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特殊詐欺の被害を防げ!警察と若者がコラボ 埼玉県所沢市

  • 2021年12月27日

あとをたたない特殊詐欺。
被害を防ぐため、埼玉県警の所沢警察署が秋草学園短期大学の学生に協力を呼びかけました。そこには、2つのねらいがありました。

特殊詐欺撲滅に学生が協力

埼玉県内では特殊詐欺の被害があとをたちません。埼玉県警によりますと、ことしは11月末の暫定値で959件と、去年の同じ時期に比べて48件増えています。警察は被害を減らそうと、街頭でチラシを配ったり、動画を流したりして啓発してきました。こうしたなか、埼玉県警の所沢警察署は、新たな取り組みとして若者とのコラボを企画しました。協力を呼びかけた先が地元の秋草学園短期大学で、およそ30人の学生が参加することになりました。

詐欺の実態と対策を学ぶ

学生たちは、前期と後期に分かれて、特殊詐欺の実態と対策を学びました。12月2日に行われた後期の授業は「家族から被害を出さない、犯人にならない特殊詐欺防止講座」と題して行われました。

学生たちは、講師の警察官から、特殊詐欺のほとんどが家の固定電話にかかってくると説明を受けました。そのうえで、留守番電話に設定すれば電話に出る前に誰からかかってきたか確認できることや、会話のやりとりを録音されるのを嫌う詐欺グループを撃退できることを学びました。

「家族に、留守番電話に設定するよう呼びかけてほしい」
講師の言葉を、学生たちは真剣な表情で聞き入っていました。

学生たちが次に学んだのは、特殊詐欺事件に多くの若者が加担している実態でした。授業では、去年、埼玉県内で検挙された人のうち、およそ2割が未成年で、バイト感覚で詐欺に手を染めてしまい逮捕される若者がいることも紹介されました。さらに、金を受け取る役の「受け子」をSNSで募集していたため応募したところ、顔写真や本人確認証など、ありとあらゆる個人情報を詐欺グループに弱みとして握られ、抜け出せなくなる怖さも学びました。

授業を受けた学生
「家族が特殊詐欺の被害にあわないよう、ふだんから連絡をとろうと思います。また、自分も知らないうちに特殊詐欺に加担していないか気をつけないといけないなと思いました。友達も加害者にならないよう声をかけたいと思います」

今回の取り組みに、警察は2つの狙いを込めていました。1つは高齢者が被害にあうケースが多いなか、若者がこの問題に関心を持つことで特殊詐欺撲滅の気運を高めること。そして、もう1つは、若者が詐欺に加担するのを防ぐことです。

お手製のチラシで啓発活動

授業から2週間たった12月16日、学生たちは、警察官と一緒に西武新宿線の新所沢駅で街頭活動を行いました。

学生たちは「特殊詐欺が増えているので気をつけてください」とか、「若い人が特殊詐欺に加担するケースがあるので注意してください」などと呼びかけ、チラシなどを配りました。

実はこのチラシ、学生たちが作成しました。”詐欺”と鳥の”さぎ”をかけた表現と、シンプルなイラストが目をひきます。

両面あり、もう一方には鶴の恩返しを題材にしたパロディーが4コマ漫画で紹介されています。

反応も上々です。

所沢市の50代女性
「こういった活動はすごく良いことだと思います。チラシに使われているイラストがユニークでなんだろうって、見ようと思うようなイラストになっていると思います」

所沢市の10代女性
「コロナ禍で特殊詐欺が増えていると聞いているので、こういった活動をどんどんしてほしいです」

地域の協力で被害防止を

警察も手応えを感じていました。

学生とのコラボを企画 
所沢警察署 日向昇一 生活安全課長
「授業で学生さんたちに、特殊詐欺の被害について知ってもらうとともに犯罪に加担しないよう呼びかけました。その学生さんたちが今度は、街頭活動で多くの人たちに学んだことを伝えられたので、やってよかったです。特殊詐欺の被害防止に向けて、今後もアイデアを出し、地域の方たちの協力をもらいながら取り組んでいきます」

  • 海老原悠太

    さいたま放送局 記者

    海老原悠太

    令和3年入局 主に事件・事故を取材

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