新型コロナの第8波が続く中、インフルエンザが全国的な流行期に入るのは3年前に(2020年)新型コロナが感染拡大して以降、今シーズンが初めてです。
東京都も「コロナとインフルエンザの同時流行が懸念される」として対策を呼びかけていますが、ここで疑問が。
コロナが第8波の中にあり、インフルエンザも流行期に入ったのであれば、すでに同時流行であって「同時流行が懸念される」として、今後の懸念として呼びかけるというのはどういうことなのか。
(都庁担当/記者 中村大祐)
年の瀬の去年12月28日に開かれた東京都内の感染状況と医療提供体制を専門家が分析・評価するモニタリング会議。
国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、インフルエンザについて次のように指摘。
大曲貴夫 国際感染症センター長
「医療機関からの患者の報告数が目安を超え、3年ぶりに流行シーズンに入った。コロナと季節性インフルエンザの同時流行が現実味を帯びており、さらに警戒を強める必要がある」
「同時流行が現実味を帯びている」ということは、まだ「現実ではない」ということか。
しかし、会議のあと大曲氏は記者団に対し「定義から言えば、2つとも流行が起こっているのは事実だと思う」と述べ、私の疑問は深まりました。
疑問が解消されないまま年が明け、1月6日。
小池知事は記者会見で、インフルエンザについて「さらに増えてきているということで、感染が広がりを見せている」と述べました。
そこで私は、「知事の認識としては、今、コロナとインフルエンザが同時流行しているという認識か」と質問しました。
すると小池知事は「それに対して気をつけなければならない時期に差し掛かっているのではないかというふうに思う」と述べたうえで専門家の意見を聞きたいという考えを示しました。
この疑問に対して、都庁で新型コロナ対策を担う幹部の1人が説明してくれました。
都庁幹部
「流行期に入っているので、流行しているかと言えば、流行している。ただ、懸念されているコロナとインフルエンザが、同時にパンデミック(爆発的な大流行)している『ツインデミック』ではないということだ」
そういうことだったのか。
それでは、インフルエンザの大流行とはどういう状況なのか。
この疑問に対して都の幹部は、これまでに似たような状況があったといいます。
それが2018年から2019年にかけてのシーズン(下のグラフ 黄色で示した折れ線)です。
インフルエンザの流行は、医療機関から1週間に報告された患者数によって判断されます。患者数が、
1つの医療機関あたり1人以上になると、流行期に入ったとなります。
そして10人以上で「注意報」、30人以上で「警報」が出される基準になりますが、東京都では、2019年1月に60人を超え、過去最多となりました。
現在のインフルエンザの感染状況としては、1月11日時点で3.61人で、感染が大きく広がっているという状況ではありません。
ただ上のグラフからもわかるように、感染が急拡大する恐れがあります。
東京都は、新型コロナの医療提供体制がひっ迫しているとしており、インフルエンザの感染者急拡大は、それに拍車をかけることにつながることから、感染対策の徹底など警戒を呼びかけています。