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サッカーに勉強に 地元川越の企業が支えるクラブチーム

  • 2022年12月13日

サッカーも勉強も頑張りたい。そんな子どもたちが通うクラブチームが埼玉県川越市にあります。地元の企業などがスポンサーとなりユニークな形で子どもたちを支えています。

(さいたま局記者/海老原悠太)

地元企業がスポンサー

F.C.スティモランテは、埼玉県川越市に去年創設されたクラブチームです。中学1年生と2年生のおよそ30人がプレーしています。チームを支えているのは、地元川越市の13の企業や事業所です。スポンサーとして資金面だけでなく、さまざまな形でサポートしています。例えば、練習で使われるゴールやビブスは、整形外科や歯医者が調達しました。

中村琉斗キャプテン
「ミニゴールとかももらったので、それを使ってミニゲームとか、ふだん出来ない練習とかもできるのでありがたいです」

また、整形外科からは理学療法士が週1回、無料で指導にあたっています。

理学療法士は、けがや病気の人が日常生活を送るのに必要な、立ったり歩いたりといった体の基本的な動作の回復や維持を支援する専門職です。その知識を生かし、練習後には生徒たちの体調面の相談に応じるなど、心身両面で支えています。

文武両道を

このクラブチームを立ち上げたのが髙橋崇寛さんです。

髙橋さんは幼少時からサッカーひと筋の人生を歩んできましたが、次の世代を育成する立場になって、ある思いが強くなっていったといいます。

「少しでも活躍できる選手を育成したいというところを目標としてチームを立ち上げた経緯がありました。ただ、サッカーだけでなく、勉強もがんばってほしいと思っています」

子どもたちがサッカーにも勉強にも打ち込める環境を整えたい。そのためには、スポンサーの協力が欠かせないと髙橋さんは考えました。地元企業など100か所ほどに声をかけ、ほとんどは断られてしまいましたが、熱意が実を結び13の会社や事業所が理解を示してくれました。

成績上がった生徒も

スポンサーは文武両道をどうサポートしているのでしょうか。
練習後、子どもたちが向かったのは市内の学習塾です。

この塾もスポンサーの1つで、クラブチームの練習の終了時間にあわせて柔軟に対応しています。さらに授業料も通常よりも安く抑えているといいます。

大日方秋広 塾長
「講師料もまかなえていなくて、かえってマイナスになっています。スポーツだけでなく、勉強も実は楽しくて全力でやるという気持ちになってくれればいいかなと。そのための投資だと思ってやっています」

ことし3月から塾に通っている須賀悠輝(14)さんは、成績が伸びたと言います。

「1年生のころは数学が全然できなかったのですが、いまでは1年生のころに比べ、かなり点数が上がりました」

成績上げ強豪校へ

吉松晴哉さん(14)は、ことし10月から塾に通うようになりました。

母親のさつきさんは、1人親として晴哉さんを育てています。このクラブチームがなければ、サッカーと勉強の両立は難しいと考えていたといいます。

「塾に行かせてあげられることができるか、できないかというところだったので、料金的なことや、スポンサーのサポートが私のような家庭にはすごくありがたいです」

吉松さんは成績を上げ、県内のサッカー強豪校への進学を目指しています。

吉松晴哉さん
「協力してくれるというところがありがたいです。あこがれの選手は三笘選手です。ドリブルがうまくなれるように三笘選手みたいになりたいです」

サッカーに、勉強に。髙橋さんとスポンサーの”アシスト”は続きます。

髙橋崇寛さん
「子どもたちのこれからの第2の人生だったりとかこの先のことも考えると、全国でもこういうことは出来ると思うので、地域一丸となって、子どもたちの育成に向かってしっかりと力をいれていければなというふうに思っています」

スポンサーにとって、中学生のクラブチームは、プロチームや社会人のクラブチームと異なり、金銭的な利益を追求するのは難しいといいます。一方で、週に1回練習に顔を出している理学療法士は、子どもたちのケアを通じて、経験を積むことにもつながっていると話していました。そこに、ほかの地域にもこうした取り組みが広がっていくヒントがあると感じました。

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