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  • 2023年12月11日

江東区長選挙2023 当選は大久保朋果氏 東京都知事選挙2024や国政への影響は

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東京・江東区の区長選挙の結果は今後にどんな影響があると考えられるのでしょうか。江東区長選挙は、無所属で、自民党、公明党、国民民主党、地域政党の都民ファーストの会が推薦した大久保朋果氏が初めての当選を果たしました。選挙結果と影響などについて記者の解説をQA形式でまとめました。

大久保氏が初当選 投票率は過去最低

今回の選挙は、ことし4月に初当選した前の区長が公職選挙法違反の疑いで関係先の捜索を受けるなどして就任からおよそ半年で辞職したことに伴って行われ、新人5人が争う構図となりました。

【開票結果】 
 大久保朋果(無・新)5万7029票 
  酒井菜摘 (無・新)3万4292票 
  三戸安弥 (無・新)3万132票 
  猪野隆  (無・新)2万8819票 
  小暮裕之 (無・新)1万2649票

自民党、公明党、国民民主党、地域政党の都民ファーストの会が推薦した大久保氏が、立憲民主党や共産党などが支持した酒井氏らほかの新人4人を抑えて初めての当選を果たしました。 
選挙戦で大久保氏は、福祉行政に長年携わってきた経験や東京都の職員時代に培った小池知事との関係をアピールしたほか、コンプライアンスの徹底に取り組むなどと訴えました。

投票率は39.20%で、前回・ことし4月の選挙を9.66ポイント下回り、過去最低を更新しました。

東京都 小池知事

東京都の小池知事は、11日の午前、都庁で記者団に対し「都庁で、つい先日まで管理職として働いていた大久保氏が、区民から選ばれて本当によかった。江東区はとてもポテンシャルがあり、区政が安定をして、大久保氏と共に前に進んでほしい」と述べました。その上で「私も何度も応援に行き、区の全区域を回った。これからも都と区が連携することで、より効果があり、区民や都民にとっていい区政が展開できることを期待している」と述べました。

自民党東京都連

自民党東京都連の会長を務める萩生田政務調査会長は「このたびの選挙は『政治の信頼』が問われた選挙だった。江東区の政治の混乱をリセットするため、しがらみのない純粋な行政経験者の大久保氏を推薦し、党区議団を先頭に支援の輪を広げてきた。東京都と連携が取れる大久保氏は、江東区のポテンシャルを高めるために最適な区長となることを期待している」というコメントを発表しました。

公明党東京都本部

公明党東京都本部の幹部は、「今回は、自民党の政治と金の問題でとても厳しい選挙だったが、勝つことができた大きな要因は小池知事の応援だったと感じている。自民党は票を固めることができていなかった印象だが、公明党としては応援態勢をかなり整え、多くの票を固めた。区政を進めていくという意味で勝つことができてよかった」と話していました。

都民ファーストの会

大久保氏を推薦した都民ファーストの会の幹部は「区政の安定化に向けて、スタート地点に立てた。当選に向けては、たびたび応援に入った小池知事の力は大きかった。江東区は、ウォーターフロントで開発が進み、人口が増えている地域であり、小池都政に近い人物が区長になったことは、来年7月の都知事選挙での小池知事の3選に向けてもプラスだ」と述べました。

立憲民主党東京都連

立憲民主党東京都連の幹事長を務める手塚仁雄・衆議院議員は「パーティー券問題などで、自民党への批判が強まる中、受け皿になれなかったことは反省しなければならない」と述べました。その上で、「大久保氏は、小池知事の力を借りながら、自民党色を隠す戦術だった。われわれは、野党共闘で戦ったが、ほかの候補者との差別化を図れなかった。今後の選挙に向けて野党共闘の幅広い枠組みをつくれるよう努力していきたい」と述べました。

共産党都議団

共産党都議団の幹部は「投票率の低さに、政治への不信感の強さが表れていると思うが、その結果、支持した候補者の得票数も伸びなかった。古い政治を変えるという訴えが大きな流れにならなかったことは残念だ。また、小池知事が相手候補者を応援したことが、選挙結果に多少の影響を与えたかもしれない」と話していました。

東京維新の会

東京維新の会の幹事長を務める日本維新の会の音喜多政務調査会長は「結果を重く受け止めている。小暮氏の知名度を浸透させることができなかった。パーティー券問題などで自民党は逆風の中だったが、複数が立候補したことで、自民党と都民ファーストの会などの相乗り候補を利する結果となったことは受け止めなければならない」と述べました。

記者QA 江東区長選挙の結果をどう見る

Q1.大久保氏の勝因

自民党と都民ファーストの会の連携が実現したことが勝因のひとつだと思います。今回の選挙は公職選挙法違反事件に加え、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題もあいまって自民党にとって厳しい状況でした。小池知事はなんども応援に入ったのですが、自民党は、党幹部が応援演説に入ることはありませんでした。 
自民党関係者からは「小池パワーに頼った」という指摘のほか、「自民党が前面に出ることはマイナス要因になると考え、前面にでない戦略が功を奏した」という声も出ています。

Q2.ほかの党にとっては

都民ファーストの会にとって、大久保さんの当選は大きな意味があると思います。大久保さんは小池さんの元部下です。都民ファーストの会の幹部は、来年7月の都知事選も見据え、人口が増える江東区で影響力を確保したのは大きいとしています。 
一方、立憲民主党などにとっては、自民党が厳しい状況の中だっただけに、支援する候補が当選できなかったことは痛手と言えそうです。

Q3.今回の選挙結果が今後に与える影響

自治体の選挙なので、ただちに国政に影響を与えるものではないと思います。ただ、自民党は都内で行われた直近の主な選挙で公認・推薦する候補が3連敗しています。今後、武蔵野市長選や八王子市長選などが続きます。来年7月に東京都知事選挙もあります。政治資金問題もある中で、この先、自民党が敗北していくことになれば政権運営にも影響が出てくる可能性はあると思います。 
各党は、今回の選挙結果も踏まえながら、衆議院の解散総選挙に向けた戦略を練っていくものと見られます。

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