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本田美奈子.さんしのぶコンサート 骨髄バンクのドナー登録を

  • 2022年12月02日

歌手やミュージカル俳優として活躍した本田美奈子.さん。幼い頃から埼玉県朝霞市に住み、17年前の11月、白血病で亡くなりました。
命日を前に本田さんをしのぶコンサートが3年ぶりに開かれ、骨髄バンクのドナー登録への協力を呼びかけました。

本田美奈子.さん 白血病で亡くなって17年

本田美奈子.さんは1985年にアイドル歌手としてデビューしました。
ミュージカル俳優としても「ミス・サイゴン」や「レ・ミゼラブル」などに出演し、高い評価を得てきました。
しかし2005年1月に急性骨髄性白血病で入院して、その年の11月6日に亡くなりました。38歳の若さでした。

“骨髄バンクへのドナー登録を”コンサートで呼びかけ

本田さんが亡くなった翌年から、本田さんと親交のあった歌手などが出演するチャリティーコンサートが毎年、開かれています。そこで呼びかけられてきたのが骨髄バンクのドナー登録です。
11月3日、都内で開かれたコンサートには全国各地から多くの人が訪れました。新型コロナの影響で3年ぶりの開催となりました。

骨髄バンクのドナー登録
白血病などの治療には、健康な人から骨髄液を提供してもらう骨髄移植が有効ですが、白血球の型(HLA型)が適合することが必要です。
しかし、患者と提供者(ドナー)の型が適合する確率は、兄弟姉妹の間で4分の1、他人とは数百から数万分の1と言われています。
家族で提供できる人がいない場合、骨髄バンクに登録している人の中から適合するドナーを探します。
多くの患者を救うためには、多くのドナーが必要になります。

コンサートを主催するNPO法人「リブ・フォー・ライフ美奈子基金」は本田さんと親交のあった人たちが設立しました。本田さんの「同じように難病と闘う人たちを支援したい」という思いに賛同したということです。

NPO法人の理事長 音楽評論家の湯川れい子さん
「映像を何回見ても『ほんとにいい声だったな、かわいかったな』と、美奈子さんのことが心から離れません。つい涙ぐんでしまいます。みなさんにお会いするのは3年ぶりになりますが、コロナ禍のために困ったことも起きています。白血病の治療のための『骨髄バンク』へのドナーの新規登録者が、大きく減っているのです。骨髄移植をするためには、白血球の型が同じでないといけません。血がつながっているきょうだいでも、なかなか難しいと言われています。切なく、つらい状況ですが、美奈子さんの遺志を継いで、苦しんでいる人たちのために、少しでも何かできたらと思い、今後も活動していきます」

コンサートでは、本田さんと親しかった早見優さんや松本伊代さん、森口博子さん、南野陽子さんなどが出演しました。本田さんのヒット曲を歌ったり、本田さんとの思い出話を披露したりしました。

最後に、改めてドナー登録への協力が呼びかけられ、出演者全員が本田さんの代表曲「アメイジング・グレイス」を歌いました。

観客

「とてもすてきなコンサートで、感動しました。骨髄バンクのドナー登録のことはきょう初めて知りました。自分で調べてみて、できるなら私も参加したいと思いました」

観客

「自分はドナー登録しています。少しでも、困っている人の力になれたらなと思っていますし、自分のように、ドナー登録者が増えたらいいなと思っています」

NPO法人副理事の高杉敬二さん(本田さんが所属していた事務所の社長)
「ドナー登録者が54万人にまで増えました。もしかしたら『今だったら本田は助かったかもしれないな』と、ときどき思うんです。それだけ、ドナー登録者が増えることによって、命が助かる確率が高まるので、大変なことですが大切なことだと思っています。今後も、途絶えることなく、人の命を救うということを念頭に、多くの人と手を携えて、頑張っていきたいと思います」

骨髄バンク 若い登録者を増やしたい

骨髄バンクのドナー登録者を増やすための課題が、若い登録者を増やすことと、ドナーが提供しやすいための環境整備です。
患者とドナーとの仲介を担っている「日本骨髄バンク」によりますと、ドナー登録者数は約54万人で、本田さんが亡くなった2005年と比べると、2.4倍に増えています。

一方、ドナー登録できる年齢は18歳から54歳までという制限があり、55歳になると登録が取り消されます。
しかし、登録者を年齢別にみると46歳から50歳までが全体の4分の1近くを占めていて、この年齢層の人たちが55歳を迎える5年後からは、登録者が大きく減ることになります。
このため、若いドナー登録者を増やしていくことが大きな課題となっています。

日本骨髄バンクでは、大学で行われる献血の際にドナー登録会を実施したり、10代や20代の若者でつくるボランティアグループの協力でSNSや動画投稿サイトに情報を発信したりして、若い人たちへのアプローチを試みています。

ドナーが提供しやすい環境に

ドナー登録をしている人が、実際に患者に骨髄を提供することになった時には10日程度、検査のために通院したり、骨髄採取のために入院したりすることになります。
しかし、「何日も仕事を休めない」「授業を休めない」など、都合がつけられないという理由で、提供ができなくなるケースが年間3600件以上あるということです。

そうした状況を改善するもののひとつが「ドナー休暇制度」です。
従業員が通院や入院などで仕事を休む際に、有給休暇ではなく特別休暇として認めるもので、全国で700以上の企業や団体が導入しているということです。

また、学生の場合、通院や入院などの日を公欠扱いにしている大学が10校あります。

さらに、仕事を休むと収入が減ってしまう自営業者や非正規労働者などのために助成金を支給する制度を設けている市町村は800余りにのぼっています。

1人でも多くの命を救うために

「人はみんな、命を輝かせるために生まれてきた」ということばを残した本田美奈子.さん。再びステージに立つことを目指し、最後まで病気と闘い、命を輝かせ続けました。そうした本田さんの生き方は、いまも多くの人に勇気を与えています。
骨髄バンクに患者として登録している人は1600人以上いて、1日も早い骨髄移植を希望しています。1人でも多くの命を救うため、骨髄提供への理解、ドナーへの支援がよりいっそう求められています。

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