秘話に迫る

  • 2023年2月15日

「埼玉県人には、そこらへんの草でも食わせておけ!」。大ヒット映画「翔んで埼玉」(原作:魔夜峰央)で、東京都民が放つせりふです。埼玉を自虐的に描いたシーンが満載のこの映画。特に話題となった「そこらへんの草」ということばが、ちょっとしたグルメブームを巻き起こしています。火付け役は、埼玉のとあるスーパー!?映画で「埼玉県人」役を演じた俳優の加藤諒さんと、その誕生秘話に迫りました。
(さいたま放送局/ディレクター 池端祐太郎)

バーガーにピッツァ カレー …次々と誕生する「草グルメ」

今、映画のロケ地になった埼玉・春日部市を中心に、さまざまなお店が「そこらへんの草グルメ」を開発しています。

カフェで提供しているのは、その名も「そこらへんの草バーガープレート」。ロレッタやハコベなど、15種類以上のおいしい野菜がたっぷりと使われています。

ピザ店で登場したのは、焼きたての生地の上に、春の七草のスズナやセリなどをたっぷりとのせ、熱々のガーリックオイルをかけた「そこらへんの草ピッツァ」。野菜のシャキシャキ感とみずみずしさがたまらない一品です。

さらには、ネパール・インド料理店が考案した「そこらへんの草カレー」も…!ブロッコリー、インゲン、ほうれんそうなどが使われています。
そう、「そこらへんの草グルメ」とは、「そこらへん」の雑草ではなく、新鮮な野菜を使った料理のことなんです。

現在、「草グルメ」の輪は19店にまで拡大。季節ごとにイベントも開催されるなど、大きな盛り上がりを見せています。

ブームの火付け役は地元スーパーの総菜部 部長

「そこらへんの草グルメ」ブームのきっかけを作ったスーパーが春日部市にあると聞き、加藤諒さんと訪ねてみると…。
さっそく見つけました。草グルメ!

「草い!草すぎる!」という宣伝文句とともに並んでいたのは、「そこらへんの草天丼」。これぞ、草グルメの元祖です。春菊やネギ、ブロッコリーなど地元でとれた旬の野菜がたっぷりと使われています。

「そこらへんの草天丼」を開発したのは、このスーパーの「総菜部 部長」河内みどりさん。「草グルメ」生みの親というだけあって、緑色のジャージーという徹底ぶり。名前も「みどり」です。

映画でもおなじみの「埼玉ポーズ」
(埼玉の「玉」などをイメージ)

加藤諒さん

そもそも、「そこらへんの草天丼」をどうして作ったんですか?

河内みどりさん

エイプリルフールに「なんかおもしろいことやりたい」ってずっと考えていて、もやもやしていたんですけど…。

 

「そこらへんの草グルメ」誕生物語
2020年のある日のこと。河内さんのところに、近所のおじさんがやってきました。

近所のおじさん(加藤諒さん再現)と河内さん

おじさん

アシタバいっぱいとれちゃったからさ、おすそ分け。天ぷらにでもして!

河内さん

あ!お礼しますよ、ちょっと待ってて!

 

「アシタバをもらったお礼に、おじさんに何かを渡そう…」と調理場に戻ろうとしたとき、河内さんの目にふと飛び込んできたのが、道ばたの雑草でした。
「そうだ!あの映画のせりふを使えば、埼玉県民の心をつかめるかもしれない!」

こんな思いつきで生まれたのが、「そこらへんの草天丼」。ネーミングのおもしろさがSNSで話題を呼び、「草グルメ」に賛同する仲間が増えていったのです。

総菜部 部長おすすめ「草グルメ」 栄養素たっぷりケール

去年、野菜ソムリエの資格をとり、「草グルメ」の研究開発に取り組む河内さん。今、注目している「草」を紹介してもらいました。

青汁でおなじみのケール。食物繊維はレタスのおよそ3倍、βカロテンはトマトのおよそ5倍など豊富な栄養素を誇り、専門店もできるほどの注目食材です。

苦いイメージがあるケールですが…。

 

ケールは油ととても相性がいいので、油と合わせると青臭さも和らぎ、おいしく食べることができます。

ケールの苦みを消すことで、子どももパクパク食べられるという調理法を教えてもらいました。

河内さん特製 お手軽ケールチップスの作り方

(1)ケールをおよそ4センチ角にちぎる
(2)ごま油(適量)をかけ、軽くもんで全体にまぶす
(3)耐熱皿にのせ、電子レンジ(600W)に4分かける
(4)仕上げに塩をふりかける

加藤諒さん
「おいしい!ケールの苦みとか青臭さが全然しないし、口の中でふわって崩れて溶けるみたいな食感が楽しいですね」

「そこらへんの草」でスイーツも!?子どもたちが考案

河内さんが生んだ草グルメの輪は、ますます広がっています。
春日部市内の小中一貫校で学ぶ子どもたちが、草グルメのレシピを開発していると聞き、訪ねました。

子どもたちが計画していたのは、草いっぱいのパンケーキ。部活動の農業体験で育てた野菜を使おうというのです。

加藤諒さん

こちらの「そこらへんの草」はなんの草ですか?

生徒

かき菜です

 

子どもたちが収穫していたのは、北関東の伝統野菜「かき菜」。これをどのように生地に入れ込むか考えたり、デコレーションを工夫したり、河内さんにアドバイスを受けながらレシピを考えていきます。

1か月後。
河内さんが働くスーパーに子どもたちの姿がありました。

販売していたのは、ペースト状のかき菜を生地に入れた「そこらへんの草パンケーキ」。子どもたちのアイデアが詰まっています。

用意した100個が飛ぶように売れていき、4時間で完売しました。

児童

みんなが笑顔で買ってくれたり、おいしそうに食べてくれたりして、うれしかったです。

河内みどりさん
「子どもたちの元気な姿を見て、お店に来る高齢のお客様はとても喜んだと思います。少しでも楽しくみんなで笑って、おいしく健康になってもらいたいと思うので、頑張っていこうと思います」

 
  • 池端祐太郎

    さいたま放送局 ディレクター

    池端祐太郎

    2017年からさいたま局。埼玉県出身。土地勘をいかして、埼玉県全域を熱心に取材。

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