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レインボーさいたまの会に聞く パートナーシップ制度

  • 2021年12月8日

最近、LGBTQなど性的マイノリティの人たちをめぐる社会的な動きが急速に進んでいます。こうした動きを、当事者の人たちはどのように受け止めているのでしょうか。レインボーさいたまの会のメンバーに岩崎愛キャスターが伺いました。
スタジオには、事務局長の大澤由季さん、副代表の川崎しょうさん、共同代表の鈴木翔子さんにお越しいただきました。1回目は、同性カップルに対して「結婚相当の関係」を認めるパートナーシップ制度についてです。

2回目はこちら↓
レインボーさいたまの会に聞く カミングアウトとアウティング

まず、自己紹介からお願いしてもよろしいでしょうか。

大澤さん

よろしくお願いいたします。きょうは越谷から伺いました。 セクシャリティはレズビアンです。きょうは1人のレズビアンとして、話をさせていただきたいと思っております。 

川崎さん

私のセクシャリティは、LGBTQでいうと、Gですね。ゲイ、男性の同性愛者ということになります。19歳の頃から付き合わせていただいているアメリカ人のパートナーがおりまして、アメリカで結婚して、31年間、一緒に暮らしています。 

鈴木さん

私自身はパンセクシュアル、一般的な言い方で言うと、バイセクシャルが一番近いと思うのですが、過去には、女性のパートナーがいたときも、男性のパートナーがいたときもあります。今は男性のパートナーと婚姻もして、子ども4人の子育てに毎日、悪戦苦闘しながら日々を暮らしております。

LGBTQの生きづらさ

まず、3人それぞれにお伺いしたいのですが、LGBTQとして生活するうえで、どんなことに生きづらさを感じますか。 

川崎さん

若い頃には随分と悩みましたけれども、もう50歳になるので自分のセクシャリティに関して悩むことはもう終わったと感じています。家族にも理解してもらっています。ただ、私が住んでいる鶴ヶ島市には、まだ同性パートナーシップ制度が導入されてないのです。 

例えば、保険や職場の福利厚生など、同性パートナーシップ制度の証明書があれば、利用できるサービスが多くなってきているのですが、制度が使えないことで、不便だなと感じることがよくあります。また、私のパートナーがこの先、例えば、病院に入ったり、コロナのことでなにかよくないことが起きたりしたときに、家族として対応していただけるのかどうか、老後の不安みたいなものはあります。

鈴木さん

私の場合、セクシャリティがバイセクシュアルで、今は男性のパートナーと生活しているので、婚姻も子育てもしていて、ごくごく一般的な生活を送れる状況です。でも、過去を振り返ったとき、パートナーが女性であった場合は、そのすべてが望めなくなるんです。 

私自身はなにも変わらないわけです。ただパートナーが同性であった場合、結婚という話題もでないですし、子育てを一緒にしていこうということも困難だらけになってくる、家族の理解もすごく丁寧にひとつひとつクリアしていかなくてはいけない。 本当に難しさが多々でてくるわけです。この落差はなんだろうかと、本当に感じています。 

大澤さん

私は今、女性のパートナーと一緒に住んでいるのですが、私もパートナーも、もう40代後半になります。この年齢になれば、生活のうえでも、仕事のうえでも、自分の生活スタイルが確立されているので、若いときのように縮こまっての生活はしなくなったということはあります。

ただ、今でもやはり気になるのが、同性同士が長く一緒に住んでいると、やはり周りの方の目を引く部分があるんですね。私たちは、いざとなれば仕方がないと割り切って生活しているのですが、友人の話を聞くと、うわさ話の対象になってしまったり、場合によっては、さまざまな推測、憶測、詮索を受けたりして、せっかく2人で一緒に生きていこうとスタートを切ったのに、一緒に住めなくなってしまったケースもあります。

同性パートナーシップ

一つ気になっているのですが、同性の方が2人で暮らせる不動産の物件は多いんですか

大澤さん

少ないです。同性のカップルが部屋を借りるとなると、“パートナーです”というようにカミングアウトするわけにはいかない。相手がLGBTQに対して、どのような考えを持っているのかわからないですから。同性のカップルの場合、不動産屋さんも大家さんもハードルがぐっと上がりまして、“同性同士だとちょっとね”とか、“あんまりって言う大家さんが多いんだよね”と言われたりします。私はなんとか借りることができましたけれども、一緒に住みたいけど住めない同性カップルは多いです。

川崎さん

ただ少しずつ、環境は変わってきています。私たちの会に直接、協力を申し出てくれた不動産屋も実際にいますし、既に取り組みを始めている不動産屋も増えてきています。

鈴木さん

住宅ローンについても大きく変わってきています。もともとLGBTQのカップルだと、一緒にローンを組むことすらできないというハードルがあったのですが、最近では、パートナーシップ制度を利用すると、ローンを一緒に組んで家を建てたりすることができるようになってきました。

埼玉県内でパートナーシップ制度を導入した自治体 
レインボーさいたまの会調べ 2021/12/1現在
鈴木さん

パートナーシップ制度とは、自治体が2人を家族として認証するという制度です。宣誓書などの書類を提出すると、自治体の責任において、この2人は家族だということを証明する携帯用のカードや証明書を発行してくれます。これを持っていれば、緊急のときだったり、部屋を借りにいくときだったり、例えば、携帯電話の家族割を適用するときにも利用できるようになります。

でも、 このパートナーシップ制度は法的な拘束力は一切ありません。努力義務として、認めてくださいと言うことはできるのですが、婚姻関係のように法的に保障されるものではないという部分が大きな違いになります。

結構な違いですよね。 

鈴木さん

違いますね。ただ大きな1歩であるという意味は大きいと思います。 

パートナーシップ制度は導入されても、結婚はできないじゃないですか、そのことについてはどう思われますか。

川崎さん

異性カップルであれば当たり前にできることで、常に我慢を強いられているので、もちろん同性同士で結婚ができればいいなと思うところはあるのですが、法律や憲法といった時間のかかる議論をせずに、今、困っている人をすぐに救うためにも、自治体にパートナーシップ制度の導入をお願いしています。

キャスターからひと言

レインボーさいたまの会は2018年に設立しました。講演会のほか、LGBTQをテーマにした映画の鑑賞会などのイベントを行っています。現在、個人の会員、賛助会員と法人の賛助会員のあわせて100人ほどが参加しているということです。

記事の内容はさいたま放送局のFM番組「ひるどき!さいたま~ず」で放送しました。(11/25)

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