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化学物質「PFAS」都が所有の30施設で有害性指摘の物質含む消火剤 設置判明

  • 2024年2月6日

化学物質の「PFAS」。東京都が所有する駐車場や事務所ビルなどにある消火剤について調べたところ、30の施設で有害性が指摘される物質を含むものが設置されていたことが分かりました。専門家は「早く交換することが喫緊の課題」と指摘しています。

かつては泡消火剤など幅広く使用も有害性指摘

「PFAS」は、有機フッ素化合物の総称で、「PFOS」や「PFOA」など一部の物質は水や油をはじく特性などから、かつて泡消火剤など幅広い用途に使われていましたが、有害性が指摘され、国は水質の暫定的な目標値を設けるなどして規制しています。

町田市では川にPFOS流出も

去年12月、町田市の市営の立体駐車場の消火設備が何者かによって起動され、有害性が指摘されているPFOSを含む泡消火剤がまき散らされました。

市によりますと、泡消火剤の中には、PFOSが8リットルから1.6リットル程度含まれ、洗い流した際などに、排水溝から近くを流れる境川に流れ出たということです。
これを受けて、市が川の水質検査をした結果、下流の2か所で国の暫定的な目標値の1リットルあたり50ナノグラムを大幅に上回る、810ナノグラムと190ナノグラムのPFOSが検出されたということです。

消火設備は、天井にはりめぐらされたパイプを通して上から泡消火剤を放出する仕組みで、火を感知した場合に自動で作動するほか、火事に気付いた人が手で起動できるよう、封のされたレバーも駐車場内に設置されています。
この泡消火剤は、PFOSが規制される前の1980年に駐車場ができた際に設置されたもので、来年度以降の老朽化した駐車場の建て替えにあわせてPFOSを含んでいないものに交換する予定だったということです。

近くの
80代男性

近くに工場などがあれば、化学物質の流出があることもわかるが、駐車場なので驚きです。あまり『PFAS』に関する情報がないので、もっと知らせてほしい。

50代女性

火災の時に必要であるなら、しかたがないところもあるが、ただ消せばいいというものでもないと思う。何も害のないものがあれば一番いいので、そっちの方がいい。

20代の母親

川の水に有害物質が含まれていたのが怖い。研究を重ねてもらい、有害なものはなるべく近くからなくしてもらえたらありがたい。

都が所有の30施設でPFOS含む消火剤 予算案に交換費用

これを受けて都が、都の施設すべてで、PFOSを含む消火剤が設置されているかどうか緊急で調査を行ったところ、都内の駐車場や事務所ビルなど、あわせて30の施設で設置されていたことが分かりました。

都は、規制対象の物質を含んでいることが分かった場合、取り替えていましたが、今回の結果を踏まえ、交換を進めています。また、民間施設でも交換を進めようと、費用の一部を補助するのにおよそ2億3千万円あまりを新年度・令和6年度予算案に盛り込んでいます。

専門家 数多くの施設『早く交換を』

PFASの問題に詳しい京都大学大学院の原田浩二 准教授はこう指摘します。

京都大学大学院 原田浩二 准教授
「立体駐車場などに設置されている泡消火剤は古いものだと、PFOSを含んでいるものが数多くあり、それが今も残っているPFOS自体は劣化しない物質だが、消火設備は劣化してしまうので、老朽化で誤作動などが起きた場合に、PFOSを含んだ泡消火剤が流出するケースが全国各地で報告されている。身近なところにも流出リスクが常にあること、それが場合によっては水源などにも影響しうることは考える必要がある。立体駐車場などでは、規模によって消火設備の設置が義務づけられているが、消火剤をどのように交換するのかという仕組みが十分ではなく、設置当初からずっと置かれている状態になっているものもあるので、早くPFOSが出ないものに交換することは喫緊の課題だ」  

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