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肥満症 新治療薬ウゴービ 保険診療のケースは 美容目的使用の懸念も

  • 2024年2月26日

デンマークの製薬会社が開発した「ウゴービ」は、「GLP-1受容体作動薬」と呼ばれる薬の1つで、肥満症の治療薬として国の承認を受け日本国内での販売が始まりました。ただ、この薬をめぐっては美容目的での使用などが懸念されています。この薬が保険診療の対象となる条件、厚生労働省などが設けたこの薬についてガイドラインなどについてまとめました。

「GLP-1受容体作動薬」とは

肥満症の新たな治療薬「ウゴービ」は、「GLP-1受容体作動薬」という国から承認されている糖尿病の治療薬の用量を増やして肥満症に応用したものです。

食欲を抑える働きがあり、「肥満大国」とされるアメリカではFDA=アメリカ食品医薬品局が、供給が不足していると公表するなど、世界的な需要の高まりに供給が追いつかない状況です。

肥満症の治療薬「ウゴービ」販売開始

この「ウゴービ」は去年、肥満症の治療薬として国の承認を受け、国内での販売が始まりました。「肥満症外来」を設けている千葉大学医学部附属病院では2月22日、60代の女性患者1人に専門の医師が診察を行い、この薬を処方しました。

薬は自分でおなかに注射をする必要があるということで、女性は、看護師に教えてもらいながら注射をしたあと、医師から運動や食生活の改善なども続けるよう指導を受けていました。

保険診療の対象となるのは

この薬が保険診療の対象となるのは、▼肥満症と診断され、▼高血圧などの症状があることなどが条件となっています。

千葉大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科 小野啓科長
「高度な肥満症の患者の治療には待ち望まれていた薬だが、美容目的などで安易に投与すると血圧の低下などの副作用のリスクがある。慎重な処方が必要だ」

同じ成分「GLP-1受容体作動薬」では不適切使用が

同じ成分の糖尿病治療薬「GLP-1受容体作動薬」をめぐっては、国内では美容やダイエットを目的とした不適切な使用が広がり、日本医師会などは、必要な糖尿病患者に薬が届かなくなるほか副作用の説明が不十分で体調不良につながるケースが相次いでいるとして問題視してきました。

“ダイエットなどを目的に投与してはならない”

このため、「ウゴービ」で新たに肥満症が対象になり、より多くの患者が使用する可能性があることから、処方開始に先立って、厚生労働省や日本肥満学会などは「GLP-1受容体作動薬」では初めて医療機関や薬局向けのガイドラインを公表しました。

この中では、▼投与の対象となる肥満症患者の明確な条件や、▼日本肥満学会の専門医が所属することなど投与できる医療機関の条件を示しています。
そのうえで、「ダイエットなどを目的に投与してはならない」としているほか、副作用に対して適切な処置ができる体制を整備するよう求めています。

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