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首都直下地震 “タワマン”などマンションの在宅避難 備蓄ないと…

  • 2022年5月26日

東京都は、首都直下地震の被害想定を10年ぶりに見直しました。東京都が公表した新たな想定で、大切さが浮き彫りになったのが、マンションなどで「在宅避難」をするために備蓄をしておくことです。在宅避難の長期化に備えるタワーマンションを取材しました。

“タワマン”地区の避難所不足…

首都直下地震の新たな想定では、地震のあと在宅避難をしていた人が備蓄の不足などで避難所に行くケースが予測され、避難所に避難する人の数は、最も多いケースで、地震の1日後に149万人なのに対し、4日から1週間後には200万人に増えるとされています。

こうした中、深刻なのが、タワーマンションなど集合住宅の多い地域での避難所の不足です。
20階以上のいわゆるタワーマンションが55棟ある東京・江東区。タワーマンションが建ち並ぶ豊洲地区には区民の4分の1に当たる12万人が住んでいます。

一方、この地区の避難所で受け入れられる避難者は、新型コロナの影響で定数を減らしていることもあり、わずか1万人。つまりマンションの多くの人が避難所に押し寄せると、対応できなくなるのです。

江東区が作成したガイドブック

こうした中、区は、マンションに住む住民個人に具体的な備えを促すガイドブックをまとめました。

江東区
防災課長

新聞紙をトイレの紙として使ったとか、こういうものが以外と役に立ったとかもある。水、飲みもの、医薬品、生活用品。ぜひ、ライフラインが止まったということをイメージしてもらいながら、こういうのを参考にしてもらえれば。

在宅避難を進められるよう、食料や飲料、それに携帯用トイレなどの物資の備蓄を最低3日分、可能な限り1週間分行うよう求めています。

今回の都の想定でも、避難所以外に避難している人が物資をとりに訪れると早期に物資が枯渇する可能性が指摘されています。

江東区防災課 岩田勉課長
「行政でできることには限界がある。本当に必要な人に避難所を利用してもらえるよう、いざというときに在宅避難を続けられるような準備をしてほしい」

タワーマンション 助け合いマニュアル

在宅避難の長期化に備え、東京・足立区のタワーマンションでは、住民がお互いに助け合うためのマニュアルを作成しています。
足立区にあるおよそ1500人が住む24階建てのタワーマンションでは首都直下地震などを想定した防災マニュアルを作っています。

総戸数515戸のこのマンション。マニュアルの特徴が、住民どうしの安否確認を効率よくするため、住民を22のブロックに分けていることです。

住民には事前に「安否確認カード」が配布されていて、無事な場合にはカードをドアに貼り出し、それをブロックのリーダーが確認する仕組みです。
カードが貼っていない場合には、理事会などで作る本部に連絡することで住民の異常を察知しようとしています。

また、停電でエレベーターが使えないことも想定し、各ブロックには無線機が配られていて、階段の上り下りをせずに情報を交換することができます。

マンション
理事長

一番上は24階。いちいち降りてきたら時間がかかるので、トランシーバーを使います。ブロック当番の人が、連絡をする。
無事というステッカーをブロック員が見て回る。チェックして確認できなかったところに急行する。

一方、マンションで長期間の備蓄をすることは難しく、住民に対して1週間程度、在宅避難できるよう水や食料などを備蓄するよう呼びかけています。

このマンションは、今後も訓練などを通して対策を徹底することにしています。

「イニシア千住曙町」 滝井康彦理事長
「在宅避難への備えには日頃からの住民同士のつながりが大切だ。今回の首都直下地震の想定も踏まえ、必要があればマニュアルの見直しなどもしていきたい」

地域コミュニティーの力が重要

今回東京都が示した首都直下地震で何が起きうるかを示した「災害シナリオ」。
この中で、いわゆる「震災関連死」について、地震の1か月以上あとに、慣れない環境での心や体の不調による自殺などが想定されるとしています。
関連死を防ぐためにも、先ほどのタワーマンションのように地域のコミュニティーの力が重要だと、専門家は指摘しています。

防災教育に詳しい常葉大 重川希志依教授
「避難所に来られない高齢者、あるいはハンディーキャップを持った方もたくさんいらっしゃいます。まず地域の人たちがそういう方の存在を知っている、声をかけてあげる、何か食べ物一つ持っていって声をかけてあげるだけで、ものすごく心と体の安心というのがつながれる。災害後の生活の質をちょっとでも高めることにつながる」

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