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千葉県大多喜町の施設で訓練重ねる災害救助犬 “素早い救助のために”

  • 2022年5月26日

大規模な災害では、行方不明者を捜し出す「災害救助犬」が注目されています。千葉県には全国的にも珍しい専用の訓練施設が造られ、消防隊員と定期的な訓練が行われています。日々どのような訓練をしているのか取材しました。
(千葉放送局/アナウンサー 喜多賢治)

アナウンサーも訓練に参加 雨のなか発見できるのか?

がれきの中から、人を捜し出す災害救助犬。発見すると、ほえて合図し、救助につなげます。犬を育成し、災害現場に派遣するNPO「災害救助犬ネットワーク」が、千葉県内で訓練を行っています。
私も木の箱の中に入り、救助される役を体験してみました。この日は雨。雨の中では臭いが広がらず、捜すのは難しいとされています。果たして見つけることはできるのか…。

するとわずか1分ほどであっという間に、私が入っている箱のもとにかけつけました。すぐれた嗅覚で、私が吐く息や臭いから、いる場所を見つけたのです。

喜多賢治アナ
「驚きました。悪い条件の中で、あっという間に見つけてくれました。捜す能力はすごいですね」

訓練場所 全国的に少ないのが課題に

犬に指示を出す指導手の古川祥子さんです。各地の災害現場で10年以上、捜索にあたってきました。

災害救助犬は、がれきや土砂の下で救助を待つ人を見つけ出します。そこで、犬が「低い姿勢をとっている人」にだけ反応するように訓練しています。

災害救助犬ネットワーク 古川祥子さん
「元気な人と、そうでない人を見分ける訓練を実際にやっていて、しゃがんでいたり、倒れている人に告知、ほえて知らせるように訓練を進めています」

こうした訓練の場所が全国的に少ないのが課題になっています。そこで古川さんたちに2年前、千葉県大多喜町の土地を提供してくれたのが、建設用機械の教習を行う施設でした。

千葉房総技能センター 代表理事 水野勝仁さん
「災害というのがひと事ではなくなった。私どもの所で1頭でも多く育つようお役に立てればなというのがあります」

古川さんによると、救助犬の訓練というのは、最低でも3年くらいは、長い期間かけて作っていくものだそうです。なので、このように常設された訓練場所はとてもありがたいということです。

消防との連携で重ねる訓練

古川さんたちがこの訓練場所で力を入れているのが「消防との連携」です。千葉県内の消防署の有志と、訓練を重ねています。一刻を争う災害現場で、救助犬が、より早く能力を十分発揮できる方法を一緒に考えるのがねらいです。
この日の訓練では、がれきが積み重なった現場の捜索を、人に代わって救助犬が担いました。

犬が助けを求める人を捜し出し、素早く救出することが出来ました。災害救助犬と消防が役割分担をして、迅速な救助につなげることを目指しています。

消防署職員 安藤敏昭さん
「救助犬がどういう働きをするのか、わからないのが現状です。この活動を通じて、組織として一緒に連携訓練ができれば、救助犬がもっともっと生かせるんじゃないかと考えております」

古川祥子さん
「大規模災害が起きるようになっている中で、救助犬が果たせる役割があると考えています。社会に救助犬という認知が深まって、理解が進んでいけるように、そこも取り組んでいけたらなと思います」

古川さんたち「災害救助犬ネットワーク」では千葉県内にもっと大きな訓練施設を造る計画を進めています。救助犬の先進国といわれるスイスの施設をモデルに、自然の地形などを生かした訓練環境を作って、災害への対応力を高めていきたいとしています。

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