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PFOAとPFOSの発がん性は?多摩地域の井戸水 PFAS濃度の調査結果は

  • 2023年12月5日

有機フッ素化合物の「PFAS」のうち、「PFOA」と「PFOS」の2種類についてWHO=世界保健機関のがん研究機関が、発がん性の評価の引き上げを公表しました。PFASをめぐり、市民団体が、東京・多摩地域で井戸水に含まれる濃度を調べた結果とあわせてまとめました。

PFASめぐり都は地下水調査

○PFOSとPFOA
1万種類以上が存在するとされる有機フッ素化合物のPFASのうち、PFOSとPFOAという2つの物質は、アメリカの研究などでは発がん性や子どもの成長への影響などが報告され、国内でも製造や輸入が禁止されています。

「PFAS」のうち、「PFOS」と「PFOA」については有害性が指摘されていて、都が行っている地下水の調査では、これまでに都内の17自治体で、国の暫定の目標値を上回る値が検出され、このうち12が多摩地域です。
東京都は、国の暫定的な目標値を超えた地域の詳しい状況を調べようと、調査地点を追加して地下水を調べることにしています。

市民団体による多摩地域の地下水調査では

こうした中、京都大学大学院の原田浩二准教授と市民団体は、多摩地域の地下水を独自で調査し記者会見でその結果を公表しました。

それによりますと、132か所の井戸のうち、27%にあたる36か所で目標値を超える値が検出され、このうち、立川市の井戸では、目標値の62倍の値が検出されたということです。

このほか、来年2月から国の規制対象に追加される予定の「PFHxS」についても、立川市や国立市などで、検出されたということです。

京都大学大学院 原田浩二准教授
「水を採取した井戸の位置や深さをあわせて調べたことで、発生源がどこにあるのか、汚染がどのように広がっているのかを検討する情報となった。今後、この結果をもとに、都や自治体には対策を検討してほしい」

PFOAとPFOS 発がん性の位置づけ

WHOのがんの研究機関IARCは、PFASのうちPFOAについて、4段階ある分類のうち最も高い「発がん性がある」に2段階引き上げ、PFOSについては上から3番目の「発がん性がある可能性がある」に初めて位置づけたと公表しました。

「発がん性がある」とされたPFOAについては動物実験だけではなく、人に対しての研究でがん発生のメカニズムが確認されたとしていて、同じ分類にはアスベストやたばこの煙などが含まれています。

一方、PFOSについては動物実験での証拠に限られ、人での発がんに関する証拠は不十分だったとしています。

健康影響への研究を本格化

環境省はPFASの健康影響について、国内での被害事例は確認されておらず確定的な知見はないとしてますが、今回の公表も踏まえ、健康影響への研究を本格化させるとしています。

国のPFAS対策を話し合う専門家会議のメンバーの京都大学大学院の原田浩二准教授は、「どれだけの量を体内に取り入れたら、発がん性のリスクがあるのか今後、WHOが飲料水の値についても厳しい値を設定されることも考えられる。岐阜県各務原市のように、体内に取り入れられた量が多い地域では、健康影響を評価していく必要がある」と話していました。

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