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こんにゃく王国・群馬で何が!?「不作」に「取引価格の下落」などで…

  • 2024年2月16日

ぷりぷりとした歯ごたえに、滑らかな舌触りでおでんの食材でも大人気の「こんにゃく」。
その原材料となるこんにゃく芋の生産量、全国トップはなんと群馬県なんです。

その「こんにゃく王国・群馬」で何が起きているのでしょうか。

こんにゃく芋農家 苦境に…

群馬県は、こんにゃく芋の生産量が全国1位で、このうち渋川市はおととし(令和4年)の時点で219軒と最も農家の数が多い県内有数の産地です。

ただ、夏の猛暑の影響で不作となり、県によりますと、渋川市内の主要地区のこんにゃく芋のでき具合を示す作況指数は平年を「100」とした場合、今シーズンは「65」にとどまり、現在の方法で統計を取り始めた平成19年以降、最も低い数値となっています。

また、JA全農ぐんまによりますと、県内では、国内での需要低迷などの影響で、加工業者との取引価格は今年度の平均は30キロあたりおよそ3000円と、昨年度から3割ほど下落しているということです。

さらに、円安などの影響で肥料や農業資材などの価格も高騰が続いていて、農家の負担が増しています。

こうした中、産地や生産者からは支援を求める声が相次いでいます。

このうち、渋川市は去年12月、県に要望書を提出し、面積に応じた給付金の支給や消費拡大のためのPRなどを求めています。

また、生産農家で作る団体「群馬県こんにゃく研究会」も2月、損失を補填する緊急対策を講じることや、こんにゃく粉の新しい用途の研究開発に官民一体で取り組むことなどを県に要請しています。

渋川市の農家は…

こんにゃく芋をつくる渋川市の農家、八高啓輔さんです。

去年12月に、こんにゃく芋の収穫が終わり、今は種芋の選別作業などを行っています。

去年は、猛暑や夏場に雨が少なかったため芋の生育が遅れ、大きさは全体で例年より2割から3割ほど小さいといいます。

渋川市の農家、八高啓輔さん
「めちゃくちゃ苦しいですね。こんにゃくってのは、重さで売るものなので、売り上げがやっぱり上がらないです」

記録的な不作に加えて肥料価格は5割から7割上昇。
近所の畜産農家から豚や牛のふんを譲り受け、肥料として活用することで肥料価格を抑えるなどの工夫をしています。

しかし、これまで経験したことがないような取引価格の下落に頭を悩ませています。

八高さん
「努力を安値の中で重ねてきたんですけれど、この価格崩壊にはもう何をしても太刀打ちできない状況なので努力と工夫が水の泡になる危機にひんしているなあと思います」

そのうえで国内での消費の低迷については、次のように話しています。

八高さん
「こんにゃく農家が苦しい中でも一生懸命作りましたので、暖冬の中でなかなかおでんとか鍋物需要が少なくなっています。個人個人でみなさん好きな調理法見つけてもらって、ぜひこんにゃくいっぱい食べてもらいたいですね」

こんにゃくをめぐる状況

農林水産省が去年(令和5年)、公表した資料によりますと、群馬県は昨年度(令和4年度)、全国のこんにゃく芋の収穫量のおよそ95%を占めています。

一方、全国のこんにゃく芋の栽培面積は長期的には減少傾向で推移していて、昨年度の生産量は5万1900トンと、5年前と比べおよそ20%減少しています。

また、こんにゃく製品の販売額はおととし見込額で526億円と、10年前と比べて109億円も減少しています。

こうした中、近年、健康意識の高まりなどに伴い、欧米や東南アジア、それに中東や韓国へのこんにゃく加工品の輸出拡大が進んでいて、おととしの輸出額は4億2000万円あまりと、10年間で5倍に増加しています。

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