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熱中症特別警戒アラート 発表基準や指標の暑さ指数の確認方法は?専門家“災害対応と捉えて…”

  • 2024年4月24日

4月24日から運用がはじまった「熱中症特別警戒アラート」は、人の健康に重大な被害が生じるおそれがある暑さが予測された場合に新たに発表されます。

発表基準や、発表された都道府県などはどのようなことが求められるのか。
また、すでに使われている「熱中症警戒アラート」と何が違うのか、まとめました。

「熱中症特別警戒アラート」運用はじまる

4月24日から運用が始まった「熱中症特別警戒アラート」は、気温や湿度などから算出する「暑さ指数」の予測値が、すべての観測地点で35以上となった都道府県を対象に、環境省が発表します。

「暑さ指数」が33以上と予測される地域に発表される「熱中症警戒アラート」の一段上に位置づけられ、「人の健康に重大な被害が生じるおそれがある過去に例のない広域的な危険な暑さ」が想定されています。

これまでに特別警戒アラートの該当となる暑さとなった事例はありません。

◇特別警戒アラート発表の都道府県◇
特別警戒アラートが発表された都道府県では、熱中症を予防する行動の徹底のほか、自治体は公共や民間のエアコンが効いた施設を「クーリングシェルター」としてあらかじめ指定し、発表された場合に開放することが求められています。

◇学校の校長 経営者 イベント主催者などは◇
また、学校の校長や経営者、イベントの主催者などの管理者は熱中症対策が徹底できない場合、運動やイベントの中止、リモートワークへの変更などの判断が求められることになります。

熱中症予防情報サイトで「暑さ指数」確認

環境省の「熱中症予防情報サイト」より

4月24日から環境省の「熱中症予防情報サイト」で、「熱中症特別警戒アラート」の発表の指標となる「暑さ指数」を確認できます。

都道府県ごとに観測地点があり、神奈川県や佐賀県が最も少ない5地点、北海道は最も多く163地点で、それぞれの地点の現在の状況や今後の予測値を確認することができます。

環境省は、翌日の予測値を確認し、すべての観測地点で暑さ指数が35以上になると予測される都道府県を対象に、「熱中症特別警戒アラート」を発表します。

環境省によりますと、過去にこの基準に達した事例はなく、これまでに最も暑さ指数が広域で高くなったのは、2020年8月11日に埼玉県の8地点すべてで34以上になった時で、このうち2地点は35を記録したということです。

暑さ指数の重要性 データからも

新たに運用が始まった「熱中症特別警戒アラート」や、すでに使われている「熱中症警戒アラート」は気温だけでなく、湿度や地面などからの熱を計算した「暑さ指数」をもとに発表されます。

熱中症を防ぐためには暑さ指数も考慮した対応が必要です。

例年、多くの高齢者が熱中症で救急搬送されていますが、去年も学校の部活動や運動会の練習中などの際に生徒や児童が熱中症とみられる症状で搬送されるケースが相次ぐなど子どもの対策も必要です。

NHKが日本スポーツ振興センターから提供を受けて行った都道府県や発生日時、時間などが記載された詳細なデータの分析では、2003年から2021年までの間に生徒や児童28人が熱中症で死亡していたことが分かりました。

これらを環境省が公表している「暑さ指数」のデータと照合したところ、分析可能な2010年以降に起きた15件のうち、▼運動の原則中止を求める「危険」が2件、▼激しい運動を中止するよう求める「厳重警戒」が10件と、8割で熱中症になる危険性が高い環境だったことがわかり、気温だけでなく「暑さ指数」を考慮した対応の必要性がデータからも見て取れます。

日本スポーツ協会の指針では「暑さ指数」が31以上では“運動は原則中止”、28以上では“激しい運動は中止”すべきとしていて、文部科学省などの手引きではこれを参考に体育などの授業や運動会、遠足といった活動の参考に学校での熱中症対策を進めるよう呼びかけています。

専門家は“災害対応と捉えて”

環境省の作業部会のメンバーで、災害時の避難行動に詳しい社会安全研究所の首藤由紀所長は、次のように話していました。

社会安全研究所 首藤由紀 所長
「特別警戒アラートが出るような熱波ということになると夜間でもとてもエアコンなしでは暮らせないという状況だ。いわゆる自然災害のひとつとして捉え、災害対応として市町村は実施する必要があり、国や都道府県もふだんから市町村の取り組みを支援する、発生後も必要な支援を行う仕組みを整えてほしい」

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