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春闘2024 ことしの賃上げ 満額回答 早期決着 交渉待たず表明も 企業の動きは

  • 2024年3月12日

【更新 3月12日】
ことしの春闘では、集中回答日を待たずに幅広い業種の大手企業の間で満額回答や早期決着の動きが相次いでいます。こうした中、日本製鉄は、労働組合の賃上げの要求額を上回る形で異例の回答を行う方針を固めたことが分かりました。鉄鋼大手各社は、長年にわたって同じ水準の賃上げを続けてきましたが、その“横並び”が崩れる見通しです。このほか、自動車、外食、食品、小売り、生命保険大手など、企業の賃上げの動きについてまとめました。

要求額を上回る形で回答の方針

〇日本製鉄
日本製鉄の労働組合は、ベースアップ相当分として月額3万円の賃上げを要求し、オイルショックによる物価高の影響を受けた1975年以来の高い水準となっています。
関係者によりますと、これに対して経営側は、この要求額を上回る形で回答する方針を固めたということです。

鉄鋼大手各社は、昭和30年代以降、組合側の賃上げ要求に対し、各社が同じ水準で応じてきました。ことしの春闘でも日本製鉄とJFEスチール、それに神戸製鋼所の労働組合が同じ月額3万円の賃上げを要求していましたが、経営側の回答では、その“横並び”が崩れる見通しとなりました。

【追記 3月12日】

航空業界

○全日空・日本航空
いずれも33年ぶりとなる高い水準のベースアップを行うと回答しました。

満額回答 ホンダ マツダ いすゞ自動車 ヤマハ発動機

〇ホンダ
ことしの春闘で、ホンダの労働組合は、ベースアップと定期昇給の相当分をあわせた総額で月額2万円の賃上げを要求したほか、一時金については、月給の7.1か月分を要求していました。これに対し会社は2月21日、2回目の労使交渉で、物価上昇などの課題の認識が一致しているとして、組合の要求どおり満額回答しました。
月額2万円の賃上げは、1989年以降で最大だということです。

〇マツダ
マツダは、労働組合が行ったベースアップ相当分と定期昇給をあわせた総額で月額1万6000円の賃上げの要求に対し、2月21日、満額回答しました。
いまの人事制度となった2003年以降で最大の賃上げとなります。

〇いすゞ自動車
いすゞ自動車はベースアップと定期昇給を含めて月額1万9000円、率にして6%を超える賃上げ要求に対して満額で回答しました。

〇ヤマハ発動機
また、ことしの春闘でヤマハ発動機の労働組合は、ベースアップ相当分と定期昇給をあわせて組合員1人あたりの平均で過去最高額となる月額1万7400円、ボーナスにあたる一時金は、過去最高となった去年の妥結額と同じ6.5か月を要求していました。
これに対して会社は2月21日、初めての労使交渉で、組合の要求どおり満額回答しました。

大手企業で早くも満額で回答する動きが出る中、中小企業を含めて去年を上回る水準の賃上げが実現するかが焦点となります。

【追記 3月8日】

外食業界

〇すかいらーくホールディングス
すかいらーくホールディングスは2月21日の初回の交渉で、5%のベースアップを含む6.22%の賃上げを行うことで組合側と合意しました。要求に対して満額の回答で、過去10年で最大となった去年(2023年)の4.38%を上回る水準となります。

〇松屋フーズホールディングス
外食業界では、牛丼チェーンなどを運営する「松屋フーズホールディングス」が組合との交渉を例年より前倒しして去年(2023年)12月に実施し、初任給の引き上げのほか、ベースアップと定期昇給をあわせて過去最高の水準となる10.9%の賃上げを決めています。

〇モスフードサービス
ハンバーガーチェーンを運営する「モスフードサービス」は定期昇給とベースアップをあわせて平均で8%程度の賃上げを行うことを決めました。会社としてベースアップを行うのは初めてだということです。

〇ゼンショーホールディングス
牛丼チェーンの「すき家」などを運営する「ゼンショーホールディングス」は、3月7日の労使交渉で、ベースアップと定期昇給をあわせて12.2%の賃上げを行うことで妥結しました。過去最高だった去年の9.5%をさらに上回る水準です。

〇日本マクドナルド
このほか、大手ハンバーガーチェーンの「日本マクドナルド」もベースアップと定期昇給をあわせて平均4%の賃上げを行う方針を明らかにしています。

【追記 3月8日】

食品などのメーカー

○サントリーホールディングス
サントリーホールディングスは2月28日の初回の交渉でおよそ7%の賃上げで妥結し、ベースアップは月額1万3000円と直近の20年間で最も高くなりました。

○サッポロビール
サッポロビールは2月末の交渉で2年連続となるベースアップを含めた6%あまりの賃上げを行うことで妥結しました。

○味の素
大手食品メーカーの味の素は、3月7日から始まった労使交渉で経営側が組合側の賃上げの要求に満額回答して妥結しました。賃上げは、組合に所属する正社員を対象にベースアップと定期昇給分などをあわせておよそ6%で、1人あたり平均で月額2万1664円となります。このうちベースアップの金額は、管理職も含まれ、1人あたり平均で、月額1万4000円で、1975年に次ぐ過去3番目に高い水準だということです。
さらに、パート従業員の時給や、4月に入社する新人社員の初任給などを引き上げることも決まりました。

○キリンホールディングス
月額1万円ほどのベースアップと定期昇給分をあわせて去年と同じ水準となる平均6%程度の賃上げを行う方向で検討を進めていて、人材の獲得につなげたい考えです。

【追記 3月8日】

小売り業界

○家電量販大手ビックカメラ
8年連続となるベースアップを行う方針を決めました。人材の確保につなげようと例年の妥結時期よりも大幅に早い段階で方針を打ち出しました。引き上げ額は労働組合がつくられた2004年以降で最大だということです。

○流通大手イオン
グループで働くパートなどおよそ40万人を対象に時給を平均でおよそ7%引き上げる方針を固めています。会社ではパートなどを対象に去年も同じ水準の賃上げを実施していて、2年連続となります。

生命保険大手

○日本生命
営業職の賃金を平均7%程度引き上げる方針です。

○第一生命ホールディングス
営業職も含めた社員の賃金を平均7%引き上げる方針です。新年度から従業員向けに株式を給付する制度を導入する予定で、この手当も含んでいます。

○明治安田生命
社員の賃金を年収ベースで平均7%引き上げる方針です。新年度から年功要素を廃止し、実績や役職をより反映した賃金体系に移行する予定で、この方針に沿って支給する特別手当も含んでいます。

○住友生命
営業職の賃金を平均7%以上引き上げる方針です。

ことしの春闘に向けて大手企業の間では、経営側が組合側との交渉を待たずに早期に賃上げの方針を表明する動きも相次いでいます。

NHK100社アンケート 景気の見通し

○NHKアンケート調査
2023年12月20日~2024年1月15日
国内の主な企業100社を対象
(すべての企業から回答)

NHKのアンケート調査で、ことしの国内の景気の見通しをたずねたところ、「拡大」が1社、「緩やかに拡大」が71社と、「拡大する」としたのは、あわせて72社に上りました。

1年前の調査では「拡大」と回答した企業は2社、「緩やかに拡大」が54社で今回はあわせて16社増えています。

「拡大」「緩やかに拡大」理由は 複数回答

「拡大」、「緩やかに拡大」と回答した企業にその理由を複数回答で聞いたところ、「個人消費の回復」が58社、「インバウンド消費の回復」が46社、「設備投資の増加」が43社、などとなっています。
また、「賃金の上昇」と答えた企業は33社で1年前の調査の7社から大幅に増えています。

去年の春闘で賃上げ率が30年ぶりの高い水準となったことなどを受け、「賃金の上昇」が景気の拡大につながっていると考える企業が増えたとみられます。

賃金の引き上げ 45社が前向き

○NHKアンケート調査
2023年12月20日~2024年1月15日
国内の主な企業100社を対象
(すべての企業から回答)

NHKのアンケート調査で賃金の引き上げを行うか尋ねたところ、「引き上げる」は18社、「引き上げる可能性が高い」は27社で、あわせて45社が引き上げに前向きで、1年前の前回調査の42社よりも増えたことがわかりました。一方、「検討中」は40社でした。

そして、「引き上げる」もしくは「引き上げる可能性が高い」と回答した企業45社に、賃金の水準の見通しを聞いたところ、「前年を上回る」は14社、「前年並み」は9社、「検討中」は21社となりました。

「検討中」を除くとほとんどが「前年を上回る」もしくは「前年並み」としていて、賃上げの勢いは一定程度、維持される見込みであることがうかがえます。

ベースアップは

「引き上げる」、「引き上げる可能性が高い」と回答した企業45社に聞いたところ、基本給を一律に引き上げる「ベースアップ」を行うとしたのは20社でした。

1年前に行った調査で「ベースアップ」を行うと回答した企業は25社で今回は5社少なくなっています。ただ、2年前の調査で「ベースアップ」を行うと回答した企業は5社となっていてこれと比べると大幅に増加しています。

【アンケート回答企業・五十音順】
IHI、アイリスオーヤマ、旭化成、アサヒグループホールディングス、味の素、イオン、いすゞ自動車、伊藤忠商事、インターネットイニシアティブ、AGC、ANAホールディングス、SGホールディングス、ENEOSホールディングス、王子ホールディングス、大阪ガス、花王、鹿島建設、川崎重工業、キヤノン、京セラ、キリンホールディングス、KDDI、小松製作所、サイバーエージェント、サントリーホールディングス、JFEホールディングス、JTB、J.フロント□リテイリング、塩野義製薬、資生堂、清水建設、商船三井、すかいらーくホールディングス、スズキ、SUBARU、住友化学、住友金属鉱山、住友商事、住友電気工業、西武ホールディングス、セブン&アイ・ホールディングス、ゼンショーホールディングス、大和証券グループ本社、中部電力、ツルハ、TSIホールディングス、ディー・エヌ・エー、デンソー、東海旅客鉄道、東京エレクトロン、東京海上ホールディングス、東京ガス、東京電力ホールディングス、東芝、東レ、TOPPANホールディングス、トヨタ自動車、日産自動車、日本製紙、日本製鉄、日本電気、日本電信電話、ニデック、日本航空、日本生命保険、任天堂、野村ホールディングス、博報堂DYホールディングス、パナソニックホールディングス、東日本旅客鉄道、日立建機、日立製作所、ビックカメラ、BIPROGY、富士通、富士フイルムホールディングス、ブリヂストン、マツダ、丸紅、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、三井不動産、三越伊勢丹ホールディングス、三菱ケミカルグループ、三菱自動車工業、三菱重工業、三菱商事、三菱電機、三菱UFJフィナンシャル・グループ、村田製作所、明治、メルカリ、モスフードサービス、ヤマトホールディングス、ヤマハ発動機、ユニ・チャーム、LINEヤフー、楽天グループ、リクルートホールディングス、ローソン

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