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関東大震災100年の課題は?防災白書SNSのデマへの対応など指摘

  • 2023年6月16日

10万人以上が犠牲となった関東大震災からことしで100年となります。16日公表された政府の防災白書では、当時の被害を検証するとともに、NPOやボランティアも参加した支援体制の構築や、デジタル技術を活用した情報発信の強化、SNSなどによるデマへの対応が必要だと指摘しています。その内容をまとめました。

1923年9月1日 関東大震災

今から100年前の1923年9月1日(大正12年)に発生した関東大震災は、関東南岸の「相模トラフ」を震源とするマグニチュード7.9の大地震です。
近代化した首都圏を襲った大地震により激しい揺れや、津波、土砂災害、それに大規模な火災などが発生し未曽有の被害となりました。

10万超の住宅全壊 避難推計100万人

内閣府の報告書などによりますと、関東大震災では神奈川県のほか東京や千葉県など関東南部を中心にあわせて10万を超える住宅が全壊しました。
住む家を失い避難を余儀なくされた人も膨大な数にのぼりました。推計で100万人を超えるとされ、現在の千代田区や港区、台東区などにあたる「東京市」の人口のおよそ40%にあたり、上野公園には50万人以上が避難しました。

また、内閣府の報告書では朝鮮人が武装したり放火したりするなどといった根拠の無いうわさを背景に、各地で殺人事件が多発したとされています。

防災白書 “関東大震災 経済的な被害も甚大”

ことしの防災白書では9月で発生から100年となる関東大震災を大きく取り上げています。
白書では関東大震災は人的被害に加え経済的な被害も大きく、当時のGDPのおよそ37%に達していて、東日本大震災のおよそ3%と比べるとその甚大な被害の実相が理解できるとしています。

人口は5倍 高齢者ケアや避難環境の改善など課題

また白書では、当時との社会的な環境の変化についても触れ、東京と神奈川県、千葉県、埼玉県の人口は1920年のおよそ768万人から2020年には5倍近くの3691万人に達したほか、高齢化も大きく進み、災害時には高齢者の心身のケアや避難生活の環境の改善がいっそうの課題だと指摘しています。

情報の発信

さらに、1都3県の外国人の人口は1920年と比べて57倍のおよそ114万人にのぼっていて、多様な言語での発信が必要だとしています。
このほか、デジタル技術を活用した情報発信の強化やSNSなどによるデマへの対応が必要だと指摘しています。

ボランティア活動の役割

関東大震災では警視庁など行政機関の庁舎が焼失したことで初動の対応に遅れが生じるなか、住民同士の助け合いで救われた命が多かったことも紹介し、想定される首都直下地震ではボランティア活動のはたす役割の大きさがわかるとしています。

谷防災担当大臣(16日 閣議後の記者会見)
「関東大震災から100年の契機に国民ひとりひとりがそれぞれ防災について考え取り組みを進めてもらいたい。政府としては過去の災害の経験や教訓をいかしながら、社会情勢の変化に対応することで対策に万全を期していきたい」

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