11月に愛知県に開園するジブリパーク。スタジオジブリの世界観が楽しめるこの施設の内容が、長野市で一足先に公開されています。パークの建設責任者・宮崎吾朗さんは、大学で森林工学を学び、アニメーション映画の監督や、美術館の建設を指揮した異色の経歴をもっています。宮崎さんがパークに込めた思いとは?
(長野放送局/ディレクター 小林 かれん)
見る人の心をひきつけてきたスタジオジブリのアニメーション。その魅力を体感できる展覧会が、長野市で開かれています。開催から1か月半で訪れた人は10万人を超えました。
展覧会では、今、建設が進められている「ジブリパーク」の内容も公開されています。
ネコバスと一緒に子どもたちも遊べる部屋。
「耳をすませば」に登場する建物。目指しているのは、訪れた人自身が楽しみ方をみつけられる施設です。
建設の責任者は、巨匠・宮崎駿さんの息子、宮崎吾朗さんです。長野県の大学で森林工学を学び、卒業後は、公園や都市緑化の仕事をしてきました。アニメ「ゲド戦記」では、監督を担当。また、ジブリ美術館の建設の指揮をとるなど異色の経歴を持ちます。
宮崎吾朗さん
「新しい場で何かをやることをいとわないことですよね。与えられた機会があるならば、新しいものに取り組むということに、むしろ積極的であるべきなんじゃないかなと」
新たに作るパークは、どんな形がふさわしいのか。宮崎さんがヒントにしたのは、17年前、愛・地球博で建設した「サツキとメイの家」です。
昭和30年代という「となりのトトロ」の時代設定に合わせ、材料や建築技法にこだわりました。一方、アニメのキャラクターは登場させませんでした。訪れた人自身に想像してもらおうと考えたからです。これが評判となり、万博のあとも毎年10万人が訪れています。
宮崎吾朗さん
「映画の記憶とシンクロするから、あるイメージを持てるっていうことだと思うんですよ。そこにトトロがいるかもしれないし、マックロクロスケがいるかもしれないけれど、いる、いないを感じるのはあなた次第ですっていうことのほうが、僕はよっぽど豊かだと思うんですよ」
宮崎さんは今回のパークにも、派手なアトラクションや乗り物は用意しませんでした。
愛知県に建設中のジブリパークの様子です。
「天空の城ラピュタ」などに登場する、空想科学の世界を表現した建物。
「耳をすませば」の建物では、主人公のようにテラスからの眺めを楽しめます。
宮崎さんは、来場者に思い思いの楽しみ方を見つけてほしいと考えています。
宮崎吾朗さん
「『あ、こんなものがここにあった』ということを見つけて歩くことができたら、それはすごくいい記憶になるんじゃないかなと思うんですよ。1人1人が何か拾って歩けたり、見つけて歩けたりすることができたら、それは幸せなことですよね」
「ジブリパーク」の内容の一部が公開されている展覧会は、10月10日まで長野市の長野県立美術館で開催されています。
愛知県のジブリパークは、11月1日にオープンする予定です。