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渡辺貞夫さん(89)衰えぬ音楽への意欲 “まだ納得してない”

  • 2022年9月13日

サックス奏者、渡辺貞夫さん(89歳)。世界を舞台に活躍し、“朝ドラ”「カムカムエヴリバディ」の音楽にも参加、現在も各地でライブを開催しています。コロナ禍で、出演予定だった演奏会の中止が相次ぐなどの逆風に直面しながらも、音楽活動への意気込みは衰えなかったと言います。その原動力や、故郷・栃木県の子どもたちと作り上げる演奏会についてうかがいました。

コロナ禍でも衰えぬ音楽への意気込み

渡辺さんは9月19日に、出身地の栃木県宇都宮市で、地元の子どもたちと一緒にステージに立ちます。コロナ禍でたび重なる延期の末、ようやく開催される故郷での演奏会。子どもたちとの練習のため、宇都宮市を訪れた渡辺さんに、お話を特別にうかがうことができました。

去年、音楽活動を始めて70年になりましたが、演奏に対する意気込みは衰えないと言います。

渡辺貞夫さん
「いい音が欲しいし、納得する音を出したいし。納得する演奏はないんですけど、少しでも納得度を増やしたいというか、そんなところでやってます」

しかし、ここ2年あまり、新型コロナのために演奏活動は大きな影響を受けました。今回の演奏会は2回の延期を繰り返し、ようやく開催にこぎ着けたものです。

「コロナの前は、だいたい月のうち1週間から2週間近くのツアーはやっていたんですね。国内、外国含めて。ところがコロナになってから全部なくなって。ですからオフの日がいっぱいになっちゃって、本当に参りましたけど」

演奏会が開けなくなっても、渡辺さんは毎日、楽器と向き合うことは欠かしませんでした。

「練習するほかないんですよね。口のまわりの筋肉を、楽器を吹く用にキープしとかなきゃいけないし。体のコンディション作りと、楽器の練習というか、これは毎日ずっと続けてます」

故郷の子どもたちと作り上げる演奏会

9月3日、地元の子どもたちとの演奏会の練習が行われました。今回は子どもたちと音楽を作り上げることを目指しています。参加するのは地元の上三川少年少女合唱団と打楽器の演奏チームです。

演奏会のタイトルは「渡辺貞夫と子どもたち」

1995年から栃木県で子どもたちに音楽を教えてきた渡辺さん。打楽器チーム名「ESCOLA JAFRO(エスコーラ ジャフロ)」は渡辺さんが初めて東京で結成したバンド「ジャフロ」から名付けられました。

渡辺貞夫さん
「最初にブラジルのリズムを教えようと思ったんですよ。非常に単純なんだけど、リズミックでダイナミックで、これだったら日本の子どもでもできるんじゃないかなということで。生きた音を出してほしいわけですから、まずは元気で、楽しんで音を出してほしいなと。子どもたち全員と気持ちを通じて、聴衆にいい音を届けられたらと思っています」

リズムリーダーを務めるのが宇都宮で活躍するジャズドラマー、河野健太郎さん。19年前、10歳の時に打楽器チームに参加。渡辺さんから多くの指導を受けました。

ブラジリアン パーカッショングループ「ESCOLA JAFRO」河野健太郎さん

今回の演奏会で、久しぶりに渡辺さんや仲間たちと一緒にステージに立つことができます。

河野健太郎さん
「こうやって集まれるのってなかなかないから、貞夫さんもきっと楽しいだろうし、僕らも楽しいし、肩の力は入らず、息抜きみたいなリラックスしてできたらいいと思ってます」

第一線で活動続ける原動力は“納得していないから”

来年90歳になる渡辺さんにその原動力をうかがいました。

渡辺貞夫さん
「自分に納得していないから続いているんじゃないですか。どんな世界でもそうだと思うんですが、やはり完成っていうか、いいっていうのはないんじゃないでしょうかね」

自らに満足せず、今なお第一線で音楽活動を続ける渡辺さん。あくなき探求はまだまだ続きます。
演奏会「渡辺貞夫と子どもたち」は9月19日に宇都宮市文化会館で開催されます。

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