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人気急上昇「マイクロブタ」 ペットとしての魅力と飼育の注意点

  • 2022年6月28日

いまペットとしての人気が高まっている「マイクロブタ」。成長時の体重が40kg以内の、小さなサイズのブタです。その魅力や飼育の注意点について、東京・原宿にあるマイクロブタカフェを取材しました。
(アナウンス室/鈴木貴彦)

人なつっこくて清潔

毎日平均100人以上の利用者が訪れるというマイクロブタカフェ。店内では15匹ほどのマイクロブタが、歩き回ったり寝そべったりしてくつろいでいました。

とても人なつっこい性格で、私が床に座るとすぐに何匹も足の上に乗っかってきてくれました。

大きな鼻やつぶらな瞳がとてもかわいく、なでているとそのまま眠ってしまう子もいました。

そして、マイクロブタに顔を近づけてみても、臭いはほとんどしません。実はブタはきれい好きな動物で、犬や猫のようにトイレもしっかり覚えてくれます。トイレの場所まで自分でトコトコと歩いていく姿もかわいらしかったです。

マイクロブタは2000年代にイギリスで誕生しました。
主にペット用として、ミニブタを掛け合わせてさらに小型化したブタです。犬とも猫とも違った感情表現の豊かさや賢さが人気となり、イギリスやアメリカではすでに一般的なペットとして広まっているそうです。
日本でもコロナ禍でペットを飼う人が多くなるなか、マイクロブタを飼う人が少しずつ増えています。

人と暮らすうえで大事なしつけ

このカフェには、マイクロブタを飼いたいと相談しに来る人が多く訪れます。
運営会社が国内にマイクロブタファームを持つブリーダーでもあり、カフェにいるマイクロブタをペットとして購入することができるからです。

このカフェは、オープンするにあたって「人と動物の共生」をテーマにしてきたといいます。
カフェの創業メンバーで広報担当の北川史歩(しほ)さんです。

カフェの広報担当 北川さん
「創業メンバーがイギリスで見てきた光景が、マイクロブタさんと人が幸せに暮らしているっていうお家の様子だったんです。あ、これを日本でも取り入れたい、うまく人とブタさんが共存できる社会というものを実現したいなという思いが、この活動につながっているんです」

そのためカフェでは、「人とブタがともに幸せに暮らすための準備」も行っています。
この場所は、人との関わり方や協調性を身につける、いわばブタの保育園でもあるわけです。
マイクロブタがカフェのスタッフからしつけを受ける様子を見せてもらいました。

マイクロブタが後ろあしを器用に曲げて、お尻を床につけて座っています。

しつけをすると、犬のように「お座り」ができるんです。

ほかにも「待て」や「スピン(=おまわり)」ができるブタ達もいました。こうして人と一緒に生活できるよう慣らしていく訓練を、一つ一つ重ねています。

簡単ではないブタの飼育

マイクロブタを飼育するうえでのハードルは、日本では犬や猫と比べてまだ高めです。
例えば…

・制度として、家畜衛生保健所への年1回の報告義務がある。
・ブタの感染症対策として、養豚場の近くで飼うことは避ける必要がある。
・病気のリスクがあるので、室内飼いが推奨されている。
・ペット保険がまだ適用されていないため、医療費が高額になる可能性がある。

このように飼う前に知っておくべきことがたくさんあります。

そうしたこともあり、このカフェではマイクロブタを飼いたい人には、事前に飼育適性の審査をしています。ブタが室内で自由に歩き回れる間取りかどうか、不在時間が長くならないか、定期的なブタの体重報告ができるか、などの確認です。

さらに、マイクロブタは食欲旺盛で食べすぎて肥満になりやすいので、与えるエサの量には注意が必要です。

また“マイクロ”とはいえ、通常2、3年すればすぐに体重は20kg近くになります。成長すると、犬でいえば中型犬から大型犬ぐらいの大きさになるイメージです。

そのためカフェでは、飼いたい人には必ず事前に成長した姿も見てもらうそうです。寿命は10年から15年ほどと犬と同じくらいなので、最後まで責任を持って飼うことができるか、その覚悟についても確認しているといいます。

北川さん
「絶対に飼育放棄を起こさせたくないという強い思いから、事前審査を行わせていただいております。衝動買いを防ぐのはもちろんですが、そのあともしっかりとサポートさせていただきます。SNSを通して、カフェにいた子たちが、あ、こんなふうに育っているんだと、本当に幸せそうに暮らしている姿を見ることができるので、一緒にみんなで成長を見守っているような感じですね」

日本ではまだ新しい動物なので、マイクロブタに魅力を感じて飼ってみたいと思う人は多くても、飼育に必要な情報は簡単には得られません。だからこそ北川さんは「飼いたいという人は、ブリーダーとよく話し合いを重ねた上で迎え入れることをお勧めします」とも話していました。

最近では、福祉施設でアニマルセラピーの役割を担ったり、公共施設や幼稚園での子ども達の動物学習のために引き渡されたりすることも増えてきたというマイクロブタ。そうした人とペットの望ましい関係が、今後もいろいろな場所で見られるようになるといいなと感じました。

  • 鈴木貴彦

    アナウンス室

    鈴木貴彦

    2003年入局。山梨・秋田・北海道での勤務を経て2020年からアナウンス室。 地域の話題などを幅広く取材。趣味はマジック。犬の飼育経験あり。

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